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April 09, 2006

クロクモエダシャク幼虫

Kurokumo先々週の土曜日に鳳来寺山の東照宮参道を歩いていると、生糸をつけた蛾の幼虫が風に吹かれて舞い降りてきた。体長13mmほどで、頭部が赤褐色、体躯が黄緑色、背上各節に特徴的なV字状の黒い斑紋があるシャクガ科の幼虫であった。どこで見たような気がする幼虫であったが、思い出せない。参道付近にはモミジやガマズミなどの広葉樹が多いので、適当な植物を与えれば摂食するだろうと思い、とりあえずシャーレに入れて持ち帰った。ところが、春先の幼虫が摂食しそうな広葉樹各種を与えても、幼虫は移し変えてやった飼育箱のふたに止まったままで、一向に摂食する気配が無い。ふと気づいたら、1週間経過していた。このままでは斃死してしまう。さすがの私も心配になり、幼虫の姿を改めて見直しながら思案しているうちに頭の中を閃きが走った。「これって、ヒノキそっくりだ。きっとヒノキ喰いに違いない。ということは・・・・」急いで講談社の日本産蛾類生態図鑑を開いてみると、そっくりさんの写真(Pl.33 8-9)が目に入った。Apocleora rimosa (Butler, 1878) クロクモエダシャク幼虫のようだ。発生期も若令で越冬するという記載内容もぴったりである。予想どおり食餌植物はヒノキと記されている。しかし、自宅付近にはヒノキが無い。まさか深夜に山へ取りに行く訳にもいかない。すっかり困ってしまったが、ふと思いついたのが生垣に使われているカイズカイブキ(ヒノキ科)を代用食に使うことだった。早速カイズカイブキを与えてみると、これまで決して寄り付かなかった幼虫がすぐ葉先に止まり、大顎を動かしたのである。どうやら摂食するようである。それにしても、蛾類生態図鑑の佐藤力夫先生の記述にもあるように、クロクモエダシャクの幼虫はヒノキ科植物の葉に色斑も形もそっくりである。幼虫は1週間も摂食しないと死ぬことが多い。クロクモエダシャクは幼虫越冬であったために、まだ代謝が低下していたのか、1週間の絶食にもかかわらずそれほど深刻な発育障害は受けなかったようである。昆虫の宝庫とも思しき鳳来寺山へ行きながら、観光に徹したので、虫のお土産はこのクロクモエダシャクだけである。粗略な扱いにも耐えてくれたありがたい幼虫なので、普通種ながら大切に飼育したいと思う。

写真:クロクモエダシャク幼虫 (鳳来寺山産) 2006年4月9日撮影

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Comments

ブトボソさん、おはようございます。
心配しましたが、幼虫はカイズカイブキを摂食して成長しています。そして、ますます色や模様が葉そっくりになってきています。カイズカイブキの葉は細身で幼虫が若干太いので、葉と幼虫の区別がつきます。しかし、ヒノキなら、葉と幼虫の見分けは、触らないかぎりできませんね。

Posted by: Phasmid | April 13, 2006 03:50 AM

クロクモエダシャクの幼虫って本当にヒノキそっくりですね。記事を読んでいて「ヒノキを送ってあげたい」と思いました。この幼虫って北海道にもいるのかな?調べてみます。仮にいたとしても、じっくり探さないと見逃してしまいそうですね。

Posted by: ブトボソ | April 09, 2006 07:58 PM

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