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April 30, 2005

シロシタホタルガ幼虫

neoremotaそろそろマダラガの幼虫シーズンである。先週の土曜日に引き続き、今日もNeochalcosia remota (Walker, 1854)シロシタホタルガ幼虫観察に行った。幼虫は小さい個体が体長約10mm、大きい個体は約15mmで、クロミノニシゴリ、タンナサワフタギ、サワフタギ(以上ハイノキ科)の花芽や葉芽、葉表、枝上に静止していた。幼虫は隠れ上手なので、この時期に数十頭見つけるには根気がいる。私は叩き網による幼虫採集がきらいで、ひとつひとつ目視で幼虫を見つけるのが好きだ。叩き網採集は効率的だが、幼虫の行動が観察できないからだ。

シロシタホタルガの幼虫は黄色と黒色、赤色の派手な模様を持ち、警戒色とも言われるが、野外で太陽光に照らされると、植樹の葉や花芽の黄緑色に絶妙に同調し、遠くからだと意外に目立たない。シロシタホタルガの色彩は、隠蔽と警戒という相反する効果を併せ持ち、まさしく自然のなせる芸術技である。

他のマダラガ科蛾類と同様、本種は幼虫時代に青酸配糖体を生合成し、体内に蓄積する。本種幼虫を手でつかむと、背上の突起から玉のような粘性のある液が分泌され、悪臭を放ち、捕食性天敵への防御効果を持つ。幼虫時代に蓄積された青酸配糖体は蛹、成虫、卵の各ステージにおいて防御物質として保持される。
なお、本種の学名は講談社の日本産蛾類大図鑑では、Chalcosia remota Walker, 1854 とされているが、その後分類再検討の結果、新属 Neochalcosiaの下に置かれている(Yen & Yang,1997)。
写真はクロミノニシゴリに静止するシロシタホタルガ中令幼虫 2005年4月30日名古屋市で撮影

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ツマキナカジロナミシャク

dysstroma_citrata_linnaeuscitrata自宅玄関の壁にツマキナカジロナミシャク Dysstroma citratum (Linnaeus, 1761) が止まっていた(2005年4月30日名古屋市で撮影)。平地から高山帯まで分布する普通種だが、よく見ると模様が洒落ている。年多化性で、幼虫は多食性として知られる。写真の幼虫はピンボケだが、2005年2月3日にギシギシ葉上で採集したもので、亜終令幼虫。後で撮り直そうと思っているうちに、機会を失い、気づいた時には前蛹になってしまった。幼虫屋なら、一度や二度必ずこうした失敗を体験していると思うが。

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エノキにつく幼虫 2

tenguエノキにつく幼虫で、ひとつポピュラーな種を忘れていた。テングチョウである。さきほど自宅近くのエノキの幼木でテングチョウの幼虫を数頭見つけた(写真)。葉にえぐるような食痕が見られるので、「ひょっとして?」と、目を凝らすと、テングチョウの幼虫に目が合った。体長15mm前後。3令幼虫ぐらいであろうか。2週間ほど前、たまたまテングチョウの成虫がエノキの周りを飛んでいるのを見かけたが、ひょっとしたら産卵に来ていたのかもしれない。

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April 29, 2005

エノキにつく幼虫

mitsuboshigoma私の住まいの周辺にはエノキが多い。この時期、エノキの葉を食べる蝶類幼虫といえば、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、アカタテハ、そして近年関東地方で放蝶と定着が話題になっているアカボシゴマダラといったところだろうか。平地の蛾類幼虫で春先にエノキを食べる種は、ウスバフユシャク、キバラモクメキリガ、オオシマカラスヨトウ、ミツボシキリガなどだろう。自宅周辺のエノキには、毎年ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、ウスバフユシャク、キバラモクメキリガ、オオシマカラスヨトウ、ミツボシキリガが発生する。写真は、自宅近くのエノキで見つけたミツボシキリガ終令幼虫とゴマダラチョウ幼虫。ミツボシキリガは年1化のキリガで、秋に出現し成虫越冬する。幼虫は4月に出現し、5月初めに老熟する。なお、講談社の日本産蛾類生態図鑑に図示されている幼虫は老熟し、色彩が黄変した個体と思われる。

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April 28, 2005

トビネシャチホコ前蛹になる

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トビネシャチホコ幼虫は老熟し、飼育ケースに入れた砂に浅めに潜るか、もしくは地表面で砂粒や枯葉を綴って粗めの蛹室を造営した。さわると、崩れそうな蛹室である。老熟幼虫の中には、蛹室を作れずに斃死する個体もあり、この時期の死亡率がこれまでの令期で最も高かった。一部個体を幼虫検索用のアルコール液浸標本にしてしまったので、この死亡率の高さに大慌てした。恐らく野外では、樹木の根際などに浅く潜り、土塊を綴って蛹室を造営し、その中で蛹化するものと思われる。蛹化の時期だが、前蛹態のまま越年する最悪のパターン?も考えられるので、これからの管理が骨折りである。
写真は砂面すれすれに作られた蛹室。勿論枯葉下に作られていたものを撮影用にひっくりかえした。

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April 21, 2005

トビネシャチホコ幼虫飼育終盤戦

トビネシャチホコの幼虫飼育もいよいよ大詰めに入った。昨夜、最初に孵化した先発組の幼虫(恐らく♂)が前蛹になった。中臣謙太郎氏が、『樹と生きる虫たち』の中で、トビネシャチホコ幼虫を4令までコナラで飼育したことを記しておられる。中臣氏のようなシャチホコガの達人ですら、終令に持ち込めなかった幼虫ということで、この4週間あまり緊張の連続だった。飼育ケースを毎日掃除して新鮮な新芽(後には若葉)に取り替え、新芽に入りこんでいる多数のヤガやシャクガ幼虫を排除するなど、神経の使いどおし。事実、3令以降、脱皮に失敗して死亡する幼虫も数頭出てきており、注意を要するのはこれからなのかもしれない。終令幼虫は4令に比べ、頭部の黄色の斑紋が明確になるなどの違いはあるものの、基本的形態は変化が無い。中臣氏は食草に関する事前情報が全く無い条件下で、4令まで飼育されたのだから、さすがである。氏の成果を活かすためにも、なんとか蛹化まで持ち込みたいと思う。

caseYohboさんからご質問があったので、トビネシャチホコ老熟幼虫がもぐっている飼育ケースの写真をアップ。
容器は志賀昆虫で扱っているプラスチックケース(直径約13cm、高さ6cm)。砂は園芸店で売っているもので、霧吹きで湿らせる。砂の上には枯葉をかぶせてある。砂を用意するのは、幼虫が終令になり、暴食が際立ち、体が張ったような感じになってからで十分。しばらく留守をする時は、あらかじめ砂を入れ、枯葉をかぶせ、その上に食草を多めに置き、幼虫を放てばよい。

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April 16, 2005

セスジノメイガ

sesujisesujicase近くの公園へトビネシャチホコの食草を取り入ったところ、オカメザサが著しく食害され、葉の一部が枯れている。ササの葉を綴った細長いケースが多数あり、中には体長20mmぐらいの細長い幼虫が潜んでいた。セスジノメイガ Sinibotys evenoralis, (Walker, 1859) の幼虫だ。この蛾はツトガ科 Crambidaeに属し、古くからタケの害虫として知られている。幼虫越冬し、春になると摂食を再開する。

保育社「原色日本蛾類幼虫図鑑」(下)にも幼虫は図示されているが、細部がわかりにくい。「晶子のお庭は虫つくし」の「セスジノメイガの観察日記1」と「セスジノメイガの観察日記2」に幼虫やケース、蛹図が掲載されていて、この方がわかりやすい。出現期は、当地(名古屋市)の方が早いようだ。
写真はオカメザサで作られたケース(2005年4月10日撮影)と、セスジノメイガ終令幼虫(2005年4月16日撮影)

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April 14, 2005

ツマキチョウ

今日仕事の帰りに、トビネシャチホコ幼虫の食草を採ろうと、近くの雑木林へ寄った。すると、ツマキチョウが飛んできた。遠くから見ると、モンシロチョウに似ているが、飛び方がゆっくりで、弱々しいので、ツマキチョウだとすぐわかった。朱色の斑紋が見えたので、オスである。

私はこのチョウの粋な翅の形と、色彩が大好きだ。クモツマキチョウよりも素敵なチョウだと思っている。幼虫はアブラナ科植物各種を摂食するが、自宅周辺ではナズナを食草にしている。ナズナに産卵するところを観察したことがある。今日はデジカメを持っていなかったので、せっかくの美しいオス成虫を撮影することができなかった。オス成虫の写真は「なかもず四季絵日記」で見ていただくことにして、3年前に近所で撮影したメス成虫の写真を添付したい。

ー2005年4月21日追記ー

午前中、近くの公園でギシギシに止まるツマキチョウのオスを撮影することができたので、写真を追加。

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April 12, 2005

春のホタルガ幼虫

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数日前、ホタルガ若令幼虫を何頭か見た。ホタルガPidorus atratus Butlerは幼虫態で越冬する。冬の間はヒサカキ、ハマヒサカキ、サカキの葉を合わせ、その間に潜んで越冬する。厳冬期でも暖かい日には葉皮をほんの少し舐食するので、僅かな食痕を頼りに葉を根気よく探すと、越冬幼虫を見つけることができる。春になると、幼虫は葉間から葉上に現れるので、見つけやすくなる。写真の幼虫は体長約6mm。ヒサカキに残された食痕は、葉右上が昨年の食痕、残りは今春の新しい食痕。

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April 07, 2005

トビネシャチホコ幼虫

対馬のYohboさんから頂いたトビネシャチホコNephodonta tsushimensis Sugi の卵から孵化した幼虫は今のところ大変順調に成育しています。しかし、私は安心したり、喜んだりしてません。というのも、トラフヒトリにしても、ツシマキモンチラシにしても、およそ対馬のガ類には過去4回の飼育体験で、ひどい目にあっているからです。

トラフヒトリは、何でも摂食し、最初は飼育しやすい丈夫な幼虫だと思っていました。ところが、いざ蛹化となると、急に鋭敏になり、飼育箱を動き回り、一向に蛹化してくれません。本種は老熟すると、餌場を離れて分散移動、樹皮の隙間などに入りこんで蛹化する習性があるらしく、それなりの蛹化準備をしてやる必要があるようです。中令以降は、同じ飼育箱に複数頭飼育するのも禁物です。幼虫期間が約2ヶ月の長丁場というのも泣きです。餌が古いと、幼虫が弱り、とても蛹化まで持ち込めません。

ツシマキモンチラシも幼虫期間が9ヶ月余りで、近縁のオキナワルリチラシよりも手がかかります。夏には冷房をきかせた部屋に置き、ヒサカキは頻繁にとり換えるなど、もう辛いです。うっかり餌にホタルガの卵がついていたりすると、強いホタルガに追いやられ、ツシマキモンチラシは死んでしまうし、何かと神経を使います。

そんなわけで、トビネシャチホコの幼虫飼育は、まだまだ一波乱ありそうで、気を引き締めていきたいと思います。

ー追記(2005年4月13日)ー
トビネシャチホコ幼虫は先発組が5令になりました。やっと、シャチホコらしくなってきました。
5令でも体長30mmにも満たないので、これから何回脱皮するのか、先が思いやられます。対馬のガは幼虫期間が長いから大変。蛹化習性も不明なので、前途多難です。
写真は向かって左からトビネシャチホコ3令幼虫、4令幼虫、5令幼虫、同威嚇ポーズ(アラカシで飼育中)。

ー追記(2005年4月16日)ー
トビネシャチホコ幼虫は3令、4令、5令が大半となった。アラカシ、アベマキ、コナラ、いずれの食草でも生育は順調である。4令以降、脅かすと威嚇ポーズを取るようになった。幼虫死亡率も低く、順調すぎてかえって恐ろしい気がする。中臣謙太郎氏が「樹と生きる虫たち」(1993 誠文堂新光社)で書いておられるように、トビネシャチホコの幼虫はシャチホコガとしては平凡な形態で、地味な幼虫である。幼虫飼育が楽な分、蛹化がむづかしいのではないかと、今から心配である。

ー追記(2005年4月20日)ー
今夜、トビネシャチホコ幼虫が摂食を停止し、収縮しはじめたので、あわてて蛹化の準備をした。ここ数日間の食べ方はすさまじく、休む間なく食べ続けるという感じだった。どんな蛹化を取るのか興味しんしん。

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我家のお花見

当地もようやくお花見のシーズンになりました。ベランダから見下ろすと、眼下にソメイヨシノPrunus X yedoensis Matsumura(バラ科)が広がり、わざわざ出かけなくても、居ながらにしてお花見が楽しめます(写真)。ソメイヨシノには多数のガ類幼虫が寄生しますが、そのうちマダラガ科幼虫は3種寄生します。ウメスカシクロバIlliberis rotundata Jordan、リンゴハマキクロバ、Illiberis pruni Dyar、ウスバツバメガElcysma westwoodii (Snellen van Vollenhoven)。いずれも幼虫越冬で、春先に活動を再開します。ウメスカシクロバ、リンゴハマキクロバは交通量の多い市街地でも見られますが、ウスバツバメガは名古屋近郊では、里山付近で見られます。

後方はイスノキDistylium racemosum Sieb.et Zucc.(マンサク科)。自宅付近のイスノキには、毎年4種のアブラムシが見られます。イスノアキアブラムシDinipponaphis autumna Monzen、イスノフシアブラムシNipponphis distyliicola Monzen、モンゼンイスフシアブラムシ Sinonipponphis monzeni Takahashi、ヤノイスアブラムシNeothoracaphis yanonis Matsumura です。それぞれ特徴ある虫えいを作ります。cherry3

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