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April 24, 2007

ツマキチョウとの出会い

春の蝶のなかで私が一番好きな蝶といえば、それはギフチョウでもなければ、ヒメギフチョウでもない。ツマキチョウである。ギフチョウもかっては春の野を歩いていると、ごく自然に見かける蝶だったのだろう。しかし、今や土地開発によって生息環境が狭められ、局所的な産地でしか出会えない蝶となってしまった。ところが、ツマキチョウは小粋で可憐な姿の蝶でありながら、街中でも気軽に出会える卑近な蝶だ。近所でツマキチョウが飛ぶ姿を見ると、自分が春の只中にあることを実感する。ツマキチョウは私にとって春の象徴とも云える蝶である。

Tsumaki042307さて、今年は4月12日にツマキチョウが飛んでいるところを見た。この日は天気が良すぎて、ツマキチョウは止まってくれずに、その姿を撮影することはできなかった。それ以降は、休みの日には天候が崩れてしまい、見る機会がなかった。今年はもう無理かな、とあきらめかけていた。今日は久方ぶりのお休み。風邪気味だったが、午前11時ごろ散歩に出た。アメリカハナミズキが咲き始め、白色や薄紅色の花が眩しい。コデマリの花も満開だ。花でも撮影しようと、デジカメを構えたとたん、白い蝶が風に流されるように飛んできたかと思うと、すぐ近くのケヤキの幹に止まったのだ。地味な♀だが、裏面の模様は渋く、かえって趣がある。今にも消え入らんばかりの、かそけき風情が心打つ。ちょうど曇りだったせいか、動きが悪くて、おかげで様々なアングルから写真を撮ることができた。これで、ようやく春気分。

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April 18, 2007

春の幼虫

Goma041807平地のサクラが散り果て、目も鮮やかな若葉が開き始める頃、長い越冬から目覚めた虫たちの活動も始まる。そろそろ幼虫の姿が見られるのではなかいと期待に胸を膨らませながら、いつものフィールドへ寄ってみた。すると、チャバネフユエダシャクやウスバフユシャク、ニトベエダシャク、チャエダシャクなどの常連幼虫さんが早くも体長15~20mmにまで成長していた。昨年よりも多少成長が早いような気がする。今日は天気が曇りだったので、チョウはほとんど飛んでいなかったが、代わりにゴマダラチョウの幼虫に出会った。寄主はやや薄暗い場所に生える樹高2メートルほどのエノキ。この時期のゴマダラチョウ幼虫は桃色や黒色の模様が出ていて、展葉したばかりのエノキの艶やかな葉にそっくりで実に美しい。

Shiroshita041807_1ゴマダラチョウの幼虫を見つけて上機嫌の私は、芽吹いたばかりのクロミノニシゴリでシロシタホタルガの若令幼虫(推定令数 2令)を見つけた。日当りの良い場所では、幼虫はさらに成長しており、3令幼虫の姿も見られた。まだ個体数はそれほど多くないが、これから追って数を増すものと思われる。シロシタホタルガの若令幼虫はクロミノニシゴリやサワフタギの花蕾に似た模様をしているために、少し離れるとほとんど目立たない。幼虫はほんの僅か開き始めた芽の間に潜んでいるが、吐糸で芽を封じるような手の込んだ隠れ方はせず、「見つけてちょうだい」と言わんばかりのお座なりな隠れ方をしている。体内に青酸配糖体を蓄蔵して、天敵を威嚇する防御手段を持っているための「余裕」なのだろうか?しかし、こうした防御手段も寄生性天敵には余り効果が無いようだ。野外で採集した本種幼虫から寄生蜂やヤドリバエが羽化することは珍しくないからだ。

Himeyamamayu_1満足して帰ろうとすると、途中でサクラの葉裏に静止するヒメヤママユの若令幼虫(推定令数 2令)を見つけた。ヤママユガ科の幼虫は孵化したばかりの初令幼虫は真っ黒なことが多い。ヒメヤママユの場合は2令になると、第2-3胸背に鮮やかな赤色斑が出る。令数が高くなるにつれ、幼虫の色彩や形状が変化するので、飼育の楽しい幼虫のひとつである。ところで、今年の冬には卵が産付されたウスタビガの繭を見つけた。孵化幼虫の飼育を楽しみにしていたのだが、時期になっても孵化しない。おかしいと思っていたところ、コバチが羽化してしまったのだ。今度はウスタビガの幼虫も見つけたいと思っている。

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April 12, 2007

南信州 花巡り

Photo_6春になると、花が一斉に咲きはじめ、心が浮き立つ。早春の花にはなぜか菜の花、マンサク、福寿草、キブシなど黄色のものが多い。次いで多いのが白色と薄紅色。梅、水芭蕉、桃、桜、カタクリ、ミツバツツジの花だ。カタクリの花は紅紫色が多いが、まれに白色もある。先週半ば、南信州へ花巡りの旅に出た。人出の多い満開の時期を避け、少し早めの時期(4月4-5日)を選んだ。まず最初に寄ったのが、飯田市美術博物館。ここの安富桜は風格のある桜で、特に幹や枝ぶりが素晴らしい。平日にもかかわらず、駐車場は満員。カメラ機材をかかえて桜の周りを陣取る人もあちこちに見られた。いつもは奥にある美術博物館の喫茶店が、桜のよく見える場所で臨時営業をしていた。公共の施設にしては粋な計らいである。コーヒーを飲みながら、ガラス越しに見える安富桜を堪能した。桜に酔うような気分で、しばし時を忘れてしまった。「京の桜が公家の姫君なら、飯田の桜は武家の姫君だ」と、同行の母が感嘆する。特別公開中の菱田春草や横山大観の絵はほの暗い渋い作風で、大胆な構図や配色の所謂大作ものとは些か趣きを異にしていた。春草や大観の画風のこれまで知らなかった一面を垣間見る思いがした。

Photo_7次に立ち寄ったのは、高森町大島山の瑠璃寺。南アルプスを望む丘陵に咲く枝垂れ桜は風情があった。花はまだ咲き始めであったが、花が色濃く、雅やかであった。由緒ある寺のようで、境内の松なども樹形が見事であった。4月1日にオープンしたばかりの瑠璃の里会館が敷地内にあり、軽食や喫茶も楽しめる。あいにく飯田市美術博物館でコーヒーを飲んだばかりだったので寄らずじまい。

Photo_8桜見物の後、ハーモニック・ロードという南アルプスの見える眺めの良い道を走って、蘭ミュージアム高森へ。ここへは昨年12月に行ったことがあるが、素晴らしい蘭の数々が展示されているので再訪した。大変居心地の良いところで、何度でも行きたくなる。ちょうどヒスイカズラが開花中であった。蘭の甘い香に包まれながら夢中で蘭の写真を撮影していると、叩きつけるような激しい雨音がする。温室の外はみぞれ交じりの大雨。つい先ほどまで晴れていたのが信じられない。山際のため、天候が変わりやすいのだ。

Photo_9粉雪が舞って来たので、この日の宿泊先である辰野町へ急ぐために松川ICへ。駒ヶ根付近では、雪が一段とひどくなったので、駒ケ岳SAで一休み。しかし、雪は一向に止む気配が無いため、小雪の中を再び中央道を走る。伊北ICを出る頃には雪は止んだが、空は相変わらず真っ暗。大変な花見になってしまった。辰野町荒神山のたつのパークホテルに到着したのが午後4時ごろ。夕食まで時間があったので、池の周りを散歩する。コヒガンザクラの蕾は膨らみ、ほの紅に染まっていた。当然のことながらサクラはまだ早かったが、代わりに紅梅白梅が満開で、芳しい香を放っていた。夕食前に露天風呂へ行くと、外気は冷たかったが、梅の香が漂ってきて爽快だった。
夕食は美味しく、「夜明け前」という地元小野の吟醸生酒を頼んだところ、これが芳醇で旨い酒。良い酒は悪酔いしないので、ついつい飲みすぎてしまう。辰野町小野といえば、ヒメギフチョウの産地としても知られているところ。蝶の舞う野に思いを馳せながら夢路に入る。

Photo_10翌朝は快晴。冠雪した山々がまぶしい。早速、たつの海を散歩をすると、コヒガンザクラの蕾がほころびかけている木もちらほら。通りかかった地元の方から「せっかく来てくれたのに、咲いてなくて申し訳ないねえ。後1週間はかかるねえ。」と声をかけられる。また、「みんな高遠へ行ってしまって、荒神山へは来てくれない」と、嘆いていた。辰野の桜は高遠ほど有名ではないけれども、決して負けないと私は思っているが。また、辰野の方が落ち着いていて、ゆっくりできると思った。

Photo_11朝食後、ホテルの喫茶店でコーヒーを飲みながらゆっくりと過ごす。遅めにホテルを発ち、まず信州伊那梅苑へ寄る。観光ガイドブックにも書かれているとおり、広大な梅園だが、梅はまだ咲き始めだった。ここはスピーカーで不調和な琴の音を流したり、急ごしらえの土産店を入口付近に設けたり、何とも騒がしい。とても静かに梅見を楽しめる雰囲気ではない。梅園からの眺望も今ひとつである。梅園内に置かれているオブジェ?も安っぽい。観光地化され過ぎていて、私の好みでは無かったので、早々に立ち去ることに。

Photo_17次いで経ヶ岳山麓の仲仙寺を訪れる。鎌倉時代の作とされる金剛力士像や仁王門があり、歴史のある古刹である。平日ということもあってか、辺りは静寂そのものであった。明るい斜面には可憐な福寿草の花が、湿地には水芭蕉が咲いていた。ここの水芭蕉は昔から自生していたものではなく、奥裾花自然園からもらった種苗を経ヶ岳の湧水に植栽して増やしたものとか。仲仙寺から眺める南アルプスの山並みは美しく、白銀の甲斐駒ケ岳はとりわけ印象的であった。のびやかな南アルプスの眺望は、中央アルプス側からに限る。出来ることなら、いつまでもそこに留まりたい思いだった。

Photo_13仲仙寺で寛いだ後、今度は羽広みはらしファームへ寄る。ここは家族連れで大変賑わっていた。直売所で新鮮な野菜を買う。値段は特に安いわけではなかったが、品質が大変良かった。家へ戻ってから、もっとたくさん買えばよかったと、後悔したほどである。羽広荘で軽い昼食を食べる。蕎麦の他に蜂の子を注文。クロスズメバチの幼虫、蛹、羽化寸前の蛹を上手に味つけしたもの。各ステージ独特の舌触りが味わえ、なかなか美味しかった。羽広荘から見る南アルプスの連山は最高だった。この後、ついでに高遠へ廻ってみることにした。伊那IC周辺の桜は全て開花していたので、期待がもてるような気もしたのだが、城址公園の桜はやはりまだ蕾だった。下の方の日当りの良い信州高遠美術館と絵島囲み屋敷の辺りのタカトウコヒガンザクラは既にほころびかけていた。花が小さくて色が濃いのが特徴だった。

Photo_14高遠さくらホテルで少し休憩した後、美和湖畔の国道152線を下る。途中、絵島が最初に流された長谷村非持を通る。大沢峠付近から路面が凍結しており、対向車もほとんど無い。松林の間から大仙丈ケ岳がよく見える。このルートは以前4月下旬に逆コースで走ったことがあるが、4月上旬は初めて。所々に落石がある。林床には雪が見える。標高が高いので、樹木はまだ芽吹いておらず寒々しい景色が延々と続く。心細い限りである。

Photo_15分杭峠からくねくね道を下り、途中崖崩れもあったらしく迂回路を走るなどして、大鹿村の最初の集落が見えてきた時にはさすがにほっとする。小渋湖の湖畔にはようやく桜も見られ、人里に戻って来たことを実感する。高遠~大鹿村のコースは中沢峠で駒ヶ根へ抜ける県道49号駒ヶ根長谷線もあるが、以前走った時にひどい悪路だったので、今回走らなかった。恐らく正解だったろう。夕闇迫る中、松川ICへ向かう道すがら、大洲七椙神社の桜が目に止まる。名木ではないのかもしれないが、なんとなく温かい桜で心に沁みる。桜に始まり、桜で終わる南信州の旅であった。

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