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October 31, 2005

秋晴れの日の虫達

aosuji1031monshirohimeaka1031今日は朝から夕方まで晴れ渡っていたので、虫達も吸蜜活動や摂食行動、あるいは日光浴に勤しむ姿が見られた。アオスジアゲハ終令幼虫は寒い日には葉上に台座を作りじっと静止しているが、今日は暖いせいか、ものすごい勢いでクスノキの葉を摂食していた。モンシロチョウとベニシジミはまだ新鮮な個体を見ることができ、セイタカアワダチソウの花でさかんに吸蜜をしている姿が見られた。ヒメアカタテハやツマグロヒョウモンも比較的新鮮な個体が多く、枯草の上で翅を広げたり、セイタカアワダチソウで吸蜜する姿を目にした。セスジツユムシはイタドリの葉上に静止して日向ぼっこをしていた。弱っているらしく、ここ数日同じ場所でじっとしている。カメラを近づけても場所を移動しようともしない。アオドウガネも同様で、個体数は激減し動きも非常に鈍いが、まだ見られる。10月末まで頑張るとはたいしたものだ。
tsumaguro1031sesujitsuyu1031aodogane1031

写真:2005年10月31日 名古屋市で撮影

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センダンの実

sendan今日は青空が拡がり、爽やかな一日だった。例のごとく裏の河川敷へ下りてみると、センダンの枝先に付いた多数の実がいつの間にか黄色に熟しかけていた。センダンの木には夏の間クマゼミが寄り、高い声で鳴いていた。クマゼミが9月中旬に姿を消した後、カンタンの鳴き声が樹上から聞こえてきたが、今はすっかり静まりかえっている。センダンの真っ直ぐな枝ぶりと黄褐色の実を見ると、気持ちが伸びやかになる。もっとも、実は有毒らしく、センダンの実を啄ばむ鳥を見たことが無い。

yomogiedaこの時期センダンの木に寄る虫の姿はもう無いと思っていたのだが、枝上にシャクガの幼虫が3頭いた。センダンを寄主植物にする蛾には、センダンヒメハマキ、センダンコハモグリ、フトスジエダシャクなどが知られている。残念ながら今日見た幼虫は多食性のヨモギエダシャク幼虫らしい。センダンヒメハマキは前翅長10mmほどの小型の蛾だが、実物は図鑑で見るよりもはるかに美しい色彩模様の蛾だ。センダンコハモグリは前翅長5mmぐらいのミクロだが、これも実物は非常に繊細で美しい。ミクロの多くは実に優美でデザイン性に優れた自然の造形物だと思う。

写真: 2005年10月31日 名古屋市で撮影
Melia azedarach L. var. subtripinnata Miq. センダン
Ascotis selenaria cretacea (Butler, 1879) ヨモギエダシャク幼虫 

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October 27, 2005

秋の虫散歩

usumidori今日は秋晴れの一日だった。朝のうちは少し寒いくらいだったが、裏の河川敷へ下りてみた。すると、クスノキの樹幹に前翅長12-3mmぐらいの大きさの淡い黄緑色の蛾が止まっていた。Episteira nigrilinearia nigrilinearia (Leech, 1897) ウスミドリナミシャクだ。よく見ると新鮮な個体が6頭も同じ幹に静止している。なかなか渋くて良い蛾である。本種の幼虫の食餌植物はイヌマキ(マキ科)だが、付近にはイヌマキは見られない。イヌマキでないとしたら、自宅周辺のウスミドリナミシャク幼虫はいったい何を摂食しているのだろうか。
 
(写真:ウスミドリナミシャク(シャクガ科) 2005年10月27日 名古屋市で撮影)

kiirosuzumeウスミドリナミシャクを見たので気をよくして歩き出すと、ヤマノイモの蔓にしがみつく巨大なスズメガ幼虫の姿が目に留まった。Theretra nessus (Drury, 1773) キイロスズメ終令幼虫の褐色型だ。毎年秋になるとキイロスズメ成虫が灯火に飛来するが、今年はどうしたことか、まだお目にかかっていない。そのかわりに幼虫の方を見ることができて嬉しい。キイロスズメは普通種だが、自宅周辺ではセスジスズメやコスズメに較べると個体数は少ないようだ。

(写真: キイロスズメ終令幼虫(スズメガ科) 2005年10月27日 名古屋市で撮影)

nakajiroshitaba「今日は幸先がいいなあ」と思いながら歩いているうちに、下草の間からサツマイモの蔓が伸びていて、葉がボロボロに食害されていることに気付く。何気なく一枚の葉を裏返して見ると、ナカジロシタバの亜終令幼虫が静止していた。付近を探したところ、中令から終令まで多数発生していた。Aedia leucomelas (Linnaeus, 1758) ナカジロシタバはサツマイモの害虫として知られる蛾である。幼虫は派手な色彩で大変目立つが、成虫の方は黒っぽい地味な蛾である。

(写真:ナカジロシタバ亜終令幼虫(ヤガ科) 2005年10月27日 名古屋市で撮影)

kitateha102705kanamuguraそこそこ蛾も見られたので引き返そうとしたところ、すぐ目の前のセイタカアワダチソウにキタテハが飛来して吸蜜活動を開始した。自宅周辺ではヒメアカタテハの個体数は多いが、キタテハはほんの僅かしかいない。だからキタテハに出会うと大変嬉しい。20年ほど前にはキタテハの方が多く、ヒメアカタテハの方が少なかったが、今は全くその逆である。食餌植物のカナムグラはそれほど減っていないのに、キタテハが減少するのはどうしたわけなのだろう。

(写真:キタテハ成虫とカナムグラ 2005年10月27日 名古屋市で撮影)

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クリイロアツバの飼育羽化

kuriiro102605飼育中のクリイロアツバがここ数日の間に続々と羽化している。といっても、前翅長11mmほどの大きさで、翅の色は茶褐色をした冴えない成虫である。その辺を飛んでいてもつい見過ごしてしまうような類のアツバである。♀成虫は早くも産卵を開始している。本種は一度に卵塊で産卵せずに、1枚のササの葉裏に縦に2-3個づつ並べて乳白色の丸い卵を産付している。野外では若令ー中令幼虫が圧倒的に多く、終令幼虫にはなかなかお目にかかれない。寄生性天敵や捕食性天敵によって終令に到る前に死亡する個体が多いように思われる。自宅の飼育ケースの中には色鮮やかな終令幼虫が溢れ、それを眺めるとき、独り密やかな喜びに浸ることができる。

写真:Rivula plumipars Hampson, 1907 クリイロアツバ成虫(定光寺産) 2005年10月26日 撮影

クリイロアツバの幼虫

クリイロアツバの蛹巣

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October 24, 2005

吸蜜するアオスジアゲハ

aosuji102405aosuji102405apupa102405クズやコマツナギ、ヒガンバナの花期も終わり、野にはチョウの吸蜜植物が少なくなってきた。そうした中、外来植物であるセイタカアワダチソウの花はチョウにとって貴重な吸蜜源である。河川敷に群生するセイタカアワダチソウの黄色の花の周りには、多くのチョウが乱舞して競うようにして吸蜜する姿が見られる。キチョウ、モンシロチョウ、モンキチョウ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラナミシジミ、ツバメシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、チャバネセセリのお馴染みさんたちだ。写真撮影をしていると、すぐ目の前の花にアオスジアゲハが飛来して吸蜜を始めたのである。この時期アオスジアゲハの終令幼虫、蛹、成虫のステージを同時に見ることができる。

写真:アオスジアゲハ成虫と蛹 2005年10月24日 名古屋市で撮影

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ナカグロクチバを採集

nakaguro102405a今日は晴天だったので、午後3時過ぎに裏の河川敷を散歩した。のんびりと何を見るというわけでもなく、ぶらりぶらりと歩いていると、突然連れが草を指差しながら、興奮した声を上げる。「あっつ、あの蛾がいるー。早く早く網を貸して」。すぐにピンと来たが、あいにくネットを持っていなかったので、代わりにビニール袋を手渡した。ビニール袋をかぶせるようにして連れが採集したのは、ボロボロで鱗粉が剥がれたGrammodes geometrica (Fabricius, 1775) ナカグロクチバであった。この蛾を裏の河川敷で初めて見たのは今年9月16日のことだった。その後2回ほど目撃したが、いずれも逃げられ採集には至っていない。あれから随分日数が経つので、別の場所へ移動したか、斃死したか、天敵に捕食されたかのいずれかだと思いこんでいた。9月16日目撃した個体がまだ生きているとも思えないので、複数個体が定着していた可能性もあるようだ。

ナカグロクチバの幼虫について詳しい蛾友に電話で報告すると、必ず幼虫がいるはずだから探すようにと言われた。本種の食餌植物であるエノキグサ、コミカンソウ、イヌタデは河川敷には豊富にあるので、幼虫がいる可能性は高いが、あまりに食餌植物が多すぎて探すのも楽ではない。蛾友とは一緒に幼虫採集をしたことがあるが、その眼力は凄く、たった3mmぐらいの幼虫でも見逃さないのだ。目を食餌植物にすり寄せるようにしてしらみつぶしに調べ、幼虫を探し当てる様はまさに名人技である。幼虫探しには私も粘着質の方だが、蛾友の執拗さにはとても適わない。

写真:ナカグロクチバ♂のボロ個体 2005年10月24日 名古屋市で撮影

名古屋にもいたナカグロクチバ 

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October 23, 2005

アカイラガ

akaira自宅周辺を散歩中にニシキギの葉上で蛾を見つけた。夕方で薄暗いこともあって何かわからなかったので、自宅へ持ち帰った。明るいところで見るとPhrixolepia sericea Butler, 1877 アカイラガ(イラガ科)であった。古びた個体らしく、色も鮮やかさを失っていた。アカイラガといえば、10月9日に定光寺で採集した幼虫の写真をアップしたばかりである。その幼虫は10月13日に老熟して土中に潜った。幼虫は10月にいても少しも不思議ではないが、♂成虫が10月下旬までいるとは知らなかった。蛾は未知の部分が多いので面白い。

写真:アカイラガ♂(前翅長 約12mm) 2005年10月23日 名古屋市で撮影

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October 22, 2005

マエウスキノメイガの幼虫

kuzu100205kuzu100205amaeusuki先日裏の河川敷を散歩中に蛾の幼虫の新しい食痕があるクズの若葉を見つけた。クズの葉を2-3枚合わせるか、もしくは葉先を折り曲げて糸で封じた間に体長8mmほどの幼虫は潜み内側から葉を舐食していた。頭部が淡茶色で体が黄緑色の特徴の無い幼虫でだった。個体数はかなり多く、周辺のクズの葉はほとんど食害されていた。持ち帰って飼育したところ、10月13日から20日までの間にOmiodes indicatus (Fabricius, 1775) マエウスキノメイガが順次羽化した。本種はダイズやウズラマメなどのマメ科植物を摂食する蛾であるが、私が実際の幼虫を見たのは今回が初めてである。

写真:マエウスキノメイガの食痕と幼虫 2005年10月2日 名古屋市で撮影


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October 20, 2005

チャオビヨトウの羽化

chaobilkanamugurachaobiyo9月28日に裏の河川敷でチャオビヨトウの幼虫(中令から終令)を多数見つけた。幼虫はカナムグラ(クワ科)の葉裏に寄生し、葉に穴のような食痕を残す。一見アツバ類の幼虫のように見えるが、アツバの幼虫ほどピョンピョン跳ねたりしない。数頭採集して室内飼育したところ、10月1日から蛹化し始めた。蛹化はカナムグラの葉を綴った内や飼育ケースの底に敷いてあったティッシューペーパーの間で行なわれた。野外では蛹越冬らしいが、気温が高かったせいか、10月17日より続々と羽化が始まっている。寄生蜂やヤドリバエは今のところ出ていない。ちなみに野外では10月中旬まで本種幼虫を見ている。

本種幼虫の飼育については、「晶子の庭は虫づくし」が参考になる。講談社の日本産蛾類生態図鑑にも幼虫は図示されているが、残念ながらこの本は現在入手しにくい。バブル期に保管料の嵩む在庫を抱えたくなかった講談社が残部の大半を裁断してしまったからだ。その当時は、また印刷すればよいという腹づもりだったのだろうが、以後再販の見通しは全く立っていない。今となってみると、惜しいことをしたものだ。

写真:Niphonyx segregata (Butler, 1878) チャオビヨトウ終令幼虫 2005年10月1日 名古屋市で撮影
    カナムグラに残された食痕                         同上
    飼育羽化したチャオビヨトウ成虫                  2005年10月20日

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October 17, 2005

紅葉の大河原峠と女神湖

先週末まとめて休みが取れたので、女神湖と大河原峠へ家族旅行へ出かけた。天気予報は雨時々曇りということだったが、名古屋は晴れていた。中央自動車道「諏訪IC」を出たのは午後12時半頃。茅野市内からの大渋滞を予想していたが、平日ということもあって極めて快調だった。ビーナスライン沿いの蕎麦屋「蓼科庵」で昼食。窓際の席に座ると、アカトンボが乱れ飛ぶ借景がのどかで、ゆっくりと食事が楽しめる店だった。蕎麦の方は、くせの無いあっさり味で物足りないような気もしたが、良い蕎麦とはこんなものだろう。

urajiroビーナスラインから大門街道へ入り、渓流沿いのカーブを登るとすぐ白樺湖に着いた。白樺湖は初めてという母のために、池の平ホテルの前で車を止める。ナナカマドの実が赤く色づいていたが、このあたりはまだ紅葉していなかった。翌日は天気が崩れるかもしれないので、天気の良いうちに母に紅葉を見せたいと思い、標高2093メートルの大河原峠へと急いだ。蓼科スカイライン(夢の平林道)を登り出すと、御泉水自然園辺りからそれまで緑色だった樹木に黄色、橙、茶色、赤色が混じるようになり、風情のある景色に変わってくる。蓼科スカイライン入口付近ではナナカマドやヤマボウシ、マユミの葉もまだ緑色で赤い実だけが目立ったが、標高が上げるにつれ葉も実も鮮やかな赤色になってきた。ミズナラ、シラカンバ、ウラジロノキ、カツラ、ヤマナラシなどの葉も緑色から黄褐色に変わり、樹幹に纏わるヤマブドウの赤い葉は目に染みるようだった。対向車もほとんど無く、色づきはじめた山の風景を満喫することができた。記念写真は撮ったが景色だけの写真は無い。海野和男さんが「小諸日記」の中で素晴らしい紅葉の写真を公開しておられる。海野さんの写真は望月町から撮影したものだが、私が見た紅葉もこの写真とほとんど同じである。
写真:ウラジロノキ 2005年10月14日 蓼科スカイラインで撮影

ookawara大河原峠そのものはクマザザとカラマツなどの針葉樹があるだけで峠からの眺めも今ひとつだ。峠を越え佐久市側に下ることもできる。16年前の5月の連休、ヒメギフチョウ見たさに夢の平林道を訪れ、この峠まで来たことがある。大河原峠は雪の壁だった。来た道を素直に引き返せばよかったのに、冒険心から望月町へ下りようとしたところ、鹿曲川林道は積雪で通行止めだった。やむなく別の林道を下ったところ道はしだいに狭くなり、途中でUターンもできなくなってしまった。左右は美しい木漏れ日の入る雑木林で、ヒメギフチョウが今にも飛びそうな雰囲気であった。しかし、地図にもない細いデコボコ道は延々と続くので、不安のあまりヒメギフどころではなかった。夕闇の中ようやく民家が見えはじめた頃から道幅は広くなり、臼田町の国道141号に出た時には本当に救われる思いであった。後で林道マップを調べたところ、どうやら大曲林道を走ったようだ。あの道のりの長さは今もって忘れることができない。
写真:2005年10月14日 大河原峠で撮影

yamahahako2kiroこの日は女神湖近くのホテルアンビエント蓼科コテージに泊まった。コテージはシラカンバ、ブナ、ミズナラ、ミズキなどの雑木林の中に建っていて、眺めも良く森林浴が楽しめる。コテージもよく出来ていたが、困ったのが買い物だった。食材を茅野市内で調達しておかなかったばかりに、20kmほど下った最寄のスーパーマーケット「ツルヤ立科店」まで行く羽目に。店の品揃えは良かったが、往復に時間がかかり過ぎ、コテージの周りを歩いて昆虫を観察する時間が無くなってしまった。虫屋としては致命的な痛手であった。日が暮れると窓には蛾が寄って来たが、これといって特に注目すべき種はなかった。フタキスジエダシャク、ヒメヤママユ、キイロキリガ、アオバハガタヨトウ、シマカラスヨトウで普通種ばかり。
写真:ヤマハハコとキイロキリガ 2005年10月14日 ホテルアンビエント蓼科コテージで撮影

megamikohanenagafuki翌日は未明から雨が降り、朝方に少し小止みになり日が差したかと思うと、またパラパラと雨・・・午前中はこの繰り返しだった。女神湖の周りはコハウチワカエデが紅葉しはじめていた。小さな湖だが、白樺湖よりも幾分自然が残されている。湖畔から見える蓼科山の姿も美しい。小雨の中を蓼科スカイラインを走り、夢の平展望台まで行って見る。展望台からは女神湖が一望できた。天候が悪いせいもあってチョウの姿は無かったが、ハネナガフキバッタがピョンピョン跳ねていた。ガの幼虫はいなかと探すと、目についたのはナシケンモン終令幼虫であった。わざわざ蓼科まで来て自宅裏でもいるような超普通種に出会うとは正直言って情けない話だ。雨も本振りになってきたので昆虫観察を断念し、女神湖通りの「喫茶たんぽぽ」に寄ってコーヒーとアップルパイ。紅玉を煮て作った自家製アップルの味が爽やかだった。帰りはビーナスライン沿の野菜直売所に寄り珍しい野菜を見たり、きのこ蕎麦を食べたり、中央道諏訪SAで夕暮れの諏訪湖を眺めながらコーヒーを飲んですごした。いつも諏訪SAまで来ると、もう名古屋に戻ったようなリラックスモード。とはいえ土砂降りのなか名古屋に戻ったのは午後10時近くだった。
写真:女神湖 とハネナガフキバッタ 2005年10月15日 夢の平展望台で撮影

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October 13, 2005

ヒガンバナで吸蜜するベニシジミ

beni101305久しぶりに裏の河川敷に行ってみたら、数は減ったものの、まだヒガンバナが咲いていた。ところどころに立つヒガンバナは、一面に咲いていた最盛期とはまた一味違った風情がある。キチョウ、ツバメシジミがヒガンバナを訪れていたが、敏感ですぐ飛び去り、ゆっくり写真を撮ることはできなかった。あきらめかけた時、ふと目の前のヒガンバナの花にベニシジミが止まっていることに気付いた。ベニシジミの翅の赤い色は遠くから見るとまるでヒガンバナの花の一部のように見えた。幸いかなり長い間じっと吸蜜に専念していたので、その姿をカメラに収めることができた。10月の野にポツンと咲くヒガンバナは華やぎと同時になぜか一抹の寂しさを感じさせる。

             花火師の旅してゐたり曼珠紗華  加藤楸邨

写真:ヒガンバナで吸蜜中のベニシジミ 2005年10月13日 名古屋市で撮影

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飼育中の幼虫(ドクガ科・イラガ科)

akairagaしばらくブログの方をさぼっているうちに飼育中の蛾類幼虫の画像が増えてしまった。いずれも名古屋市内でも見られるような普通種だ。まずPhrixolepia sericea Butler, 1877 アカイラガ(イラガ科)であるが、これは10月9日愛知県瀬戸市定光寺町でイヌシデ(カバノキ科)の葉上より採集した終令幼虫である。多食性で、チャノキ(ツバキ科)、ウメ、モモ、サクラ、(以上バラ科)、クリ、クヌギ、コナラ(以上ブナ科)、カキノキ(以上カキノキ科)、コハウチハカエデ(カエデ科)、ネジキ(ツツジ科)、ダイコン(アブラナ科)、サツマイモ(ヒルガオ科)などが食餌植物である。成虫は保育社の幼虫図鑑の写真などを見ると、いかにも汚らしく見えるが、羽化したばかりの個体は白い模様が映えて意外にお洒落である。総じて展翅した蛾は実際に静止している姿よりもずっと写真映りが悪くて気の毒である。

sugiCalliteara argentata (Butler, 1881) スギドクガ(ドクガ科)の幼虫は、同じく10月9日定光寺を散策中に上から糸を引いて目の前に落ちてきたものである。体長約10mmで脱皮直後だったようだ。現在は体色が黄緑色になってきている。早春に令数の進んだ幼虫を見かけるところから、名古屋周辺では恐らく幼虫越冬と思われる。スギ(スギ科)、サワラ、ヒノキ(以上ヒノキ科)が食餌植物として記録されている。自宅周辺のヒマラヤスギにも発生するが、マツカレハのように大発生をしたことは今のところ無い。

himeshiromonhimeshiromonbOrgyia thyellina Butler, 1881 ヒメシロモンドクガ(ドクガ科)の幼虫は、9月30日に愛知県豊田市猿投山麓でフジ(マメ科)から採集したもの。採集時体長8mmぐらいだったが、その後2回の脱皮を経て先程終令幼虫になったばかりである。第1-第4腹節背上のブラシ状毛束には変異があるようだが、今回の飼育個体は亜終令までが黒色で、終令になって白色に変化した。多食性で、リンゴ、ソメイヨシノ、ウメ、スモモ、ナシ、ナガバモミジイチゴ(以上バラ科)、クリンソウ(サクラソウ科)、カキノキ(カキノキ科)、ハンノキ(カバノキ科)、イタドリ、オオイヌタデ(タデ科)などに寄生する。

yakushimaなお、同属のOrgyia triangularis Nomura, 1938 ヤクシマドクガは照葉樹林帯の蛾で、幼虫はサカキ、ヒサカキ(以上ツバキ科)、ヤマモモ(ヤマモモ科)を摂食する。ヒメシロモンドクガに似るが、第1-4腹節背上の毛束が橙黄色で、第1-3腹節背上の地色は黒色、第4-8腹節背上の地色は暗灰色で、全体に渋い色彩である。写真の個体は『蛾類通信 171:375-376』(1992)に発表したものと同じだが、当時モノクロ印刷だったのでカラー写真をおまけに添付する。

写真:アカイラガ終令幼虫(愛知県瀬戸市定光寺町産)      2005年10月9日 撮影
    スギドクガ中令幼虫(同上)                         同上
    ヒメシロモンドクガ亜終令、終令幼虫(豊田市猿投町産)  2005年10月13日撮影
    ヤクシマドクガ終令幼虫(愛知県南設楽郡鳳来町産)    1992年6月上旬  岡田正哉氏撮影

           

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October 08, 2005

クリイロアツバの蛹巣

sheltersheltern今日は一日中雨だった。仕事から戻ってくるなり先ず飼育容器を覗いたら、クリイロアツバの幼虫がササの葉を巻いて前蛹になっていた。中村正直氏が報告しておられるように、蛹巣はササの葉先をおむすび状に折りたたんで造られていた。自然下でこのササの葉先を見ても、その中に蛾の蛹が潜んでいるとはまず思うまい。なんと巧みな隠れ方であろう。幼虫飼育をしていると思いがけぬ楽しみがあるので、世話は大変でもやめられない。

【追記】 2005年10月9日
今日定光寺へ行き、自然状態のクリイロアツバの蛹巣をいくつか見つけたので、写真を追加する。

写真:ササの葉先に造られたクリイロアツバの蛹巣(飼育下と自然下) 2005年10月8、9日撮影

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October 06, 2005

クリイロアツバの幼虫

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kuriiro10月1日定光寺でササを摂食する鱗翅目幼虫を数種採集した。最近飼育する幼虫数が増えて手が回らず、詳しく観察しないまま飼育容器に入れて放置してあった。さきほど新しい葉に交換しようと容器を開けたところ、クリイロアツバ幼虫のうち成長の早い個体がもう終令になっていた。まだ若令幼虫が残っているとはいえ、この種は寄生も多くて無事蛹化するものはそれほど多くない。惜しいことをしたものだ。Rivula plumipars Hampson, 1907 クリイロアツバ(ヤガ科)の終令幼虫と蛹は中村正直氏や村瀬ますみ氏によって図示や検索がなされているが、残念ながら若令幼虫に関する言及は無い。

若令は頭部が黒っぽく、体色が黄緑色で一見セセリチョウの幼虫にみえるが、黒色の1次刺毛が発達しているのでクリイロアツバとわかる。中令幼虫は頭部が黒色(厳密には淡褐色の地色に黒斑が広がる)、体色は黄緑色で、第5腹節背上に1対の黄色斑を持つ。体色は1令から亜終令まではほぼ同じ黄緑色で、終令になって初めて美しい縞模様の色彩に変化する。中村正直氏も書いておられるように、亜終令幼虫と終令幼虫の色彩は別種と見紛うばかり違っている。また、中令から亜終令幼虫の第5腹節の黄色斑模様は、まるで寄生された鱗翅目幼虫そっくりである。最初この幼虫を猿投山で見つけた時、私は模様とは気づかず、全部の幼虫から寄生性天敵が羽化するものとばかり思いこんだほどである。

写真:クリイロアツバ若令、中令、終令幼虫(瀬戸市定光寺町産) 2005年10月6、7日撮影

参考文献:
中村 正直(1990)クリイロアツバの幼生期. 蛾類通信 157:101-106
村瀬ますみ(2002)クリイロアツバの幼虫. 蛾類通信 217:324

 

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寄生されていたヤマクダマキモドキ

yama092405先月末猿投山麓へ行った時、美しい緑色をしたヤマクダマキモドキ(ツユムシ科)を採集した。ところが、昨夜飼育容器を見たら、腹面が黒ずみ、翅の色が変色しかかっている。腹部からはクリーム色の蛆虫が脱出しようとしている。ハエの幼虫らしい。既に脱出した幼虫も含めて3個体を確認した。直翅目昆虫を寄主とするハエはヤドリバエ科とは限らない。ニクバエ科の場合もありうる。

それにしても寄主の体を破ってヤドリバエ幼虫が脱出するところはすさまじいものがある。その写真をブログに掲載するのも諸賢の顰蹙を買いそうである。かわりに先月下旬に定光寺で撮った別の写真をアップする。写真の個体は採集しなかったが、こうしてみると樹上性のヤマクダマキモドキが地面に止まったまま動かずにカメラに収まるというのはどうも変だ。この個体もひょっとして寄生されていて動きが鈍くなっていたのでは?などと、ついつい勘ぐってしまう。これも寄生のトラウマだ。

写真:ヤマクダマキモドキ 2005年9月24日 愛知県瀬戸市定光町で撮影

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October 05, 2005

秋雨の中の虫たち

今日は朝から雨だった。昼ごろ雨が小止みになったのを見計らって、自宅周辺を少し周ってみた。すると晴天の日に負けないほどたくさんの昆虫の姿を目にすることができた。チョウやガもこの機を逃すまいとするかのように一斉に花に集まっていた。アベリアの花の周りにはオオスカシバが飛んでいた。ヒガンバナは花期が終わりかけであるが、多数のウラナミシジミや数頭のキチョウがしきりに吸蜜していた。セイタカアワダチソウ、アメリカセンダングサ、ダキバアレチハナガサにはヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、ヒメアカタテハが吸蜜や休息のために集まっていた。ヤブカラシにはチャバネセセリとヒロヘリアオイラガ幼虫が静止していた。カナムグラの若葉にはツバメシジミの姿があった。

イタドリの葉に穴状食痕の側にはアオドウガネが止まっていた。アオドウガネの数は7-8月頃に比べて激減しているものの、10月に入ってもまだまだ健在だ。足元の草の間を走り抜けようとするのはエンマコオロギだった。そのうち雨がまたひどくなってきたので、観察を中止することにした。戻る途中クスノキの幼木を見ると、葉上のアオスジアゲハ終令幼虫はびしょぬれ。2令幼虫は雨水に体半分浸かっていた。雨の日は虫たちも大変だ。

写真:2005年10月5日 名古屋市で撮影
uranami1005uranami1005buranami1005ckicho1005kicho1005abeni1005himeaka1005yamat1005chabane1005tsubamehiroheriaosuji1005aaosuj1005
aodo1005
enma1005

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October 03, 2005

ヒガンバナで吸蜜するアゲハ

ageha1002裏の河川敷のクズ群落にはここ数日ウラナミシジミの個体数が増え、ざっとカウントしただけで200個体以上いる。クズの間にはヒガンバナが咲いていて、9月末からは真っ赤なヒガンバナに代わって白色が混じったタイプが目立ってきている。ヒガンバナで吸蜜する鱗翅目昆虫は多く、昨日はキチョウ、アゲハ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリがヒガンバナで吸蜜するところを観察した。いずれもカメラを向けるとすぐ逃げてしまい、たまに撮影できたかと思うと、翅に欠損のある古びた個体ばかりである。どうやらドジな私が撮影できるのは動きの遅い手負いの老個体ばかりらしい。

写真:ヒガンバナで吸蜜するアゲハ 2005年10月2日 名古屋市で撮影

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October 02, 2005

セスジツユムシ

sesujitsyu昨日は午後から瀬戸市定光寺町の自然休養林へ昆虫観察に行った。猿投山と同様に定光寺町も昆虫が豊富なフィールドである。ここでもツクツクボウシがたくさん鳴いていた。時間帯によってどうも鳴き方が異なるらしく、一昨日の猿投山で聞いた鳴き方よりもピッチが早いような気がした。早鳴きもまた素晴らしかった。ササやタケの葉に寄生する幼虫を調べているうちに、ササの葉上で警戒モードのセスジツユムシ♀を見つけた。セスジツユムシには緑色型と褐色型の2型があるが、これは褐色型のようだ。卵はススキやチガヤなどの葉に産付されるというが、幼虫は多食性である。

写真:2005年10月1日 セスジツユムシ 愛知県瀬戸市定光寺町で撮影

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ハンミョウの道案内

hanmyo先週の金曜日、実に半年ぶりに豊田市の猿投山へ昆虫観察に行った。猿投山は手軽に行ける格好の昆虫観察フィールドであったが、万博開催期間中は交通渋滞が怖くて足が遠のいていた。万博も終わり、ようやく会場周辺は静けさを取り戻しつつあるようだ。猿投山麓に着くと、早速ツクツクボウシの鳴き声が出迎えてくれた。自宅周辺でもツクツクボウシはいるが、個体数が少ないので鳴き声は時々しか聞こえない。猿投山では鳴き声が途絶えることなく、その音色はかすかな哀愁すら帯び、夏の疲れが一挙に癒されるような美声だった。かの古代ギリシアの詩人達は鳴く虫の歌声を愛で、とりわけセミの鳴き声を賛美したというが、恐らくその鳴き声はツクツクボウシのような調べだったのではないだろうか?

来てよかったなあ、と思いながら山道を歩き出すと、目の前をキラキラ光るハンミョウが道案内をしてくれる。ハンミョウは名古屋市にもいるが、やはり個体数は猿投山の方が断然多い。ハンミョウの写真を撮影したいと思ったが、動きがすばやくて写真を撮らせてくれない。やむなくフィルムケースに採取して後日自宅で撮影したのが添付の写真である。動かなくなり死んだのかと思って撮影していたら、ムクムクと動き出すので驚いた。大顎の先端が黒色なので♀のようである。鞘翅や頭部胸部だけではなく、脚や触角まで構造色を成し光輝く。ハンミョウは日本産ハンミョウ科昆虫24種の中でもニワハンミョウと並ぶ普通種だが、いつ見ても嬉しい昆虫の一つだ。

Cicindela japonica THUNBERG,1781 ハンミョウ 愛知県豊田市猿投山産 2005年10月1日撮影

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