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November 25, 2006

街角のギフチョウ

Fence今年はいつまでも青々とした葉が繁っているように見えたが、いつの間にか木々が赤や黄色に染まり、落葉が舞う季節になっていた。今朝、色とりどりの落葉を踏みながら職場への道を急いでいた。S運輸会社の前まで来た時、トラックヤードに設置されたフェンスが目に留まった。敷地内にあった社宅の取り壊し工事用らしい。かなり年季ものの社宅だったので、さすがに建替えか、と思って通りすぎようとすると、フェンスに止まる黄色と黒色のだんだら模様の大きなチョウの姿が私の目に飛び込んできたのだ。

フェンスのギフチョウはグリーンの小さなバケツを手に持ってレンゲの花で蜜集めしている。大胆にデフォルメされているが、愛嬌のある顔をしている。鮮度の方は相当古びた擦れ個体だが、これもなかなか味がある。工事用フェンスの絵がギフチョウとは、創業者がトラック1台から事業を始め、以来ずっと岐阜県に本拠を置くS運輸らしい。思いがけず「ギフチョウ」に出会えて、すっかり足取りが軽くなってしまった。

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November 24, 2006

枯野のチョウ

KitaKitatehaHimeaka秋が深まり、矢田川河川敷は枯れ草が多くなってきた。しかし、この時期はかえってチョウを探しやすい。チョウの吸蜜植物が限られているので、僅かに残ったセイタカアワダチソウやキク、コスモスの花のある場所に行きさえすれば、花を訪れるチョウの姿を見ることができるからだ。

一昨日と昨日の2日間で見たチョウは7種。キタキチョウ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラギンシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミである。いずれも河川敷に幼虫の食餌植物があり、毎年発生している常連さんたちである。ヒメアカタテハは古びた個体が多くなってきているが、他はまだ新鮮な個体である。このうち、ウラギンシジミとキタキチョウは成虫越冬だが、まだ暖かいので、越冬モードに入らずによく飛び回っている。TsumaguroUragin
Beni

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November 14, 2006

晩秋の虫散歩

111306111306_1秋が深まり、木の葉が色づいてくると、急に虫の姿が少なくなる。たいていの虫屋はそろそろフィールド活動をお休みにする時期だ。しかし、私はこの時期から真冬にかけて、一年で最も精力的に虫探しをする。思わぬ拾いものをすることもあり、楽しみなシーズンでもある。昨日も近くの雑木林を散策中、クヌギとコナラの葉上で、ヤマトカギバの幼虫を見つけた。カギバ科の幼虫はいずれも体を曲げて止まっていることが多く、色や形は鳥の糞や枯葉にそっくりである。ヤマトカギバ Nordstromia japonica (Moore, 1877) は平地や山地で普通に見られる蛾で、幼虫もブナ科植物の葉上でよく見る。しかし、いつ見ても、この幼虫の姿は面白い。ごきげんで帰る途中、樹幹に止まるセスジナミシャク Evecliptopera illitata illitata (Wileman, 1911)を見つける。翅の模様がお洒落である。付近には幼虫の食餌であるアケビやミツバアケビ、ゴヨウアケビが多いので、来年は幼虫を見つけたい。

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November 13, 2006

奈良の普通種

Photo_3Photo_411月10-12日、奈良へ旅に出た。日本鱗翅学会第53回大会に参加するためだ。京都へは幾度となく行くが、奈良は小学校の時行ったきりだ。私にとって初旅も同然である。名古屋からは、近鉄やJR関西線を利用する方が車窓からの景色も良いらしい。だが、せっかちな私は京都経由で新幹線と近鉄を利用。所要時間こそ短いが、およそ趣ある旅とは縁遠い。10日は職場から直行し、近鉄奈良駅に到着したのは午後7時すぎ。辺りは既に真っ暗で心細い限りだったが、どうにか上三条町のホテルへ辿り着く。上三条通りは多数の観光客が繰り出し、大変な賑わいであった。食事でもしようと、安そうな店を覘く。試みに1-2品頼んで見ると、美味しい。これはいけそうだと思っていると、なんとN氏がふらっと店に入って来るではないか。日本でシャチホコガ科幼虫と言えば、この人を置いては語れない。幼虫屋の私としては、これ以上の話相手は望むべくも無い。幼虫談義は盛り上がって、ふと気づいたら午後10時になっていた。氏の幼虫と食草の知識は広くて奥深く、どの話題も刺激的でわくわくするものだった。こうして旅の初日は幸先の良いスタートとなった。
写真:興福寺五重塔と浮見堂

11120611日は曇り時々雨。午前10時半から会議があるので、大事を取ってホテルを午前8時40分に出発する。会場の近畿大学農学部は奈良市の西方にある。最寄の近鉄富雄駅は普通、準急、急行電車しか停車しない。土日ダイヤということもあって、電車が無くて25分ほど近鉄奈良駅で待つことに。おまけに富雄駅から近畿大学行バスが出るバス停は少し離れている。やっとバスに乗り込んだら、会議に参加する知った顔の方々がにこにこ顔で迎えて下さり、ほっとする。やはり旅先で知っている人達に出会うことほど、心強いものは無い。近畿大学校門からまた歩いて、会場に到着したのは午前10時12分頃。かれこれ1時間半だ。名古屋駅~奈良駅間と同じくらいかかったわけだ。なにやら、午後1時半の大会開催前にすっかり疲れこんでしまった。
写真:チャエダシャク(高畑町)

Photo_5111206_112日の朝は早起きして、近鉄奈良駅のカフェでコーヒーを飲んでいると、ウォーキングシューズとリュック姿に地図を手にしたグループが湧くように現れては続々と発つのを目にした。そのエネルギッシュで楽しそうな様子に感動し、私も少し歩いてみたくなった。そこで、標識だけを頼りに興福寺から国立博物館、春日大社、奈良公園をバスと徒歩で廻ってから、新薬師寺あたりまで散策した。この日は奈良国立博物館で開催中の正倉院展最終日ということもあってか、奈良は朝から人で溢れかえっていた。古都散策は思いのほか爽快で、身も心も癒される思いがした。もっとも、虫の方はほとんど成果がなく、見たのはチャドクガ、チャエダシャク成虫、ナンキンキノカワガ幼虫、コカマキリなど、いずれも名古屋でも見られる普通種ばかり。奈良公園界隈の樹木はシカの皮剥ぎ防止のために樹幹に網が張られている。ところが移入植物であるナンキンハゼはシカの食害を免れて増殖したせいか、奈良には大変ナンキンハゼが多い。当然ナンキンハゼに寄生するナンキンキノカワガも多いわけである。
写真:ウスキツバメエダシャク(奈良公園)とナンキンキノカワガ終令幼虫(山ノ上町)

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November 08, 2006

ミノウスバの季節

SinicamSinicaf11月はミノウスバの季節。ミノウスバは、虫の姿が少なくなった晩秋に登場する昼蛾だ。翅は薄くて脆弱な感じだが、体躯はふさふさとした黄色の毛で覆われ、いかにも暖かそうだ。例年自宅の近くで見られる常連さんで、晩秋マサキの周りを飛ぶ姿は愛らしい。しかし、実のところ今年は果たしてミノウスバを見られるかどうか心配だった。というのも、このブログでも書いたように、幼虫が群生していた近くのマサキに大量の殺虫剤がかけられてしまったからだ。悶えながら地面に落下してゆく夥しい数の幼虫の姿は今も目に焼きついている。殺虫剤の影響で、今秋の成虫の発生は極端に少ないのではないかと予想していた。

ところが、今日くだんのマサキを調べて見ると、ミノウスバは既に発生していたのだ。オスばかりか、産卵中のメスの姿もあった。どうやら、たくましく生きながらえた幼虫達が蛹化し、無事羽化にこぎつけたようだ。個体数の増減は詳しく調べないとわからないが、ざっと見たところでは昨年並みという印象であった。殺虫剤によって幼虫個体数が減少して、限られた幼虫間での資源配分が順当に行われたせいなのか、それとも、幼虫と共にマサキに寄生するサシガメや寄生性天敵の個体数も減少したせいなのか?

写真:Pryeria sinica Moore, 1877 ミノウスバ ♂(アンテナ 両櫛毛状) ♀(アンテナ 棒状)

ミノウスバ御難

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