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March 30, 2006

花冷え時の幼虫

Matsuooここ2-3日小雪が舞うような寒さである。いつもの雑木林へ寄ってみると、サクラの花がちらほらと咲き始めていた。寒さのせいか、ほとんど人はいない。チョウもガも飛ばない。オオシモフリスズメやエゾヨツメが羽化しているのではないかと思ってサクラやコナラ、クヌギの樹幹を探しまわるが、なかなか見つからない。あきらめ半分にサクラの古木を眺めているうちに、ふと淡緑色の「地衣類」状の幼虫が目に入った。体長45mmほどである。一瞬カレハガ越冬幼虫かと思ったが、この時期にしてはどうも大きすぎる。Deileptenia ribeata (Clerck, 1759) マツオオエダシャク越冬幼虫のようだ。幼虫の色彩や斑紋は地衣そっくりである。細かく幼虫検索しようと思ってシャーレ内に採取し、今朝見たところ敷いておいたティッシュパーパーの間で繭を造営し、前蛹になっていた。

写真:エグリヅマエダシャク幼虫 2006年3月29日名古屋市で撮影

【訂正】:2006年4月24日

昨日の朝起きたら、飼育容器の中でいつのまにか黄土色の蛾が羽化してバタバタ暴れたいた。「あれ、変だな。マツオオエダシャクの成虫って、こんな色だったっけ?」と、よくよく見ると、なんと羽化していたのはエグリヅマエダシャクだった。これまで見たことのあるエグリヅマエダシャク幼虫は淡茶色がかった個体が多かったために、うっかり誤同定してしまった。幼虫の色斑だけで同定することの危険性を改めて痛感した。

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March 27, 2006

イボタガとコツバメ

shoujokotsuibota今日は青空が広がり、暖かい一日だった。ひょっとしてギフチョウが発生しているかもしれないと期待に胸を膨らませながら定光寺方面へ出かけてみた。しかし、現地へ着いてみると、サクラもコバノミツバツツジもまだ開花していなかった。テングチョウ、ルリタテハ、キタキチョウの越冬チョウのほかに、ルリシジミとコツバメが飛んでいた。コツバメは個体数も多かったが、動きが敏捷で近付くとすぐ飛び去る。大変苦労したが、かろうじてカメラに収めることができた。しかし、ギフチョウの姿は無かった。どうやら少し早すぎたようだ。もともと今日は様子見のつもりだったので、蛾観察に切り替え、オオシモフリスズメやエゾヨツメを探した。なかなか見つからない。これまた少し早すぎたようである。半ばあきらめムードになったとき、アベマキの樹幹を見上げていた連れが大声を上げる。何かと思ったら、なんと樹幹にイボタガが止まっていたのである。イボタ、ネズミモチ、ヒイラギなどのモクセイ科植物を食餌にするイボタガは年1化の早春の蛾であるが、灯火採集をしても一度に大量に得られることはない。まして、樹幹に静止している姿を自然状態で見るのは珍しい。蛾屋にとってはギフチョウよりも貴重である。今日のランチとコーヒー代は未だ興奮冷めやらぬ私が成り行きで支払うことに。

写真:2006年3月27日 愛知県瀬戸市で撮影
    ショウジョウバカマ、コツバメ、イボタガ

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March 23, 2006

ルリシジミ

rurishijimibusubenisuji今日は春風が心地よい一日だった。浮かれるように雑木林を訪れてみると、着いたとたんに、地面に止まるシジミチョウに出会った。今年になって初めてのルリシジミだ。明るい青色が美しい。気温が高いせいか、今にも飛び立ちそうな様子だった。とても敏感で、翅を少し開くが、すぐ閉じてしまう。翅を広げた姿を撮影したかったのだが、あきらめて翅を閉じたままの姿をなんとか撮影した。このところ連日のように雑木林を散策しているが、キタキチョウ、キタテハ、ルリタテハ、ヒオドシチョウ、テングチョウのような成虫越冬するチョウばかりで、なかなか春に羽化するチョウの姿は見られなかった。そろそろ出始めても良い時期だと思っていたところだったので、ルリシジミの登場に心弾む思いであった。スギタニルリシジミやサツマシジミで無いのは少々残念だが、それでも今年初めての春物のチョウであることに変わりない。枯葉の間を飛ぶウスベニスジナミシャクやマユミトガリバもなかなか渋いが、可憐なルリシジミの姿はまさに春の使いである。

写真:ルリシジミとウスベニスジナミシャク 2006年3月23日 名古屋市で撮影

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March 15, 2006

冬の終わり

tengu031106ruritateha031106昨日は氷点下1℃にまで冷え込み、小雪が舞う寒い一日だった。3月11日が4月中旬なみのポカポカ天気で、テングチョウ、ルリタテハ、キタキチョウも飛んでいた。春の蛾の初物も得られた。それを思うと、僅か数日のうちに一挙に真冬に逆戻りの観がある。こんな寒い日にはチョウは無理としてもフユシャクはいるはずだと思い、昼頃いつもの雑木林へ行ってみた。風は肌を刺すように冷たく、林内は暗く、心細いことこの上なかった。しかし、比較的風が当たらない斜面の下側を歩いてみると、クヌギの樹幹にInurois tenuis Butler, 1879 ホソウスバフユシャクと見られるメス成虫が止まっていた。すぐ横のコナラにもいた。本種のメスはクロテンフユシャクのメスに似ているが、体長が小さいようである。気温が低いのに大変敏捷で、手で触れようとすると素早く逃げる。体は小さいが動きは機敏である。本種は中島(1998)によれば、出現期が安定しているらしく、平地では2月中旬から3月上旬に出現するという。まさに「冬の終わり」を告げるにふさわしいフユシャクである。
hosousuba031106bhosousubaf031106

写真:名古屋市で撮影
    テングチョウ、ルリタテハ  (3月11日)
     ホソウスバフユシャク ♂(3月11日) ♀(3月14日)

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March 10, 2006

樹皮そっくりトビモンオオエダシャク

akamon030906このところ春の蛾類が次々と出現するので、フィールドから目が離せない。昨日もいつもの雑木林へ行ってみた。最初は雰囲気が悪く、新しいものは何も見られないような気がした。30分ほど散策していると、ヤマザクラの樹幹に黄緑色の地色に赤茶色の細かい柄のシャクガが止まっていた。今年初物の春の蛾 Trichopterigia costipunctaria Leech, 1897 アカモンナミシャクだ。3-4月に出現する年1化のシャクガで、幼虫の食餌植物はシラカシ、ナラガシワである。地色が渋くて、苔生した木肌にそっくりのなかなかお洒落な蛾である。この蛾が見られるとは、いよいよ春の到来である。ギフチョウが乱舞し、エゾヨツメやイボタガ、オオシモフリスズメが登場する季節はもうすぐである。
写真:アカモンナミシャク♂ 2006年3月9日 名古屋市で撮影

tobimon030906atobimon030906btobimon030906cともかくブログのネタもできたので、早めに引き上げることにした。コナラの木まで来たところで、何気なくフユシャクの♀でもいないものかと樹幹に目をやった。すると、目の前の樹皮がふんわりと盛り上がっているではないか!「あっわっわっ」と、思わず後ずさりをしてしまった。それは薄紫色に輝く新鮮なトビモンオオエダシャクのオスであった。偶然目が合ったが、フユシャクの♀用に特化した目には余りにも大きすぎて、かえって樹皮そのものに見えて気づかない。オオシモフリスズメも迫力があるが、トビモンオオエダシャクも実にインパクトのある蛾である。すっかり気をよくしてしまった。それからというもの、面白いほど次々と蛾が見つかった。スモモキリガ、カバキリガ、ブナキリガ、ハネナガモクメキリガ、ギフウスキナミシャク、クロテンフユシャク♀などが僅か20分ほどの間に得られた。帰りがけには、またまやトビモンオオエダシャクの♂が地面に止まっているのを見つけた。トビモンオオエダシャクは個体変異が大きく、後で見た個体は白色部が広い型であった。

写真:トビモンオオエダシャク ♂ 2006年3月9日 名古屋市で撮影

トビモンオオエダシャクの出現

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March 08, 2006

10年ぶりの親子採集

昨日は横浜にいる息子が久々に戻ってきたので、一緒に名古屋市北部の雑木林へ行った。息子と一緒に昆虫採集をするのは10年ぶりのこと。子供の頃から虫好きだった息子だが、受験期に昆虫から離れて以来ずっと採集はしていない。フユシャク採集は彼が子供の頃に2-3回一緒にしたことがある。しかし、10年もブランクがあれば、オスはともかくメス探しはビギナー同然である。まともな採集観察は期待できず、森林浴のつもりであった。

kaeru030706kuroten030706ところが、林に入るやいなや、「あっ、見つけた!」の声。コナラの樹幹にいたのはクロテンフユシャクのメスだった。出鼻を挫かれ、私の方はさっぱり見つからないでいると、またもや「いたよ」と。潅木の樹幹にいるクロテンフユシャクのメスを指差しながら「三つ子の魂百まで」と、にこにこ顔。昨秋からの「フユシャク修行」も空しく、私の方は威信が落ちてがっくりである。そうこうするうちに、今度は「足元にキリガが落ちてる」と言う。地面に止まっていて踏みつぶされたシロヘリキリガである。どうやら子供の頃からの虫屋は10年や20年のブランクがあっても、いったん再開するとまるでブランクがなかったかのように虫と付き合えるものらしい。キチョウやテングチョウも飛び、親子で早春の昆虫採集を満喫した。

写真:カエルの卵、クロテンフユシャク♀ 2006年3月7日 名古屋市で撮影
            

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March 05, 2006

ギフウスキナミシャク

gifuuskifield昨日は青空が広がる暖かい一日だった。昼近くに名古屋市北部の雑木林を散策したところ、枯葉の間から淡茶色の蛾がひらひらと飛び立った。クロテンフユシャクかと思ったが、それにしては大きい。ネットに入れて見ると、嬉しいことに今年初の Idiotephria debilitata (Leech, 1891) ギフウスキナミシャクだった。新鮮な個体で、淡茶色の前翅は光沢があり、後翅は白く繊細な感じである。前翅長は17mmほどだった。当地では決して珍しい種ではないが、他の Idiotephria属2種(モンキキナミシャク、ナカモンキナミシャク)に比べ、産地が局所的であるようだ。3月下旬から4月に出現する年1化のシャクガであるが、このところ暖かい日が続いたので、少し早めに羽化したものと思われる。

kuroten030406kurotenf030406冬の間は乾ききっていた木々の樹皮は潤いを含み、幹に纏わる地衣類や蘚苔類は緑を増し、テイカカヅラも青々と繁りはじめていた。雑木林は一気に生気を取り戻し、鳥類のさえずりは協奏曲のような響きであった。枯葉の上に止まるクロテンフユシャクのオス成虫は鱗片が剥がれ、縁毛も擦り切れかけた個体が多くなった。メスも産卵を終えたと見られる個体が増えてきている。シロフフユエダシャクのオスも個体数が減少し、その大半は斑紋が薄れかけた古い個体である。この他、ハイイロフユハマキの擦れた個体もクヌギの樹幹で見つかった。林内を歩いていると、春の軽やかな足取りが聞こえてくるかのようだった。それと同時にフユシャク成虫との別れが近いことを感じた。

写真:2006年3月4日 名古屋市で撮影
     ギフウスキナミシャク
    枯葉に止まるクロテンフユシャク♂、樹幹に止まるクロテンフユシャク♀

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March 04, 2006

第3回昆虫DNA研究集会プログラム

昆虫DNA研究会第3回研究集会

今日と明日、DNA昆虫研究会第3回研究集会が開催される。
今回の講演演題は大変面白く、これまでになく充実しているので、プログラムと案内を再掲載したい。
受付は4日が12時から、5日が9時から。
会員外の方も当日参加できるので、会場へ直接お越しを!


【日時】2006年3月4日(土)13:00-17:10 懇親会 17:30-19:00
         3月5日(日)9:00-11:50
【会場】東京都三鷹市大沢3-10-2 国際基督教大学理学館

【交通】
    ○JR中央線武蔵境駅南口から小田急バス(93系統国際基督教大学行)で約10分
    ○JR中央線三鷹駅南口から小田急バス(51系統国際基督教大学行き)で約20分
     いずれも終点下車徒歩約7分 (片道210円)
     http://www.icu.ac.jp/
【主催】昆虫DNA研究会第3回研究集会事務局
    国際基督教大学理学科生物学教室 加藤義臣

【プログラム】
3月4日(土)

13:00-13:10 開会の辞

【一般講演】(講演15分 質疑応答5分)  ○印は演者
13:10-13:30
 「無翅昆虫の系統的位置に関する分子系統解析」 ○佐々木 剛(JT生命誌研)・石渡 啓介(大阪大・ 院理)・  宮田隆(JT生命誌研, 大阪大院理, 早稲田大・院理工)・蘇 智慧(JT生命誌研, 大阪大院理)

13:30-13:50
 「アカボシゴマダラ(Hestina)属蝶類のミトコンドリアDNA解析」   ○尾本恵市
 (総研大・葉山高等研究センター)・星野幸弓(東京大・院理)

13:50-14:10
 「ゴマシジミの系統解析(予報)」     ○毛利秀雄(東大)・新川 勉・ 石川 統・松本忠夫(放送大)・
 矢後勝也・上島励(東大・院理)・山本直樹(北海道昆虫同好会)・本田計一・大村 尚(広大・総合)・
 三枝豊平(九大)

14:10-14:20 休憩

14:20-14:40
 「モンシロチョウ属における殺がん性ペプチドの遺伝子」   ○杉村隆・松本恭子・中野毅・
 日比谷優子・山本真史・塩谷岳樹・戸塚ゆ加里・渡辺雅彦・小山恒太郎・若林敬二(国立がんセンター)

14:40-15:00
 「日本産ホタル個体群の遺伝的変異と分子系統解析」    日和住政・森映智・
 ○草桶秀夫(福井工大・工・環境・生命未来工)

15:00-15:20
 「核型の異なるヨモギハムシ地域集団における遺伝的分化」    ○北村徳一(都立大・院理)・
 藤山静雄(信州大・院理)・青塚正志(都立大・院理)

15:20-15:50 休憩

【特別講演】(講演50分 質疑応答20分)
 15:50-17:10 
 「ボルバキアゲノムから宿主昆虫への遺伝子水平転移:発見の経緯とその先に見えるもの」                                                    今藤夏子(国立環境研)

【懇親会】
17:30-19:00 (ICUアルミナイハウス)

3月5日(日)
一般講演

09:30-09:50
 「シロオビアゲハの種内分子系統」   ○竹田明広(名大・院理・生命理)・高橋敬一(パラオ農業局)・
 堀寛(名大・院理・生命理)

09:50-10:10
 「真正アゲハチョウ族の分子系統研究」  ○森中定治(日本生物地理学会)・矢田 脩(九州大・院)

10:10-10:30
 「日本列島におけるベニヒカゲの分布変遷史の推定」   ○中谷貴壽・上田昇一・ 田下昌志・
 福本匡志・丸山潔・宇佐美真一・伊藤建夫(信州大)

10:30-10:40  休憩

10:40-11:00 
 「日本産イチジクとイチジクコバチの分子系統」  蘇 智慧(JT生命誌研)

11:00-11:20
 「アゲハ幼虫の擬態紋様形成に関する遺伝子の解析」  二橋 亮(東大・院新領域・ 先端生命)
11:20-11:40
「Danaiae(マダラチョウ類)の分子系統」   ○新川 勉(放送大)・中 秀司(農環研・ 金沢 至・
 村上豊・福田晴夫・宮武頼夫(アサギマダラを調べる会)・Jan Jia-Lurng (台湾)・石川統(放送大)

11:40-11:50 閉会の辞

第3回昆虫DNA研究集会

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