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November 29, 2005

日本鱗翅学会東海支部講演会

今週土曜日(12月3日)に日本鱗翅学会東海支部の公開講演会が開催される。講演会は日本鱗学会の会員でなくてもチョウやガの好きな人なら誰でも参加できる。この日の特別講演の講師は広島大学総合科学部大学院生物圏科学研究科化学生態学研究室の本田計一先生である。本田先生は子供の頃からの昆虫少年。広島大学在任前は化粧品会社勤務の傍ら、「アマチュア」としてクロアゲハの産卵刺激物質に関する優れた研究成果を発表して来られた「異色」の経歴の持ち主である。今年8月に東京大学出版会から上梓された『チョウの生物学』(表紙写真)の編者の一人で、第9章「成虫の採餌行動」、第10章「食性と寄主選択」、第11章「配偶行動」を執筆されている。今回はチョウの雌がどのような化学刺激を手ががりにして食草を判定し産卵を行なうかをアゲハチョウ類とマダラチョウ類を例にわかりやすくお話し下さる予定である。

book本田先生の講演は午後2時から午後3時半までの予定だが、日本鱗翅学会員の方は特別講演前に総会が開かれるので、午後1時に集まっていただきたい。特別講演の後休憩を挟み一般講演が続く。一般講演の中には、日本鱗学会会長の高橋真弓先生による東シベリアのチョウ類調査報告があるかと思えば、私のようにブログをまとめただけのお粗末なものまで極めて「多様」である。講演会の後、会場のタワー75の1階『オリーブ」で本田計一先生を交えて懇親会(料金別途・当日受付で申込み)が開かれる。事前申込み不要で、ともかく肩の凝らない大変気楽な集まりなので、多くの方々のご来場をお待ちしている。


                        日本鱗翅学会公開講演会の案内

【日時】2005年12月3日(土)14:00-17:00

【会場】名城大学タワー75  15階 レセプションホール
     名古屋市天白区塩釜口1-501
     Tel:052-832-1151(代表)
     名古屋地下鉄「鶴舞線」塩釜口1番出口より徒歩5分
     アクセス

【参加費】500円 (中学生以下無料)

【主催】日本鱗翅学会東海支部

【特別講演】本田計一 氏 (広島大学総合科学部教授) 
    「チョウの食草選び-母と子と植物の言い分」

【一般講演】
    西原かよ子:「矢田川河川敷の鱗翅類」
     波平和也: 「温度変化によるナガサキアゲハのメスの白紋の出現状況」
     高橋真弓: 「東シベリア・マンモスの国のチョウと自然」
     間野隆裕: 「豊田市都心部において糖蜜で誘引されたガ類群集」

 

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November 23, 2005

ムラサキシジミの日向ぼっこ

murasaki1123bmurasaki112311月も下旬になり、ようやく自宅の周りの木々も色づいてきたと思っていたら、早くも散歩道には色鮮やかな赤や黄、茶の落葉が舞いはじめている。紅葉は厳しい冬を迎える前の自然の静かな微笑みのようにも感じられる。サクラやケヤキ、モクレン、アメリカハナミズキなどの落葉を一枚一枚見つめながら歩いていると、青光りするものがさっと飛び立ち、すぐ近くの落葉の上に止まるではないか。目で追うと、それはムラサキシジミであった。ソメイヨシノの枯葉の上に翅を閉じて静止するムラサキシジミの姿は、まるで枯葉の一部のように見えた。茶色の裏翅が背景色に溶け込み、姿を見失いそうになるところであった。ムラサキシジミは日光浴を楽しむがごとく、枯葉の上を行ったり来たりして、翅を開いたり閉じたりする行動をかなり長く続けていた。変温動物であるチョウやガでは、このように午前中に翅を開閉させて体温を上昇させる行動はよく見られる。冬に入っても暖かい日には地面で日光浴するムラサキシジミの姿が見られるだろう。

ムラサキシジミ 2005年11月23日午前10時45分 名古屋市で撮影

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November 21, 2005

ミノウスバの産卵

minousubam今日も青空が広がる晴天日だった。昼ごろふと思い立って自宅近くのマサキの生垣へ行ってみた。ミノウスバ(マダラガ科)の産卵を観察するためだ。実は11月13日に日本鱗翅学会藤沢大会で藤沢市を訪れた時、ミノウスバの♂がサクラの葉上で腹端を上げてコーリング行動を取る姿を目撃した。♂の方が出現が早いので、名古屋でもそろそろ♀が交尾を終えて産卵を開始している時期ではないかと思ったのだ。予想はぴたりと当たり、丁度ミノウスバの♀がマサキの枝の先の方に体を寄せて産卵中であった。同じ枝に3頭の♀が折り重なるなるように縦に並んで産卵しているのが目に入った。よく見ると、他の枝には2頭づつ縦並びになって産卵しているグループが3組あった。ミノウスバの♀は日当たりの良い方向にある枝に並べるように産下し、卵塊は尾端の毛で覆われていた。枝はたくさんあるのに、あえて複数の♀個体が集合して同じ場所にかたまって産卵するのは何故だろうか?集合効果についてはいろいろな説があるが、卵塊サイズが大きいほど水分保持効果があることや、ミノウスバの卵は青酸配糖体を含有するので、卵塊が集合すれば天敵に対して化学防御効果が高まることも考えられる。
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写真:コーリングするミノウスバ♂成虫  2005年11月13日 藤沢市で撮影
    集合産卵するミノウスバ♀成虫    2005年11月21日 名古屋市で撮影

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November 20, 2005

アカボシゴマダラの飼育羽化

akaboshia11月13日に藤沢市内で採集した(というか厳密にはT.Yさんが教えてくれ、私が採集した)アカボシゴマダラの蛹から昨夜成虫が羽化した。近似種ゴマダラチョウより一回り大きく、後翅に赤紋があるので区別できる。腹部が太いことや翅が丸みを帯びていることから♀成虫と思われる。今年の湘南では昨年よりもアカボシゴマダラが多いようである。移入昆虫の常として移入当初は寄生性天敵もいないことから、生存率が高いと考えられるが、一方で継続的に放チョウがなされていることも増加現象に関与しているのではないかと危惧している。

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラは「棲み分け」して共存しているという楽観意見もある。その理由は1)出現期が微妙にずれる、2)ゴマダラチョウは高木を、アカボシゴマダラは幼木を利用するし、食餌を奪い合うことは無い、というものだ。鱗翅学会藤沢大会でもそうした意見が述べられていた。しかし、名古屋ではゴマダラチョウの幼虫は高木に劣らず幼木も利用している。出現期も幼虫越冬する鱗翅類に共通する現象でかなり幅がある。もし、アカボシゴマダラが湘南に定着すれば、必ずゴマダラチョウまたはテングチョウの減少は将来避けられないと思う。

飼育羽化したアカボシゴマダラ  2005年11月20日名古屋市で撮影

アカボシゴマダラの幼虫と蛹

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November 19, 2005

ウラギンシジミ

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11月も半ば過ぎると、虫の姿が急に少なくなってきているように感じられる。昨日は快晴だったので、朝のうちに自宅周辺を散歩してみたが、チョウではキタキチョウ1頭、ヤマトシジミ10数頭、ベニシジミ8頭、ヒメアカタテハ1頭、ウバメガシ葉上に止まるぼろぼろのウラギンシジミ1頭を見ただけだった。蛾もイタドリ葉上でナシケンモンの幼虫(褐色型)1頭、ナンキンハゼの葉上でナンキンキノカワガ幼虫7頭を観察したのみ。寂しい散歩コースになってきたものだ。

写真:ウラギンシジミ、ベニシジミ、ナンキンキノカワガ幼虫 2005年11月18日名古屋市で撮影

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November 14, 2005

アカボシゴマダラの幼虫と蛹

akaboshi3akaboshi4akaboship11月12-13日、日本大学藤沢キャンパスで開催された第52回鱗翅学会大会に参加した。2日とも晴天で、藤沢市ではキチョウ、ベニシジミ、ムラサキツバメ、クロコノマチョウなどが飛んでいた。今回の大会参加で私が関心を寄せていたのは移入種アカボシゴマダラであった。鱗翅学会の一般講演にも移入種アカボシゴマダラの分布拡大に関する報告があり、シンポジウムでも最も質問が集中した話題の一つでもある。本種が鎌倉市で発見されて以来7年が経過するが、アカボシゴマダラの分布は毎年じわじわと範囲を広げているようである。これまで文献や講演、ネット上で様々な本種に関する情報を入手しているが、自分自身でアカボシゴマダラの幼虫や蛹を見つけたことがなかった。ぜひとも幼虫や蛹を探したいと思っていたところ、幸いにも頼もしい虫屋の友人であるT.YさんやO.Yさんの御力を借り、なんとか幼虫10頭と蛹1頭を入手することができた。採集数は決して多く無いが、生息環境や越冬のしかたなどを垣間見たようで大変興味深かった。と同時にエノキを食餌植物にするゴマダラチョウやテングチョウ、アカタテハなどとの競合や、今後どのような寄生性天敵がアカボシゴマダラを利用するようになるのかなど未知数の要素も多く、悩ましい問題であることを改めて痛感した。

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晩秋の木曽駒高原と野麦峠

tokuonji11月4-5日、木曽路と野麦峠方面へ家族で旅行に出かけた。両日とも晴天に恵まれ、紅葉の秋を満喫することができた。一日目はゆっくりめに出発したので、木曽駒高原には午後2時ごろ到着した。ホテルへ荷物を預けた後、すぐに木曽町宮ノ越にある木曽義仲の菩提寺徳音寺へ寄る。白壁の塀が重厚で風情のある寺院だった。平日ということもあってか拝観者は私達だけ。境内には木曽五本が植えられていて、キイロスズメバチの巣が2個造られていた。木曽義仲が眠るにふさわしいところで静かな時間が流れていた。

karamatsuこの後、薮原から木祖村へ入り、境峠を越えて奈川へ向かう。境峠付近からは黄変したシラカンバやカラマツが多く見られた。この辺りは10数年前には毎週のように蛾採集に来た場所であるが、夜間走ったこともあって周りの景色をじっくり見たことはなかった。今回この時期にドライブし、その自然環境の素晴らしさを再認識した。手打ちの新そばを食べようと午後3時40分に奈川木曽路原の蕎麦処へ立ち寄ったところ、店じまいだった。既に日は傾きかけていたが、野麦峠(1672M)へ向かう。お助け小屋に着いたときは午後4時20分。セーターに厚手のブレザー姿だったが、とても寒かった。店は片付け中だったが、頼んでコーヒーを出してもらう。熱いコーヒー一杯でこれほど身も心も温まるとは思わなかった。お助け小屋は宿泊もできるはずだが、宿泊客はいないのか、店の人は午後5時に帰ると言っていた。急いで峠を下る道すがら、まっすぎ聳え立つカラマツ林は美しかった。先月行った大河原峠のカラマツも見事だったが、野麦峠のカラマツ林はもっと雄大であった。宿泊先の木曽駒高原ホテルへ着いた頃には周りは真っ暗になっていた。

kenmonmidori夕食後、ホテルの敷地内の灯下めぐりをすると、かなりの個体数の蛾が飛来していた。一番多かったのがケンモンミドリキリガ、次いでアカフヤガ、アオバハガタヨトウ(以上ヤガ科)が多かった。後はネグロウスベニナミシャク、カバエダシャク、ツマキナカジロナミシャク(以上シャクガ科)、ハガタクチバ、フクラスズメ(ヤガ科)。クスサンの♂もいた。クシヒゲシャチホコやフユシャクが飛来すると期待していたのだが、すっかり当てがはずれてしまった。

ontake二日目の朝、冠雪した御嶽山が部屋からよく見えた。午前10時ごろホテルを出発し、まず新開スキー場の方へ行く。右手に僅かに冠雪した木曽駒ケ岳、左手に木曽御嶽山を望む絶景。スキーシーズン前なので、辺りはひっそりとしている。キチョウやテングチョウが飛んでいる。その後19号線へ出て奈良井方面へ向かう。塩尻市木曽平沢の木曽くらしの工芸館へ立ち寄り、喫茶「ユーライフ」で漆の実を煎った漆コーヒーを飲む。ドーナッツも大変美味しかった。

uranami贄川まで行って福島関所跡を見てから、Uターンし鳥居峠トンネルを出たところで右折して味噌川ダム(奥木曽湖)へ向かう。右側は広葉樹が多い山で、左側の谷間には木祖村の村落が見える。味噌川ダムは木曽川の源流を堰き止め作られたダムである。味噌川とは「未だ木曽にならず」という意味だそうな。蛾採集に奈川へ通っていた当時、深夜木祖村を通ると、工事現場(標高約1000M)からの強烈なライトが闇に浮かび上がり非常に不気味だった。ダムが完成した現在、木曽川源流ふれあい館という味噌川ダムを紹介する立派な施設がダムの側にある。アカタテハ、モンキチョウ、キチョウ、ウラナミシジミが飛んでいた。他に観光施設は無いが、景色は素晴らしい。木祖村へ下りるドライブコースから見える木曽駒ケ岳の眺望もなかなかのものだった。前日行った境峠を再度越え、奈川木曽路原の蕎麦処で新蕎麦を食べ、ゆっくりと帰途についた。

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November 02, 2005

セイタカアワダチソウに寄る虫達

uranami110105beni110105koao110105自宅裏の河川敷では、秋の草刈後に生えたセイタカアワダチソウの花が咲き始めている。昨日午後に散歩したら、まだこれほど多くの昆虫がいたのかと思うほど多数の個体が吸蜜や摂食のために訪花していた。モンシロチョウ、キチョウ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラナミシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、チャバネセセリの9種のチョウが吸蜜に来ていた。シロオビノメイガ、シロシタヨトウ、オオタバコガ、タバコガの成虫も吸蜜に訪れていた。セイタカアワダチソウの若葉にはヨモギエダシャク、シロシタヨトウ、エゾギクキンウワバ、ハスモンヨトウ、オオタバコガの幼虫が寄生していた。コアオハナムグリやセイヨウミツバチ、ヒメハラナガツチバチも花粉まみれになりながら、花の間に頭を入れていた。秋も深まり、吸蜜植物がしだいに少なくなってきた今日この頃、セイタカアワダチソウの花は昆虫達にとって重要な栄養源のようだ。

写真:ウラナミシジミ、ベニシジミ、コアオハナムグリ 2005年11月1日 名古屋市で撮影

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