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July 02, 2005

カノコガの危険信号

amata2昨日午前6時頃、地面すれすれを黒と黄色の縞模様の昆虫が飛ぶのを見た。一瞬ハチかと思ったが、ハチにしては飛び方がどうも悠長すぎる。よく見ると、それはカノコガであった。Amata fortunei fortunei(Orza, 1869) カノコガ(ヒトリガ科カノコガ亜科)は自宅周辺では年2化。6-7月、9-10月に出現する。今年は6月25日に初見、ここ数日一番よく見かける蛾である。幼虫は黒い毛虫で、食餌植物としてはタンポポ(キク科)、シロツメクサ(マメ科)、トクサ(トクサ科)の記録がある(宮田彬『蛾類生態便覧』)。幼虫越冬で、HP「晶子のお庭は虫づくし」によると、タンポポのほかに越冬時にはダンゴムシやキノコも摂食するとのことである。今年の応用動物昆虫学会大会一般講演でも、タンポポのほかにペットフードを供餌したところ、蛹化率が上昇したことが報告されている(近藤勇介ほか)。このことから本種幼虫は雑食性であることが示唆される。

もっとも肉食やキノコ食は植物食の補助的意味合いが強いのではないかと私は考えている。というのも、カノコガ亜科の1種Amata phegea L. は植物由来のカルデノリド(強心配糖体)(CG)を防御物質として蓄積することが知られている(Rothschild M, Euw JV, Reichstein RT. 1973)。黒色と黄色の派手な縞模様は有毒性を天敵に警告する信号と考えられている。日本産カノコガもphegeaと同様の防御物質を植物から摂取している可能性が高いと思われる。これらの防御物質を植物からの摂取に頼らず、全て自前で生合成する例はマダラガ科、ヒトリガ科を含め蛾類では今のところ報告されていないからだ。

参考文献:Nishida, R. Annual Review of Entomology 2002. 47:57-92

写真:カノコガ 2005年7月2日 名古屋市で撮影

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