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June 28, 2007

幼虫越冬するシロシタホタルガ

このところ真夏のような暑さ。この炎暑で、シロシタホタルガの卵が一斉に孵化した。3頭の母蛾から採卵したものだが、なんと全部孵化してしまい、幼虫の数はざっと見ても1000頭余。またたく間に、食草の葉には無数の食痕ができ、葉は透け透けになってしまった。手に余る数の幼虫に、嬉しいを通り越して、困惑してしまった。食草の調達も大変であるし、これから一年間の長丁場の飼育を考えると、気が重くなる。

Shiroshita_2今月中旬の夕方、いつもの雑木林を散策した。小雨混じりの天候であったが、蛾採集にはかえって好都合。そろそろ、シロシタホタルガの♀成虫が出現する頃である。食樹のクロミノニシゴリを見上げると、数頭の成虫の姿が目に入った。どうやら、羽化して間もないようである。木の周りをゆっくりと飛翔する♂の姿も見える。絶好のタイミングに来た、と確信する。きっと、♀成虫が食樹の周りにいるに違いないと思い、下草を探すと、すぐに新鮮な1♀が見つかった。近くで、さらに新鮮な2♀を加え、計3頭を持ち帰った。♀達は翅音も騒がしく、淡黄色の卵を連日産卵した。鮮度が良いので未交尾である恐れもあるが、そのうち1頭ぐらいは交尾済みだろうと読んだ。全卵孵化したところを見ると、3頭とも既に交尾済みであった。野外で採集する♀は、交尾済みであることが多い。しかし、シロシタホタルガは飼育下では容易に交尾しない。これまで何度も大きめの飼育箱に、羽化したばかりのシロシタホタルガの♂♀を放ってみたが、交尾行動を観察できたことは一度も無い。♀は産卵するが、卵は孵化しない。総じてホタルガ亜科の蛾類は飼育下で簡単に交尾するのに、シロシタホタルガはその例外で、飼育屋泣かせの気難しさんである。

ところで、シロシタホタルガの越冬態についてよく質問を受けるが、シロシタホタルガは幼虫越冬である。実は私も数年前までは、日本産蛾類生態図鑑(1987、講談社)の記述を鵜呑みにして、卵越冬だと思い込んでいた。しかし、春先に見る幼虫が大き過ぎ、かつ令数にばらつきがあることに疑問を持ち、昨年一年間、飼育と野外の両方から生態観察をしてみた。すると、若令幼虫で越年することがわかった。既に幼虫越冬であることを報じた文献があるのではないかと思って探してみたら、一つだけ見つかった。ただ、発行部数の少ない地方誌に掲載されたもので、ほとんど知られていない。図鑑の影響力は大きく、誤謬が流布してしまうので、ここで訂正しておきたい。なお、詳しい生活史は紙媒体にも投稿準備中である。

写真:シロシタホタルガ Neochalcosia remota (Walker, 1854) ♀

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Comments

観察の積み重ねの中からいろいろな事実を明らかにしていく、その過程を垣間見る気がして感動を覚えます。そんなこともあって、昨年はずっとお忙しかったのかなと推察しております。ところで、1,000頭とは、すごい数ですね。100%ということはないにしても、相当数が成虫になると想像しますが、その後、どうなるのでしょうね?飼育中の交尾・産卵の試み、あるいは、野外に放つ?通りがかりの単なる興味です。ご放念ください。

Posted by: スズメ | June 28, 2007 at 10:53 PM

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