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September 16, 2005

名古屋にもいたナカグロクチバ

nakaguro2このところ自宅周辺では毎回同じようなチョウやガばかりでマンネリ気味。新顔も少ないので、今日は散策を止めようかとも思った。しかし、日が暮れかけた頃、思い直して裏の河川敷へ下りてみた。案の定飛んでいるのはウラナミシジミやイチモンジセセリ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、キチョウにアゲハ。やはりチョウはきれいだが、すぐ見飽て面白味が無い。まるで満月でも見るようで興がうすい。チョウを撮影するのをやめにして、ヒガンバナの花を撮影しようと草叢へ足を踏み入れた。すると、下草の間に洒落た蛾が止まっているではないか!黒地に白っぽい横縞、前翅を縁取る色彩が燻し銀のようだ。図鑑でお馴染みのGrammodes geometrica (Fabricius, 1775)ナカグロクチバである。こんな南方系の蛾が名古屋にいるとは!まあ、本種の北限記録は群馬県だし、富山県や福井県でも記録があるのだから、愛知県にいても決して不思議ではない。しかし、よりによって外来植物が繁茂する自然度の低い河川敷にナカグロクチバがいるとは正直言って驚きである。恐らく遇産種で土着していないとは思うが、数年前のムラサキツバメといい、キョウチクトウスズメといい、思いがけない種が身近なところで見つかるものだ。こんなことはそれこそ宝クジに当たるような幸運だが、こういう発見の喜びがあるので、昆虫観察はやめられない。higanbana

追記(2005年9月19日)
この時期咲くヒガンバナは私の好きな花のひとつだ。幼い頃この花を土手で摘んで家に持ち帰ったことがあった。丁度仏壇の花が萎れかけていたので、ヒガンバナを供えたところ、「この花は毒があるので、普通は仏花には使わないのよ」と、母は花を下げようとした。すると、亡き祖父が母を止めて、「孫が摘んできた花だ。死んだ婆さんもきっと喜ぶと思うよ」と。赤い艶やかな大輪のヒガンバナは黒塗りの仏壇な中で映え、とても嬉しかったのを今も鮮明に記憶している。別名を曼珠紗華ともいうが、他にもたくさんの呼び名がある。その中にシロク、シロギ、シロエなどの名が残っていることに着目して、植物学者の前川文夫氏は『植物の名前の話』(八坂書房)で山口隆俊氏の論考(「彼岸花渡来記」)に依拠しつつ面白い論説を展開している。この植物はもともと稲の不作時に備えて非常食用として中国から輸入したもので、飢饉の時に鱗茎を水でさらしアルカロイド成分を除去して食したことから、シロエなどの名が残ったのではないかというのだ。日本のヒガンバナは3倍体で種子を結ばないと図鑑などには書いてあるが、稀に2倍体のものもあり、種子ができるとのことである。

ナカグロクチバ 2005年9月16日 午後5時ごろ 名古屋市で撮影
ヒガンバナ     同上

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Comments

こんにちは。
私もヒガンバナを載せたのでお邪魔しました。
なぜ、日本中、この時期にいっせいに咲くのかを書いた「ヒガンバナの生活史」のWebページがあったので、リンクもしてあります。
トラックバックいたします。

Posted by: てらまち | September 18, 2005 12:25 PM

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