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September 12, 2005

トビイロスズメとツチイナゴの幼虫

kuzu0912ウラナミシジミを見たいと思い、クズの生えている河川敷へ下りてみた。ウラナミシジミたちはクズの周りをかなり早いスピードで飛び交い、時々葉上に止まったり、花で吸蜜したりしていた。クズの青紫色の花にはヤマトシジミ、イチモンジセセリ、キチョウも吸蜜に寄り、朝早くからちょっとした賑いだった。そんなチョウたちの姿を追っているちに、面白い光景を目にした。一枚のクズの葉表にツチイナゴの幼虫が静止、その葉裏にはトビイロスズメの幼虫がしがみついていたのだ。ツチイナゴの幼虫は、トビイロスズメ幼虫の食痕から出る成分に誘引されたのかもしれない。ツチイナゴやオンブバッタ、ツユムシなどの直翅類幼虫がブタクサハムシの食痕を拡げるようにオオブタクサの葉を摂食するところをよく見かけるからだ。

トビイロスズメは7-8月に出現する大型スズメガである。幼虫はクズ、ニセアカシア、ハギ、フジなどのマメ科植物を摂食し、8月から10月末まで見られる。平地や山地に見られる普通種だが、生態は面白い。卵から終令幼虫までの飼育はいたって簡単だ。しかし、松浦寛子先生も書いておられるように、羽化に持ち込むのは至難の技である。土中で前蛹態のまま越年するが、老熟幼虫は大変気難しく、すんなりと潜土せずに幾度も地上へ上がってきてしまう。自然状態でも深く潜土しないのか、冬季に本種幼虫が地面にころがって斃死しているのを見る。通常の前蛹態とは異なり、翌年6月末になっても黄緑色のやや収縮した老熟幼虫のままで、7月になってからようやく蛹化する。飼育下では前蛹期の死亡率が高く、飼育管理期間が長いので大変だ。

ツチイナゴは年1化の直翅目昆虫で、9-10月ごろ羽化して成虫越冬する。よく冬に「バッタがいる」と話題になるのはたいてい本種のことである。成虫は翌年の初夏頃まで見られ、成虫と若令幼虫が共存する時期もある。成虫の体色は茶褐色だが、幼虫は黄緑色をしている。

写真:トビイロスズメ亜終令幼虫とツチイナゴ幼虫  2005年9月12日 名古屋市で撮影

文献:松浦 寛子(2000)『わが友いもむし 日本産スズメガ科幼虫図譜』 風知社

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Comments

Phasmidさん。ベニモントラガの経緯ありがとうございます。鳥でも学名の取り違いがあります。でもそのまま使われています。

来年の春になったら残りの一匹も羽化すると思います。今から楽しみです。私は特にガとカメムシが好きですね。

今コトラガの他にコスズメがいます。1匹は土中で蛹になりました。もう1匹は昨日貰ったばかりですが、もうかなり大きく褐色になっているので間もなく蛹になると思うのです。でもちょっと心配です。最初のコスズメは5匹いたのですが、蛹になれたのは1匹だけでした。ガの飼育は今年初めてなので分からない事だらけですが何とかがんばりたいと思います。それでは。

Posted by: ブトボソ | September 14, 2005 06:50 PM

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