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January 30, 2006

ハラビロカマキリの卵鞘

harabirob112000harabiroハラビロカマキリは自宅周辺ではオオカマキリ、チョウセンカマキリに次いでよく見かけるカマキリである。樹上性といわれるが、人家の生垣や塀、河川敷の草地、道端でも見られる。緑色型がよく見られるが、褐色型も出現する。前脚基節には通常3個の黄色のイボ状突起があるのが特徴だが、突起の数が少ないこともある。卵鞘は長さ22-23mm、幅12-13mmほどだが、個体差も大きい。樹木の樹幹や生垣の枝、塀、壁などに産付される。年一年の発生で、自宅周辺では成虫は8月から12月まで見られる。写真の卵鞘はユキヤナギの枝に産付されたものである。

写真:Hierodula patellifera Serville ハラビロカマキリ♀(2000年11月20日 瀬戸市で撮影)
    同種卵鞘 (2006年1月28日 名古屋市で撮影)

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January 28, 2006

コカマキリの卵鞘(続)

kokamakiri012806bkokamakiri012806先日トイレで見つけたコカマキリの卵鞘について書いたが、その卵鞘は古いものだった。今日はコカマキリの新しい卵鞘を探したいと思いながら雑木林を散策していると、ヤマザクラの古い切り株が目に入った。何気なく剥がれかけた樹皮をめくってみると、昨秋産下されたと思われるコカマキリの卵鞘が腐食してコルク状に柔らかくなった材部に付着していた。長さは26mm、高さ6mmほどの大きさであった。来春黒いアリそっくりの1令幼虫が卵鞘から続々と孵化するところが観察できそうである。

コカマキリの卵鞘 2006年1月28日 名古屋市で撮影

コカマキリの卵鞘

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January 26, 2006

ミヤマオビキリガ

konami012606今日は快晴だったので、午後から名古屋市北部の雑木林へフユシャク観察に出かけた。広大な雑木林の中には風がほとんど吹き込まない日当りの良い場所が幾ケ所もある。キタキチョウの越冬場所もそうした暖かいところで、先日と全く同じ姿勢で越冬を続けていた。クロスジフユエダシャクのメスもどうやら終わりらしく、死骸を見ることが多くなった。チャバネフユエダシャクのメスは今日もクヌギとソメイヨシノの樹幹で2頭見つけた。最初のうちこそ大きくて黒白模様が面白いチャバネフユエダシャクのメスに感動もしたが、連日のように見つかるとさすがに有り難味も無くなる。他のフユシャクのメスを見つけたいと思うが、新顔はなかなかお目にかかれない。コナミフユナミシャクのメスは1月8日に見つけて以来ずっと見ていなかったが、今日は2頭見られた。コナミフユナミシャクのメスは体長7mmほどの大きさなので、大変見つけにくい。

miyamaobiそろそろクロテンフユシャク、クロバネフユシャク、シロオビフユシャクなどが現れてもよさそうなものなのに、雌雄ともどもなかなか見つからない。どうも今年のフユシャクの出現期は全体に遅れ気味のような気がする。そんなことを考えながら散策していると、淡茶色の蛾が目の前を飛び、枯葉の上に止まった。越冬キリガだ。糖蜜採集や灯火採集では得られやすいキリガ類だが、昼間飛翔するのは珍しい。どうやらConistra grisescens Draudt, 1950 ミヤマオビキリガのようだ。自宅周辺でも見られる普通種である。幼虫は多食性で、ブナ科、バラ科、カバノキ科、ヤナギ科の各種植物に寄生する。

写真:コナミフユナミシャク♀とミヤマオビキリガ 2006年1月26日 名古屋市で撮影

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January 24, 2006

コカマキリの卵鞘

kokamakirikokamakiri082805自宅周辺の生垣や草むらには4種のカマキリが生息している。オオカマキリ、チョウセンカマキリ、コカマキリ、ハラビロカマキリである。このうちオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリの卵鞘は植物の茎、樹幹、枝や葉に産付されることが多いので、冬になり葉が枯れると人目につきやすい。ところが、コカマキリの卵鞘は石の下や倒木の裏、樹木の根際に産付されるので簡単には見つからない。しかし、コカマキリの走光性に着目して灯火下や夜間照明のあるトイレを廻ると、コカマキリの卵鞘を比較的容易に見つけることができる。写真のコカマキリの卵鞘は残念ながら新しいものではないが、公園のトイレの柱に産付されていたものである。コカマキリの成虫写真は昨年撮影したものだが、成虫の体色は褐色のものから淡茶色まで変異がある。稀に緑色型も見られ、同じ場所でかなりの個体数が得られるようだ。コカマキリの飛翔速度はゆっくりで、その姿は優雅ですらある。

コカマキリの卵鞘 2006年1月23日 名古屋市で撮影
コカマキリ♂成虫 2005年8月28日  同上

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January 23, 2006

キタキチョウの越冬

kitakicho012306akitakicho012306kitakicho012306b今日の名古屋は晴天とはいえ風が強くて肌寒く、昆虫観察に適した天候とは思えなかった。しかし、意を決して午後から近くの雑木林へ行ってみた。昆虫も強風で寒い日には風を避けて暖かい場所に潜んでいるに違いないと思い、雑木林の中でも南向きの窪地を選んで廻ってみた。すると、陽のよく当たる斜面でモチツツジの枯葉に掴まるキタキチョウの姿を見つけた。背後にはコナラの大木があり、風よけになっていた。デジカメを近づけて接写しても、翅を閉じたままの姿勢で微動だにしなかった。キタキチョウは地表から30cmほどの風を受けにくい場所を選んで越冬していたのである。

つい最近まで日本産キチョウは1種と考えられていたが、国際基督教大学の加藤義臣先生らの研究によって昨年「キチョウ」と「キタキチョウ」の2種に分けられた。ニ種は前翅表の縁毛の色彩が異なる。奄美大島以南の亜熱帯域に分布し、ハマセンナなどを寄主植物にする「キチョウ」は前翅表の縁毛が褐色であるのに対して、主に日本本土などの温帯域に分布し、ネム、ヤマハギなどを寄主植物とする「キタキチョウ」は前翅表の縁毛が黄色だという。キタキチョウは琉球列島ではキチョウと同所的に分布するとのことである。これまで慣れ親しんできた縁毛黄色型のキチョウが「キタキチョウ」という和名に変更になったわけである。当分の間は、「あっ、キチョウがいた。」と、「昔の名前」で思わず呼んでしまいそうである。

文献:
加藤義臣・矢田脩(2005)「西南日本および台湾におけるキチョウ2型の地理的分布とその分類学的位置」 蝶と蛾 56(3)

写真:キタキチョウ 2006年1月23日 名古屋市で撮影

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January 21, 2006

チャバネフユエダシャクのメス

chabane012106chabane042505天気予報では今日は朝から雪になるとのことだったが、天気はなんとか持ち直して雪は降らなかった。そこで仕事が終わった後、職場の裏の雑木林へ寄ってフユシャクを探してみた。日も暮れかかっていたので、なるべく明るい場所にある大木を見たところ、クヌギの樹幹の下の方に止まっているチャバネフユエダシャクのメスを見つけた。これは幸先良いと思っていると、今度はソメイヨシノの樹幹でもう1頭を見つけた。産卵中だったようで、産卵管をコケの間に差し入れていた。触角と脚が長く、非常に動きが早い。よく見ると黒色の触角と脚は構造色になっていて、青光りしている。

チャバネフユエダシャクは多食性で、食餌植物としてはアブラチャン(クスノキ科)、アラカシ、コナラ、カシワ、クヌギ、ミズナラ、シラカシ、クリ、ブナ、イヌブナ(以上ブナ科)、ミツバツツジ、レンゲツツジ(以上ツツジ科)、ノイバラ、リンゴ、エゾヤマザクラ、カマツカ、ナナカマド(以上バラ科)、マンサク(マンサク科)、ツノハシバミ、ヨグソミネバリ、シラカンバ、サワシバ、イヌシデ、ケヤマハンノキ(以上カバノキ科)、ハルニレ、オヒョウ、ケヤキ(以上ニレ科)、オオボダイジュ、シナノキ(以上シナノキ科)、オガラバナ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ(以上カエデ科)、バッコヤナギ、ドロヤナギ、ヤマナラシ、セイヨウハコヤナギ(以上ヤナギ科)、アワブキ(アワブキ科)の記録がある(宮田彬 1983)

写真:チャバネフユエダシャク♀      2006年1月21日 名古屋市で撮影
    ソメイヨシノ葉上の同種終令幼虫  2005年4月25日 名古屋市で撮影

フユシャク一年生

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January 19, 2006

ウスバフユシャクのメス

usubafuyufこのところウスバフユシャクの♂成虫が昼間飛ぶ姿や、夜間灯火に飛来するところをよく見かける。ところが、メス成虫の方はなかなかお目にかかれなかった。ウスバフユシャクのメスは体長10mm前後のものが多く無翅である。クロスジフユエダシャクのように短い翅でもあれば、白っぽく見える翅が目立つので、探す時の目安になる。しかし、翅が全く無いウスバフユシャクのメスの場合、灰黒色の体は全く背景の樹皮に同化してしまい、見つけるのは更にむつかしくなる。今年はもう見つからないかな、と半ばあきらめ気味だった。こんな普通種のメスが見つけられないなんて残念だと思いながら、今日何気なくケヤキの剥がれかけた樹皮を覗きこむと、そこに白く黴びたような虫の姿があった。体長9mmほどのウスバフユシャクのメスだった。白っぽく写ってしまったが、実際はもっと濃い灰黒色をしている。昆虫は何でも最初の1頭を見つけるのが一番大変だ。1頭見つけさえすれば、後は楽に見つかる。私は上機嫌だ。
写真:ウスバフユシャク♀ 2006年1月19日 名古屋市で撮影

ウスバフユシャク

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January 16, 2006

越冬するカメムシ3種

kusagia011506昨日は大変暖かい日だったので、久しぶりに雑木林へ昆虫観察に出かけた。気温が高いせいか、いつもは樹皮裏などに身を潜めているナミテントウやカメムシ達が表に出て来て活発に動いていた。まず目に付いたのはソメイヨシノの古木の幹に止まるクサギカメムシであった。ダイズ、ササゲなどのマメ類やミカン、カキ、ウメ、ナシ、リンゴ、モモ、サクランボ、ビワなどの果樹を吸汁する害虫として知られる。カメムシの仲間には冬季に家屋に侵入して集団越冬する種がいる。スコットカメムシ、マダラナガカメムシ、ヨツモンカメムシ、マルカメムシ、クサギカメムシなどは秋になると家屋内に侵入して越冬し、悪臭を放つために不快害虫として嫌われている。その具体的被害とは、カメムシが浴槽の中に落ちる、食物に飛び込むなどである(川沢哲夫、川村満 1977 『カメムシ百種』全国農村教育協会)。スコットカメムシは大群で山間の旅館や山小屋へ押し寄せるので、東北地方ではスコットカメムシのために秋と春に休業を余儀なくされる観光地もあるとか。クサギカメムシはスコットカメムシよりも低山地の家屋内に侵入して集団越冬するようだ(藤崎憲治 2001『カメムシはなぜ群れる?離合集散の生態学』 京都大学出版会)。
写真:Halyomorpha halys (Stael) クサギカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 

ushikame011506次に目に付いたのは、クヌギの樹幹に止まるウシカメムシであった。まだ昆虫採集を始めたばかりのころ、私はウシカメムシを珍しい種だとばかり思い込んでいた。「月刊むし」誌上に「ウシカメムシを採集」などと写真入りの短報が掲載される度に羨ましい思いがしたものだ。後に自宅周辺で何度も見るようになり、本種が普通に見られるカメムシであることを知った。とはいえ、牛の角のように突出した前胸背側角は大変格好が良く、未だに見つけると興奮するカメムシである。アセビ、シキミ、サクラ、ヒノキ(友国雅章 1993 『日本原色カメムシ図鑑』全国農村教育協会)、ナツミカン、クリ、アケビ(『カメムシ百種』)で採集されているようだが、私はアラカシ、ツタ、ヘデラの葉上で採集している。
写真:Alcimocoris japonensis (Scott) ウシカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 


tsuyaao011506最後にアベマキの樹幹で見つけたのはツヤアオカメムシであった。ツヤアオカメムシはミナミアオカメムシやアオクサカメムシと大変よく似ている。写真だけでは識別がつきにくいために採集して『カメムシ百種』に掲載されている識別点に従って調べた。その結果、1)触角の第3.4節が黒色であること、2)前胸背側角が突出しない、3)小楯板の基部に黄点刻および前縁角の小黒点を欠き、先端近くに小黒紋がある、4)腹部背面は緑色で、1-3節基部は褐色を帯びる、特徴を持つので、ツヤアオカメムシと同定した。多食性で各種果樹を吸汁する害虫である。
写真:Glaucias subpunctatus (Walker) ツヤアオカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 

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January 11, 2006

毛虫と一緒のアミメクサカゲロウ

午後2時頃フユシャク観察のために自宅から4kmほど離れた雑木林を散策した。今日は風が冷たかったせいか、クロスジフユエダシャク♀4頭とコナミフユナミシャク♂3頭を見つけただけだった。クロスジフユエダシャク♀のうち1頭は産卵管を突き出して樹皮の窪みに黄緑色の卵を産卵しているところであった。後の3頭は既に産卵を終えたと見られる個体であった。フユシャクの♀は産卵を終えるとほどなく死ぬ。クロスジフユエダシャクの時期はそろそろ終わりで、コナミフユナミシャクの時期になったことを感じた。

amimekusa樹幹にいるフユシャク探しに夢中になると、知らない間に目がフユシャク用に特化してしまい、他の昆虫が視界に入りにくくなるきらいがある。こうした視野狭窄は「昆虫なんでも屋」を自認する私にとって御法度である。そこで今日は目を大きく見開き、もっと多種多様な昆虫を見つけたいと考えた。散策しているうちにカクレミノの木があったので、タテジマカミキリでもいないものかと枝を見上げると、葉裏に黒色の幼虫が寄生していた。カクレミノを引き寄せてみると、Lemyra imparilis (Butler, 1877) クワゴマダラヒトリ幼虫(体長約10mm)だった。本種成虫は秋に出現する蛾で、幼虫はクワの害虫として有名だが、クワ以外にも多数の植物を摂食する。幼虫は晩秋まで各種植物の葉上で見られるが、食餌植物が落葉すると枯葉や常緑のオオイタビやテイカカズラ、スイカズラの葉を合わせた間に潜んで翌春まで幼虫越冬する。しかし、カクレミノ(ウコギ科)の葉裏で露出して越冬するところを見たのは初めてである。カクレミノの葉には幼虫の脱皮殻は多数付着していたが、食痕は見当たらなかった。なお、同じ葉裏にはNacaura matsumurae(Okamoto, 1912) アミメクサカゲロウがクワゴマダラヒトリ幼虫と一緒に越冬していた。アミメクサカゲロウ(クサカゲロウ科)の幼虫は肉食だが、成虫が何か摂食するのか、それとも吸汁するのか、私は知らない。

写真:アミメクサカゲロウとクワゴマダラヒトリ幼虫 2006年1月11日 名古屋市で撮影

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越年したアメリカシロヒトリ幼虫

amehito011106昨年12月下旬、アメリカシロヒトリの幼虫が食餌植物であるアメリカフウの落葉後もツツジの生垣に移動し越冬していることを報告した。あれから名古屋では二度に渡る積雪を伴う寒気が襲い、年明けにツツジの生垣を見て廻った時にはアメリカシロヒトリの幼虫は見当たらなかった。しかし、見当たらないからといって「いない」とは断言できない。ある昆虫が「いる」という証明は比較的簡単だが、「いない」という証明は非常に困難である。そこで、しばらく様子を見ることにした。

ここ3日間ほど好天気が続いたので、今日ツツジの生垣を訪れたところ、葉を摂食するアメリカシロヒトリの幼虫を見つけることができた。どうやら寒い時には落葉の間に入って身を潜め、暖かい日に葉上に上って葉を摂食するらしい。幼虫の白くて長い刺毛はツツジの葉にひっかかっている鳥の羽毛そっくりだった。本種の環境への適応力は今更ながら驚くばかりである。

写真:ツツジで越年するアメリカシロヒトリ幼虫 2006年1月11日 名古屋市で撮影

アメリカシロヒトリの耐寒レース(続)
アメリカシロヒトリ幼虫の耐寒レース

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January 10, 2006

フユシャク一年生

usubafuyu011006chabane011006今年の冬はフユシャク探しにすっかり凝っている。樹皮そっくりのメスを探したり、枯葉の間や樹皮裏に隠れているオスを見つけ出すにはかなりの労力を要するが、それゆえに「発見の喜び」も大きい。これまでにもフユシャク採集をしたことはあったが、この冬ほど集中的にフユシャクを観察したことはなかった。毎日のように観察を重ねるうちに、フユシャクの面白さと奥行きの深さを知り、思わぬ儲けものをしたような気がする。遠出せずに職場の裏や自宅近くでフユシャク観察ができるというのもありがたい。あれほど見つからなかったメスも慣れてくると面白いほどよく見つかるようになる。こんなに個体数が多かったのかと驚くほどだ。

konami010906mkonami010906f今日は良い天気だったので、正午頃に職場の裏の雑木林を歩いてみた。ソメイヨシノの樹幹を見たが、メスは見つからなかった。あきらめきれずに樹皮の割れ目の裏側を覗き込むと、奥にウスバフユシャクのオスが静止していた。こんな巧みな隠れ方をされては、もう少し周りが暗かったらきっと見過ごしていたに違いない。この後近くのアベマキでクロスジフユエダシャクのメスを見つけた。最近クロスジフユのメスは「またか」と思うほどよく見つかるので、どうも有り難味がない。もっと別のフユシャクを見たいと思い、午後3時過ぎに別の雑木林へ行ってみた。すると、コナラの樹幹でErannis golda Djakonov, 1929 チャバネフユエダシャクのメスが見つかった。黒白のブチの大型種だが、これが意外に目立たない。産卵を終えた個体らしく腹部はペチャンコだった。嬉しくてカメラを持つ手が震えたので、ピンボケ写真になってしまった。なお、昨日はOperophtera brunnea Nakajima, 1991 コナミフユナミシャクの雌雄を見つけた。フユシャクに関してはまだよちよち歩きの一年生だが、春が来るまでには上級生になりたいものだ。

写真:上段 左(ウスバフユシャク♂) 右(チャバネフユエダシャク♀) 2006年1月10日 名古屋市で撮影
    下段 左(コナミフユナミシャク♂) 右(コナミフユナミシャク♀) 2006年1月9日     同上

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January 08, 2006

アカボシゴマダラ幼虫飼育

akaboshi010806今日は霜が下りる寒々しい朝で、寒がり屋の私はまだフィールドへ出ていない。そこで、飼育中のアカボシゴマダラ幼虫が健在がどうか確かめることにした。この幼虫は昨年11月13日に藤沢市で採集したものだが、元来怠け者の私は大きめの飼育箱に幼虫を入れ、上から枯葉と常緑樹の葉をかけて時々思い出したように霧吹きをする文字通りの放任飼育である。というと聞こえは良いが、実のところ全くの手抜き飼育である。さすがの私も幼虫のことが気になってきたが、億劫でついつい後回しになっていた。丁度良い機会なので、飼育箱の中身を拡げた新聞紙の上に移して、幼虫が無事かどうかを調べた。その結果、10頭のうち9頭がなんとか生きていることを確認した。1頭は私の管理が十分でなかったためか、乾燥して斃死していた。エノキが芽吹くまで3ヶ月余、これからが正念場だ。白いアカボシゴマダラが羽化する姿をぜひとも見たいものである。

写真:藤沢市産アカボシゴマダラ越冬幼虫 2006年1月8日 名古屋市で撮影

アカボシゴマダラの飼育羽化
アカボシゴマダラの幼虫と蛹

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January 07, 2006

ナンキンキノカワガの護身術

nankin010706anankin今朝起きると、あたりはうっすらと雪化粧をしていた。昼頃になると陽が照りだしたので、近くの雑木林へ行ってみた。しかし、クロスジフユエダシャクのメス成虫が2頭いたぐらいで、「新顔」の姿は無かった。やむなく、自宅へ戻って裏の木々を見てまわった。先日ウスバフユシャクの居たアラカシの木も見たが、今日は何も止まっていなかった。半ばあきらめ気分でソメイヨシノの樹幹に目をやると、樹皮の一部が灰茶色に盛り上がっている。おやっと思って目を凝らすが、何も見えない。気のせいだったかと通り過ぎようとすると、連れが大声で「あっ、動いている。蛾だよ」と叫ぶ。まさかと思いながら、もう一度見ると、それは樹幹にしっかりとしがみつくナンキンキノカワガであった。前脚と胸部腹面はふさふさとした極上の長毛で覆われていた。キノカワガの隠蔽色も実に見事であるが、ナンキンキノカワガの幹そっくりの斑紋と色彩そして保温性の高い毛並みはキノカワガに勝るとも劣らぬ護身術といえよう。kinokawaga122505
写真:
ナンキンキノカワガが止まるソメイヨシノ、同種♀ (2006年1月7日名古屋市で撮影)
アベマキ樹幹のキノカワガ (2005年12月25日名古屋市で撮影)
   

ナンキンキノカワガの飼育羽化
ナンキンキノカワガ幼虫

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January 05, 2006

ルリタテハの越冬

ruritateha010506ruritateha010506a今日は晴天だったので、昼頃近くの雑木林を散歩した。林の外側には交通量の多い道路が走っているが、林内は都心とは思えないほどよく保全されている。遠出できない時の昆虫観察には絶好のポイントである。明るい陽が入り込む林縁を落葉を踏みながら歩いていると、それだけでとても爽やかな気分になる。こうした気分の時には昆虫の姿も自ずと目に入りやすい。クヌギの樹幹では今月に入ってからめっきり少なくなったヘラクヌギカメムシや、クロスジフユエダシャクのメス成虫が見つかった。また、アベマキの樹幹では越冬中のルリタテハを見つけた。頭部を下にして翅を閉じて樹幹に静止するルリタテハの姿はものの見事に背景に溶け込み、あたかも樹幹の一部であるかのように見える。なんと素晴らしい隠蔽擬態ではないか。こうした自然の「だまし絵」を見つけるのも冬の昆虫観察の醍醐味のひとつである。

写真:アベマキ樹幹で越冬するルリタテハ 2006年1月5日 名古屋市で撮影

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January 04, 2006

チャエダシャク

chaedashakucheda042505昨年の大晦日の昼休みに職員食堂で休憩していると、窓ガラスの向こうでクロスジフユエダシャクと灰色の大き目のシャクガが飛んでいるのが目に入った。急いで外へ出てみたが、既に飛び去った後であった。職場の裏にはかなり広い雑木林があり、そこで発生している蛾であろう。灰色のシャクガの種名を確認したいと思っていたが、今日帰りがけに寄った雑木林で、偶然アカマツの樹幹に翅を広げて止まっているMegabiston plumosaria (Leech, 1891)チャエダシャクを見つけた。12月31日に飛んでいた蛾は本種であった可能性が高い。晩秋から初冬に出現する蛾だが、この時期に大き目のシャクガが見られるのは嬉しい。年1回の発生で、幼虫は4月に出現し、5月に老熟し潜土する。食餌植物は、チャノキ(ツバキ科)、アラカシ、コナラ、クヌギ(以上ブナ科)、クワ(クワ科)、ミカン(ミカン科)、オニグルミ(クルミ科)、リョウブ(リョウブ科)ナシ、ソメイヨシノ、ボケ(以上バラ科)の記録がある。

アカマツ樹幹に止まるチャエダシャク成虫 2006年1月4日 名古屋市で撮影
リョウブの新梢を食すチャエダシャク幼虫 2005年4月25日  同上

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成虫越冬するウバタマムシ

ubatama010406今日は曇りだったが、夕方職場を出ると急に昆虫観察がしたくなって近くの雑木林へ寄り道をした。林内は薄暗く、寒々としており、虫探しには劣悪の条件であった。しかし、どんな日でも必ず昆虫はいるはずだと信じて粘り強く樹幹という樹幹を探し廻った。すると、アカマツの樹皮の一部が不自然に隆起していることに気づいた。目を寄せて見ると、それはウバタマムシであった。Chalcophora japonica(Gory) ウバタマムシはタマムシ科に属する甲虫で、幼虫は弱ったり、枯死したマツの材部を食べて生育することが知られている。成虫は4-6月に見ることが多いが、暖地では成虫越冬する。愛知県の知多半島で本種の越冬成虫を見たことがあるが、自宅周辺で見たのは初めてだ。

アカマツ樹幹で越冬するウバタマムシ 2006年1月4日 名古屋市で撮影

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January 03, 2006

チョウセンカマキリの卵鞘

chosenchosen102005今日は小雨が降ったかと思えば、陽が照る不安定な天候だった。今日から出勤で、虫の観察は無理だと思っていたが、帰りがけに職場近くの枯れ枝でチョウセンカマキリの卵鞘を見つけた。名古屋市ではチョウセンカマキリはオオカマキリと同じほど普通に見られるカマキリだが、成虫の形態は大変よく似ていて、背面からの写真では両種の区別はつきにくい。チョウセンカマキリは前脚基節基部の斑紋の色彩が鮮やかな橙色をしており、後翅前縁部と中央部に暗褐色の短いスジを持つ。オオカマキリの前脚基節基部の斑紋の色彩は淡黄色で、後翅基部に紫色斑を持つ。前脚基節基部の色斑は、古びた個体ではわかりにくいこともある。実際に採集し、後翅を広げて紫色斑の有無を確認するのが最も確実である。幼虫の識別も1令幼虫では困難である。しかし、卵鞘の形態は明確に異なるため、両種の識別に役立つ。なお、羽化期は当地ではチョウセンカマキリの方がオオカマキリよりも若干早いようだ。
ookama091101

イタドリに産付されたチョウセンカマキリの卵鞘 2006年 1月 3日 名古屋市で撮影 
交尾中のチョウセンカマキリ            2005年10月20日  同上
威嚇ポーズを取るオオカマキリ           2001年9月11日  愛知県瀬戸市で撮影

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January 02, 2006

ウスバフユシャク

usuba010206usuba041705名古屋は今朝のうち雨が降っていたが、昼頃になって太陽が照りだした。暮れの天気予報では1-2日は天候が崩れるとのことだったので、嬉しい「ハズレ」である。気を良くして外へ出てみると、早速アラカシの樹幹でフユシャクのオス成虫を見つけた。Inurois fletcheri Inoue, 1954 ウスバフユシャクで、根元から30cmほどの高さに止まっていた。日本中でごく普通に見られるフユシャクである。春先になるとアラカシやソメイヨシノで白色の亜背線を持つ一見ヤガ風の黄緑色の幼虫が見られるが、これはウスバフユシャクの幼虫である。中島(1986)によると、幼虫は黄緑色型のほかに赤紫型もあるとのことである。蛾類幼虫の場合、周囲の環境や摂食する植物、飼育密度によって体色が異なることは珍しいことではない。食餌植物はウメ、ユスラウメ、ウワミズザクラ、モモ、アンズ、ボケ、ナシ、リンゴ、カイドウ(以上バラ科)、カキノキ(カキノキ科)、ケヤキ、エノキ(ニレ科)、コナラ(ブナ科)、モミジ(カエデ科)の記録がある(宮田彬 1983)。

写真:ウスバフユシャク♂  2006年1月 2日 名古屋市で撮影
     ウスバフユシャク中令幼虫 2005年4月17日  同上

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第3回昆虫DNA研究集会

2005dnaken2005dnakenb第3回昆虫DNA研究会集会が今年3月に東京で開催予定である。特別講演は、今藤夏子氏(環境研)の「Wolbachiaにおける遺伝子の水平移動」(仮題)である。研究会に入会していない方でも参加できるので、御希望の方は事務局へ連絡してほしい。写真は昨年1月に広島大学で開催された第2回研究集会での会場の様子を撮影したもの。なかなか楽しい虫屋の集いでもある。

第3回昆虫DNA研究集会

【日時】2006年3月4日(土)午後1時~5時
        3月5日(日)午前9時~正午(予定)

【場所】国際基督教大学理学館
    東京都三鷹市大沢3-10-2

【交通】・JR中央線武蔵境駅南口から小田急バス(93系統 国際基督教大学行き)で約10分
    ・JR中央線三鷹駅南口から小田急バス(51系統 国際基督教大学行き)で約20分
      いずれも終点下車で徒歩約7分

【参加費】1000円  
【懇親会】3月4日(土) 研究会終了後(大学食堂を予定)  会費 4000円
【申込み】返信用葉書に記入の上、2006年1月13日(金)までに投函
     講演希望者は返信葉書と別途にA4用紙1ページの講演要旨(Word 又はPDF形式)を
     実行委員会宛てにe-mailで送付
【連絡先】181-8585 東京都三鷹市大沢3-10-2
     国際基督教大学生物学教室
     加藤義臣
e-mail: kato@icu.ac.jp

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January 01, 2006

年賀状

明けましておめでとうございます

nenga2006昨年は何もかも後手後手に回り、クリスマスカードを12月23日にあわてて書き、何人かの方々には送り忘れてしまい、たくさんのカードが余ってしまった。以前は版画や貼り絵の手作りだった年賀状もいつしか億劫になり、今日になってやっとお手軽ソフトを起動させ刷り上げた。これからゆっくりと相手の顔を思い浮かべながら宛名を書くので、皆様の許に届くのは恐らく来週半ばになることだろう。やむなくブログの方で先に年賀状を公開し、新年のご挨拶をさせていただくことにする。9バージョン作製したので、これと同じものが届くかどうかはわからないが・・・

写真のコヒョウモンモドキは昨年7月に木曽駒高原で撮影したものである。

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ホタルガ越冬幼虫

hotaruga新しい年を迎えたのだが、どうも年明けのような気がしない。31日も出勤だったので、今朝慌てておせち料理を作ったこともあってか、今ひとつ気炎が上がらない。昨日のうちに作れば元旦には間に合ったのだが、夕方クロスジフユエダシャクの観察に行ってしまった。その後は採集品の同定などをして、年の暮れは虫三昧で過ごしてしまったのだ。

さて、今日はまだフィールドへ出ていないので、飼育品をご披露したい。ホタルガの幼虫である。ホタルガは幼虫態で越冬することが知られている。ヒサカキ、ハマヒサカキ、サカキの木の下の方で葉を数枚合わせた間に潜み、暖かい日に摂食して少しづつ生育する。ホタルガの若令幼虫はオキナワルリチラシの若令幼虫と一見似ているので、伊豆半島以南の混生地では注意が必要である。ホタルガ若令幼虫は、1)後胸と第8腹節背上に一対の黒色隆起を持つこと、2)体色が褐色であること、3)オキナワルリチラシに較べて円筒形である、などの特徴を持つ。写真のホタルガ幼虫は昨年12月29日に愛知県の鳳来寺山麓のヒサカキで採集したもので、体長約2.5mmである。

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