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September 29, 2005

秋のアメリカシロヒトリ幼虫

amehito0928私の職場の玄関前には一本のシダレザクラがある。毎年春になると美しい花を咲かせ、目を楽しませてくれる。そのシダレザクラの葉の一部が枯死していることに気付いたのは9月9日のことである。アメリカシロヒトリ幼虫の発生である。まだ若令で、本来なら、すぐに管理部門に報告するのが職員としての義務であろうが、蛾好きの私としては躊躇するところである。ついつい報告を怠っているうちに被害は大きくなり、今やシダレザクラの相当部分の葉が枯れてしまった。食害状況から見て来春サクラが咲かないというほどでも無いし、もうすぐ葉も自然に落葉するので、このままにしておいても差し支えないだろうと思っている。

職場のシダレザクラの被害はそこそこだが、このところ周囲の街路樹や庭園樹を見渡すと、時には葉の全部がスカスカになるまでアメリカシロヒトリに食害されているスズカケやアメリカフウを見かけることがある。幼虫はひとしきり食害して終令後期になると木から降りて分散移動する。自宅周辺でも発生木から10メートルぐらい離れたところまで移動して、付近の植物を木本・草本を問わず手当たりしだい食害している。こんなものまで食べるのかと思うような植物にも寄生していることがある。写真は発生木のクワから10メートルほど離れたアメリカセンダングサに寄生していたアメリカシロヒトリ終令幼虫である。この幼虫は蛹化し、この秋第3化成虫が羽化するものと思われる。

写真:2005年9月28日夕方 名古屋市で撮影

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September 27, 2005

路上のツマグロヒョウモン幼虫

tsumaltsumag昼過ぎに急ぎの用で歩いていたら、足元をツマグロヒョウモンの幼虫がノコノコ歩いている。もう少しで踏み潰すところだった。周りを見渡してみてもスミレの類は見あたらない。恐らくどこかの家の花壇から蛹化のために移動中なのであろう。バックからデジカメを出し、歩き続けるツマグロヒョウモンの幼虫を追い撮影した。♂成虫を今朝撮影したので、幼虫と成虫写真をアップする。

ツマグロヒョウモン幼虫と成虫 2005年9月27日 名古屋市で撮影

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ホシホウジャク幼虫

hoshi近くの小学校の側を通ったら、校庭のフェンスに絡みついたヘクソカズラ(アカネ科)の葉が丸坊主になっていた。ホウジャク類の幼虫の仕業に違いないと思って探すと、体長45mmほどの黄緑色の幼虫と目があった。Macroglossum pyrrhosticta Butler, 1875 ホシホウジャク終令幼虫である。幼虫は緑色型と褐色型の2型が知られている。自宅周辺では幼虫は秋に多く、12月上旬まで見られる。成虫は昼行性でアベリアの花などで吸蜜するのをよく見かけるが、灯火にも飛来する。自宅周辺に生息するホウジャクの仲間は、今のところホシヒメホウジャク、ホウジャク、ホシホウジャクの3種だけである。

写真:ホシホウジャク終令幼虫 2005年9月27日 名古屋市で撮影

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September 25, 2005

アオアツバ幼虫

aoatsubaaoatsubal9月に入ってから自宅周辺ではアオアツバの姿をよく見かける。草むらを飛んでいることもあるが、建物の白壁や通路の天井に夜間飛来した個体がそのまま昼間も止まっていることも多い。Hypena subcyanea Butler, 1880 アオアツバはヤガ科アツバ亜科に属する蛾で、成虫越冬する。自宅周辺では9月から10月にかけて特に個体数が増加し、越冬後の個体も4-5月にわずかながら見られる。メドハギ、マルバハギが食餌植物として記録されているが、私はこれまで本種幼虫を採集したことがなかった。

先週初めのことだが、裏の河川敷を散歩中にヌスビトハギの茎に黄緑色の細長い幼虫が寄生しているのに気付いた。ビニール袋に食餌植物ごと入れて持ち帰ったが、その後幼虫のことをすっかり忘れていた。ところが、さきほどビニール袋を見たら、アオアツバが羽化しているではないか!まさか、あんな平凡な幼虫がアオアツバとは夢にも思わず、写真も撮っていなかった。あわてて裏の河川敷へ下り、ヌスビトハギを探したところ、オオタバコガやハスモンヨトウの幼虫と一緒にアオアツバの幼虫を採集することができた。どうやら終令幼虫後期らしく、撮影中も絶え間なく摂食している。頭部は淡褐色で細かい黒点を散らす。体色は黄緑色。セミルーパーで、いかにもアツバの幼虫らしくピョンピョン跳ねまわる。カラムシに寄生するタイワンキシタアツバ幼虫に形態は似ているが、本種の方は体躯に黒点模様が無い。満足のゆく写真ではないが、アオアツバの幼虫写真は珍しいと思うのでアップしたい。

写真:アオアツバ成虫、幼虫 2005年9月25日 名古屋市で撮影

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September 22, 2005

コマツナギ

komatsunagi昨日ぼんやりしていて撮影したばかりの昆虫画像の大部分を削除してしまい、昆虫ネタが無くなってしまった。そこで、今日は雨ということもあるし、植物の話題をひとつ。私の散歩コースは裏の河川敷で、早足で歩くと15分もあれば往復できるような狭い観察地である。その中で最も好きな場所は、コマツナギが群生する約40㎡ほどの一画である。Indigofera pseudo-tinctoria Matsumura コマツナギはマメ科植物で、馬をつなげるほど丈夫な茎を持つことから「駒繁ぎ」と呼ばれるとのことである。裏の河川敷では6月下旬ごろから開花したが、7月下旬の除草作業できれいに刈り取られ、2ヶ月ほど経過してようやく花が咲くところまで伸びてきたところである。

コマツナギは近年減少しているミヤマシジミの食餌植物として知られる。残念ながら愛知県にはコマツナギはあっても、ミヤマシジミがいたという記録は無い。東海4県でもミヤマシジミが生息するのは岐阜県と静岡県だけである。愛知県・長野県県境をドライブすると、県境を越えて平谷村に入ったとたん、ミヤマシジミの姿が目につくのだ。チョウには県境も国境も無いはずなのに、本当に不思議である。河川敷の一画でコマツナギの花を見るたびに、かって見たミヤマシジミの飛ぶ姿が思い浮かぶ。実際には目の前を飛ぶのはミヤマシジミならぬツバメシジミである。ツバメシジミはマメ科植物を食餌植物とし、これからの時期幼虫はコマツナギの花にも寄生する。アリがまた幼虫の在り処を教えてくれる。

写真:コマツナギ 2005年9月20日 名古屋市で撮影

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September 20, 2005

夕刻に交尾するキチョウ

kicho昨日は夕方になってから裏の河川敷に下りると、交尾中のキチョウに出会った。最初はササの葉裏にいたが、人の気配ですぐ近くのクワの葉へ移動した。後を追うと、また草叢へ飛んだ。今度は遠くでしばらく待ってからそっと接近したところ、カップルの姿をカメラに収めることができた。♀が上でエノコログサの葉につかまり、下の♂はヤブカラシの葉上という位置関係だった。20分ほど他を散策した後戻るとまだ交尾中だ。少々葉を揺すっても動こうとしない。時間は午後5時54分。あたりは暗くなりかけていた。

今日の夕方、またもやキチョウのカップルを目撃した。午後5時45分である。やはり♀が上で、♂が下の位置関係でササの葉裏につかまっていた。ササの葉を騒がしても♂♀は微動だにしない。それにしても遅い時間帯まで交尾行動が継続されるものだ。

写真:交尾中のキチョウ 2005年9月19日 名古屋市で撮影

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September 17, 2005

ウラナミシジミとウラギンシジミ

uranami0917お昼過ぎ、裏の河川敷へ下りてみると、クズの周りを多数のウラナミシジミが飛んでいた。ナカグロクチバ発見で上機嫌の私の目には、見飽きたはずのウラナミシジミがひどく新鮮に感じられた。気分屋の私はその日その日で考えることがすぐ変わる。ウラナミシジミが飛翔する姿を追っているうちに、クズの葉上で交尾中の♂♀に気付いた。最初のうちは気配を察知して2度移動した。その後連結カップルはカメラを近づけても、葉を揺すっても微動だにしなかった。腕時計を見ると13時23分。♀が♂を振りほどいて飛び去ったのが13時50分だった。この間カップルは幾度と無く他の♂の妨害にあった。側に飛来してすぐ飛び去るのはまだおとなしい方で、なかには強引に間を裂こうとする露骨な妨害も少なくとも3回はあった。写真はそうした交尾妨害行動の一シーンである。

uranamil0917uraginクズの花穂を見るとアリが多数群がっているので、ウラナミシジミの幼虫がいるかもしれないと思って手に取って見ると、つぼみには産下されたばかりのウラナミシジミの卵と若令、中令幼虫が多数見つかった。また、別の花穂にはウラギンシジミ終令幼虫がいた。クズの花を摂食しているためか、体色は赤紫色のクズの花そっくり。春先にフジの若葉に寄生する同種幼虫は黄緑色であることが多い。

写真:ウラナミシジミ(上) 同種中令幼虫(下:向かって左) ウラギンシジミ終令幼虫(下:向かって右)
    2005年9月17日 名古屋市で撮影

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September 16, 2005

名古屋にもいたナカグロクチバ

nakaguro2このところ自宅周辺では毎回同じようなチョウやガばかりでマンネリ気味。新顔も少ないので、今日は散策を止めようかとも思った。しかし、日が暮れかけた頃、思い直して裏の河川敷へ下りてみた。案の定飛んでいるのはウラナミシジミやイチモンジセセリ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、キチョウにアゲハ。やはりチョウはきれいだが、すぐ見飽て面白味が無い。まるで満月でも見るようで興がうすい。チョウを撮影するのをやめにして、ヒガンバナの花を撮影しようと草叢へ足を踏み入れた。すると、下草の間に洒落た蛾が止まっているではないか!黒地に白っぽい横縞、前翅を縁取る色彩が燻し銀のようだ。図鑑でお馴染みのGrammodes geometrica (Fabricius, 1775)ナカグロクチバである。こんな南方系の蛾が名古屋にいるとは!まあ、本種の北限記録は群馬県だし、富山県や福井県でも記録があるのだから、愛知県にいても決して不思議ではない。しかし、よりによって外来植物が繁茂する自然度の低い河川敷にナカグロクチバがいるとは正直言って驚きである。恐らく遇産種で土着していないとは思うが、数年前のムラサキツバメといい、キョウチクトウスズメといい、思いがけない種が身近なところで見つかるものだ。こんなことはそれこそ宝クジに当たるような幸運だが、こういう発見の喜びがあるので、昆虫観察はやめられない。higanbana

追記(2005年9月19日)
この時期咲くヒガンバナは私の好きな花のひとつだ。幼い頃この花を土手で摘んで家に持ち帰ったことがあった。丁度仏壇の花が萎れかけていたので、ヒガンバナを供えたところ、「この花は毒があるので、普通は仏花には使わないのよ」と、母は花を下げようとした。すると、亡き祖父が母を止めて、「孫が摘んできた花だ。死んだ婆さんもきっと喜ぶと思うよ」と。赤い艶やかな大輪のヒガンバナは黒塗りの仏壇な中で映え、とても嬉しかったのを今も鮮明に記憶している。別名を曼珠紗華ともいうが、他にもたくさんの呼び名がある。その中にシロク、シロギ、シロエなどの名が残っていることに着目して、植物学者の前川文夫氏は『植物の名前の話』(八坂書房)で山口隆俊氏の論考(「彼岸花渡来記」)に依拠しつつ面白い論説を展開している。この植物はもともと稲の不作時に備えて非常食用として中国から輸入したもので、飢饉の時に鱗茎を水でさらしアルカロイド成分を除去して食したことから、シロエなどの名が残ったのではないかというのだ。日本のヒガンバナは3倍体で種子を結ばないと図鑑などには書いてあるが、稀に2倍体のものもあり、種子ができるとのことである。

ナカグロクチバ 2005年9月16日 午後5時ごろ 名古屋市で撮影
ヒガンバナ     同上

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日本一の「虫屋の女房」の自伝

ashiato日本の蛾類研究が今日のような発展を遂げたのは、井上寛・杉繁郎両先生の貢献があったからこそだと思う。『日本産蛾類大図鑑』と『日本産蛾類生態図鑑』は今や世界中の蛾類研究者の座右の書となっているが、これも御二人の活躍の賜物といえよう。特に日本蛾類学会の運営・発展への寄与は最も大きな功績の一つである。当初は理論面を大学人の井上先生が、会誌の編集発行と経理事務を会社勤めの傍ら杉先生が引受けられ、二人三脚で蛾類学会を支えて来られたが、後年は杉先生も運営面と共に研究面での貢献度が高い。

日本蛾類学会は学会と言っても個人商店的色彩が強い。事務局に電話をすると、品の良い女性の声で「杉でございます」という応答がすぐある。事務局は杉繁郎先生の御自宅であり、電話の声の主は美佐夫人である。あいにく先生が御不在でも夫人に用件を頼めば、てきぱきとした応対で、頼んだ文献、資料あるいは御返事が先生からすぐに来る。夫人は頼りになる秘書でもある。深夜電話をしても快く取り次いで下さる。日本蛾類学会事務局の家庭的な雰囲気は、夫人の御人柄に負うところが大きい。また、『蛾類通信』の発送、請求書の挟み込みなどの裏方仕事から蛾関係の来客の接待まで夫人は務め、学会に貢献してこられた。

先日、私のところに小包が届いた。差出人名を見ると、杉 美佐とある。これまで夫人からお葉書を頂いたことはあるものの、書籍小包は初めて。開けて見ると、なんと自伝であった。「蛾を愛でる」杉先生と結婚して今年で44年になるのを記念して自費出版されたという。自伝の第一部と第二部は満州での少女時代と戦後の生活のこと、第三部は虫屋の女房物語。第四部は欧州鱗翅学会や研究会に御夫妻で参加された時の海外旅行記。第三ー四部は蛾類学会を裏方で支えた夫人の目から見た日本蛾類学会裏話の一面も。なんといっても圧巻は杉先生がある日突然「会社をやめることにした」と宣言した時のこと。蛾研究一筋に生きるために何の相談もせずに退職を決めてしまったというのだ。夫人の驚き、怒りは激しかった。しかし、夫人の偉いところは先生の生き方を受け入れ、積極的に協力していることだ。私にはとても真似できない。夫人は「「虫屋の女房」は大変だったが、悪くなかった」と結ぶ。いつぞや夫人にお会いした折、「杉先生への愛が深いのですね」と褒め言葉の意味で申しあげたら、「愛だなんて、そんな薄っぺらなものじゃありません。もっと必死なものです。」という御言葉が返ってきた。いかにも率直で何事にも真摯な日本一の「虫屋の女房」の言葉らしい。

【題名】私のあしあと
【著者】杉 美佐
【出版】自刊
【発行】2005.09.10
【判型】四六判・257頁
【価格】非売品
【目次】
    第一部 私と「満州國」
    第二部 「引き揚げまで」とその後の生活
    第三部 結婚、家族のこと
    第四部 海外旅行
    付録  杉 盛道

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September 13, 2005

ヒメジュウジナガカメムシの羽化

himejuji09139月3日にガガイモに群生するヒメジュウジナガカメムシ幼虫について書いたが、9月12日朝、幼虫はガガイモの葉上で摂食を休止して集団で静止していた。いつもは近付いただけで分散する幼虫だが、この日は葉を揺すっても離散しなかった。さきほど幼虫の様子を確かめに行ったら、ほとんどの個体が羽化していた。なかには体色の淡い羽化したての成虫もいた。成虫の動きはすばやく、葉にわずか触れただけで葉裏や別の葉にさっと移動してしまう。面白いことに周りにはガガイモが所々に生えているのだが、ヒメジュウジナガカメムシが群生しているのは一箇所だけだ。そこはまとまった株数のガガイモが生育していて、毎年ほぼ同じ場所にヒメジュウジナガカメムシは出現する。母虫は子虫が餌に不自由しないように産卵場所を正確に選んでいるらしい。

写真:羽化したばかりのヒメジュウジナガカメムシ 2005年9月13日午後5時30分 名古屋市で撮影

ヒメジュウジナガカメムシ幼虫

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September 12, 2005

トビイロスズメとツチイナゴの幼虫

kuzu0912ウラナミシジミを見たいと思い、クズの生えている河川敷へ下りてみた。ウラナミシジミたちはクズの周りをかなり早いスピードで飛び交い、時々葉上に止まったり、花で吸蜜したりしていた。クズの青紫色の花にはヤマトシジミ、イチモンジセセリ、キチョウも吸蜜に寄り、朝早くからちょっとした賑いだった。そんなチョウたちの姿を追っているちに、面白い光景を目にした。一枚のクズの葉表にツチイナゴの幼虫が静止、その葉裏にはトビイロスズメの幼虫がしがみついていたのだ。ツチイナゴの幼虫は、トビイロスズメ幼虫の食痕から出る成分に誘引されたのかもしれない。ツチイナゴやオンブバッタ、ツユムシなどの直翅類幼虫がブタクサハムシの食痕を拡げるようにオオブタクサの葉を摂食するところをよく見かけるからだ。

トビイロスズメは7-8月に出現する大型スズメガである。幼虫はクズ、ニセアカシア、ハギ、フジなどのマメ科植物を摂食し、8月から10月末まで見られる。平地や山地に見られる普通種だが、生態は面白い。卵から終令幼虫までの飼育はいたって簡単だ。しかし、松浦寛子先生も書いておられるように、羽化に持ち込むのは至難の技である。土中で前蛹態のまま越年するが、老熟幼虫は大変気難しく、すんなりと潜土せずに幾度も地上へ上がってきてしまう。自然状態でも深く潜土しないのか、冬季に本種幼虫が地面にころがって斃死しているのを見る。通常の前蛹態とは異なり、翌年6月末になっても黄緑色のやや収縮した老熟幼虫のままで、7月になってからようやく蛹化する。飼育下では前蛹期の死亡率が高く、飼育管理期間が長いので大変だ。

ツチイナゴは年1化の直翅目昆虫で、9-10月ごろ羽化して成虫越冬する。よく冬に「バッタがいる」と話題になるのはたいてい本種のことである。成虫は翌年の初夏頃まで見られ、成虫と若令幼虫が共存する時期もある。成虫の体色は茶褐色だが、幼虫は黄緑色をしている。

写真:トビイロスズメ亜終令幼虫とツチイナゴ幼虫  2005年9月12日 名古屋市で撮影

文献:松浦 寛子(2000)『わが友いもむし 日本産スズメガ科幼虫図譜』 風知社

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September 09, 2005

毒針毛で護身するチャドクガ

chadokugaチャドクガは年2化のドクガで、自宅周辺では毎年5-6月頃と8-9月に幼虫を見かける。群生するので、発生するとツバキやサザンカを丸坊主にして時に枯死させることもある。数日前散歩中に葉がほとんど無いサザンカを見つけた。昨日調べてみると、二本のサザンカに大量のチャドクガ亜終令幼虫が群生していた。人目につかない場所のため、大発生が放置されたのだろう。本種幼虫は腹部第1-2節の黒色瘤起に毒針毛を含み、誤って幼虫に触れると皮膚炎を起こすことが多い。老熟すると、発生木や周辺の木の根際で幼虫刺毛を綴って造繭し、繭内部には毒針毛を付着させる。♀成虫は羽化時に尾端を回転させ尾端房毛に毒針毛を付着して脱出する。産卵時には毒針毛の混じった尾端房毛で卵塊を覆い卵を保護する。♀成虫は灯火に飛来して毒針毛をばらまくので、屋内でも皮膚炎を起こしたりする。

写真:チャドクガ亜終令幼虫 2005年9月8日 名古屋市で撮影

文献:加納六郎・篠永哲(1997)『日本の有害節足動物 生態と環境変化に伴う変遷』東海大学出版会

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September 08, 2005

ムラサキシジミの幼虫

mura0908ant08mural自宅周辺にはアラカシの木が植栽されていて、毎年ムラサキシジミが発生している。先月からアラカシの周りで成虫の姿を何度も見かけたが、開翅したところを撮影する機会に恵まれなかった。たまたま昼頃、アラカシの若木の側を通ったところ、ムラサキシジミの♀が葉上に静止していた。日差しが明るすぎて、写真の翅色は褪せて見えるが、実際は翅を開いたり閉じたりする度に青紫色が輝き、大変美しかった。卵や幼虫がいるかもしれないと新梢を探したところ、アリの姿が目に入った。葉をよく調べると、アリと共生する4頭の令数の異なる幼虫が見つかった。また、葉に産付された卵も見つけた。5卵のうち3卵は既に孵化していた。

muratsu2muratsuムラサキシジミとよく似るシジミチョウにムラサキツバメという種がいる。ムラサキシジミよりも一回り大きく、尾状突起があることで区別できる。以前ムラサキツバメは四国まで行かないと採集出来ないチョウだったが、ここ数年来北上化が著しく、関東にまで分布を拡大している。名古屋市にも分布しており、幼虫はマテバシイの若葉に寄生する。写真の幼虫は2002年9月に自宅近くで見つけたものだが(名古屋市初記録)、それ以後自宅周辺では成虫も幼虫も見ていない。ムラサキツバメの幼虫もアリと共生するが、アリが居なくても幼虫が成育する点ではムラサキシジミと同じである。両種とも成虫で越冬する。

写真(上)ムラサキシジミ成虫、中令、終令幼虫   2005年9月8日      名古屋市で撮影

写真(下)ムラサキツバメ終令幼虫             2002年9月21日      同上
      飼育羽化した同種成虫            2002年10月27日     同上

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September 05, 2005

雨の中のチョウたち

uranami0905ichimonji0905kicho0905beni0905今日は朝から雨降りだ。こんな朝はいつもと違った昆虫の様子が観察できるかもしれない。そう思って裏の河川敷へ下りてみた。すると、ウラナミシジミが雨に濡れながらタデの花で吸蜜中であった。あわててカメラを近づけると、近くのクズの葉上へ飛ぶ。今度はこちらも注意深く接近し、なんとかその姿をとらえることができた。すぐ側にはイチモンジセセリがツユクサで吸蜜した後、クズの葉上に止まった。ヤマトシジミとツバメシジミもクズの周りを飛んでいるのが見えた。また、キチョウがササの間を飛びまわった後、セイタカアワダチソウの葉につかまって小休止していた。ヨモギの葉上にはベニシジミが止まっていた。雨の日でも気温さえ高ければチョウは吸蜜活動するのだ。

tsumaguro0905夕方になって雨足は一段と激しくなってきたが、自宅へ戻って来る途中、ネズミモチの垣根にツマグロヒョウモンが雨宿りしているのが目に入った。ニセアカシアの葉にはボロボロのアゲハが翅を広げて休んでいた。イチモンジセセリたちも道端のメヒシバとエノコログサの葉上を飛び回って産卵をしていた。雨の日は産卵活動を休止するのかと思っていたが、どうやらそうでもなさそうである。

写真:2005年9月5日 名古屋市で撮影

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September 04, 2005

イチョウを食害するヒロヘリアオイラガ

ichohiroheri自宅周辺にはイチョウが街路樹として植栽されている。イチョウの葉には有害成分が含まれ、害虫がつきにくい植物といわれる。しかし、蛾類のなかにはイチョウの葉まで食べるものがいる。チャハマキ(ハマキガ科)、ヨモギエダシャク、オオトビスジエダシャク(以上シャクガ科)、クスサン(ヤママユガ科)、アメリカシロヒトリ(ヒトリガ科)の幼虫はいずれも多食性として知られる種で、イチョウの葉を摂食することが知られている。また、自然状態ではソテツの芽を摂食するソテツシジミやクロマダラソテツシジミの幼虫はイチョウの胚乳(銀杏)で飼育できるとのことである。

このところ街路樹のイチョウを見上げると、高い枝先の葉に昆虫の食痕があった。しかし、手が届かないために種名を確認できないでいた。ところが、今日は風で枝が大きく揺れたので、思い切りジャンプして枝を引っ張って見ると、食痕の主はParasa lepida (Cramer, 1777) ヒロヘリアオイラガの幼虫であった。まだ若令でイチョウの葉を舐食していた。恐るべしヒロヘリアオイラガ!

写真:ヒロヘリアオイラガに食害されたイチョウ、 同種若令幼虫 2005年9月4日 名古屋市で撮影

ヒロヘリアオイラガ若令幼虫

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タケノホソクロバを捕獲するハナグモ

minthanaアップル・ミントはリンゴの香りがするシソ科植物で、ハーブティやポプリなどに使用される人気のミントだが、繁殖力が強いこともあって自宅周辺では一部野生化もしている。今日いつもの散策コースを歩いていると、アップル・ミントの薄紫色の花に黒い虫の姿があった。タケノホソクロバの♀成虫だ。吸蜜シーンは珍しいと思い、撮影し始めたのだが、どうも様子がおかしいのである。いつもは敏捷なタケノホソクロバが微動だにしない。おかしなことがあるものだと思い花穂を引き寄せると、なんとハナグモがタケノホソクロバを羽交い絞めにしているのである。青酸配糖体を体内に蓄積することで知られるタケノホソクロバを捕獲するとは面白い。ハナグモはタケノホソクロバを摂食するのかどうかを見たいと思ったが、ハナグモは素早く獲物を掴まえたまま花から下りると、枯葉の間に隠れ逃げ切ってしまった。

写真:2005年9月4日 名古屋市で撮影

青く輝くタケノホソクロバ

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September 03, 2005

ヒメジュウジナガカメムシ幼虫

gagaimohimejuji裏の河川敷ではお盆前に草刈が行なわれたが、早くもヤブカラシ、ヨモギ、ガガイモ、カタバミの若葉が顔を見せ始めている。例年この時期には、ガガイモの若葉に、Tropidothorax belogolowi (Jakovlev) ヒメジュウジナガカメムシの幼虫がたくさん見られる。赤色に黒色の模様のある派手な幼虫で集団で群生する。葉表にも葉裏にもいるが、触るとすぐ集団で他の葉へ移動する。乾燥した草むらを好み、近似種Tropidothorax crucigar(Motschulsky) ジュウジナガカメムシと同様にガガイモ科植物を寄主にする。成虫越冬のようで、早春に草むらで成虫を見ることがある。

写真:ヒメジュウジナガカメムシに吸汁されたガガイモの葉と同種幼虫 2005年9月1日 名古屋市で撮影

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September 01, 2005

ウラナミシジミの交尾

mate0901mate0901b名古屋のウラナミシジミは夏季には少なく、秋が深まるにつれ個体数を増す。今日は9月1日。まだ少し早いかもしれないと思いながらも、午後4時半頃に裏のクズ群生地へ行ってみた。すると、クズの葉上を数頭の♂♀が飛んでいる。動きがとても早く、止まったかと思うとすぐ飛び去る。撮影をあきらめかけた時、ふと目に入ったのは地面すれすれに垂れたイタドリの葉につかまって交尾中のウラナミシジミだった。とっさに地面に腹這いになり、逆光の中を連写した。

ウラナミシジミの♂の翅は破損していたが、そのお蔭で普通は後翅に隠れて見えにくい雌雄の尾端がはっきりと見えた。最初見た時は上が♀で、下が♂の位置関係だった。5分ほど経過した時、連結したまま葉上を何度もくるくる回ってから、交尾を解除した。交尾終了後、雌雄は別個に飛翔し、午後5時過ぎにはクズの葉の間に隠れてしまった。その後クズの葉上に姿を現したのはウラギンシジミで、午後5時半ごろまで夕日を浴びなら飛翔していた。uragin0901

写真:ウラナミシジミ(上)、ウラギンシジミ(下) 2005年9月1日 名古屋市で撮影

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