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December 16, 2007

クロスジフユエダシャクの交尾

121507_2昨日の昼頃、いつものフィールドへ虫散歩に出かけた。土曜日の午後ということもあって、自然観察を楽しむ人達でいっぱいだと思っていた。ところが、現地に着くと人の姿はごく僅か。寒い上に小雨がぱらつき始めたためらしい。こんな日はフユシャクの活動も不活発。薄暗いこともあって樹皮に張り付く♀の姿を見つけるのは至難の業である。まあ、必死に探しても、そう簡単には見つかるまい。いつもなら樹幹に目を寄せて樹皮の窪みという窪みを辿るのだが、悪天候の日は少し離れたところから樹木やその周辺全体を見ることにした。数少ないながら、枯葉の上をクロスジフユエダシャクの♂が飛ぶ姿を認める。きっと、これらの♂は土中から羽化したばかりの♀を待ち受けているのだろう。

121507121507aその後、クロスジフユエダシャク♂成虫が低空飛行する姿は見られたが、♀の姿はさっぱり見つからない。無論、時期的には♀は出現しているはず。樹幹のどこかにいると思われるが、巧みに隠れているせいか探し出せない。♀の翅は退化していて飛翔できない。しかし、飛翔できない分、脚が発達。動きは極めてすばやい。接近する人の気配をいち早く察知して身を隠してしまうのだろう。

悪天候を口実に早めに引き上げることに。「今日は坊主かな」と思いながら帰る途中、とあるコナラの樹に目が行く。樹幹の下方に何か引っかかっている。どうせ枯葉なのだろうが、念のために確認したところ、それはクロスジフユエダシャクの♂。枯葉の間に潜んでいる方がずっと安全なはずの♂がわざわざ目立つ樹幹に静止する。と、いうことは・・・ じっと目を凝らすと、♂の翅の下方から♀の前翅が僅かに見えるではないか。またもや交尾中のクロスジフユエダシャクだ。一旦あきらめていただけに喜びも大きい。

写真:交尾中のPachyerannis obliquaria (Motschulsky, 1861) クロスジフユエダシャク 2007年12月15日 名古屋市守山区で撮影

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December 12, 2007

クロスジフユエダシャク隠れ術

AA2そろそろクロスジフユエダシャクの出現期ではないかと思い、先日いつものフィールドである名古屋市北部の雑木林を訪れた。ちょうど昼頃で晴天。午前11時頃から午後1時頃はクロスジフユエダシャクの飛翔帯である。現地へ着くと、♂成虫が枯葉の上を乱舞している。一歩枯葉に踏み入れると足元から飛び立ち、少し離れた枯葉の上に止まる。近づくと、枯葉の裏にそっと隠れる。隠れ方はかなり芸術的。触角は見えるが、体は枯葉の裏に潜めているので撮影しにくい。クロスジフユエダシャクの♂の変幻自在な葉隠れの術に騙されるのは愉しい。そして、偶然ではあるが、それを見破るのはもっと愉しい。
写真:クロスジフユエダシャク Pachyerannis obliquaria (Motschulsky, 1861). ♂ 2007年12月10日 名古屋市守山区で撮影

Dこれだけの数の♂成虫が飛翔しているのだから、♀成虫も数少ないとはいえ、既に出現しているはずである。ぜひとも♀成虫を見つけたいと思い、食樹とされるコナラ、アベマキ、カシワ、クリの樹幹を探すが、なかなか見つからない。あきらめかけた頃、とあるコナラの樹幹の下の方で♂成虫を見つける。これまで、枯葉の表裏では多く見かけた♂であるが、樹幹で見るのは珍しい。デジカメで2-3回撮影するうちに、止まり方が何やらおかしいことに気付く。人が接近する気配に微動だりともしない。前翅の片側がまるで羽化不全個体でもあるかのようにへこんでいる。どうも変だと思い、目を寄せると、♂の翅の下には♀成虫が・・・・交尾中だったのだ。あわてて♂に合わせていたピントを♀に。興奮で震ながらシャッターを押すが、手振れしてうまく撮れない。♂がうまく撮れると、♀がボケ。♀がばっちりだと♂がピンボケ。そのうちに、♀が♂から離れ、ものすごい勢いで樹を登り始める。♀は翅が退化して飛翔できない代わりに、肢が発達していて動きが素早い。また、触れるとピョンと飛び跳ねる能力も極めて高い。人の気配を感知すると、樹皮裏や窪みに素早く隠れるので見つけにくい。人の目につくときは、よほど個体数が多い時か、寒くて身動きが取れない時なのだろう。
写真:交尾中のクロスジフユエダシャク 2007年12月10日 名古屋市守山区で撮影

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December 10, 2007

昼神温泉で見た冬の蛾

Photo_2先日、ぶらっと家族で昼神温泉へ。天気予報では、この日は曇りのち雨ということだったが、朝から雨。今回の旅はゆっくり湯に浸かり骨休めをすることだったので、遅めに出発。昼神温泉には午後2時過ぎに到着。温泉の入口の神社脇で藁で編んだ素敵な「湯屋守様」が出迎えてくれた。昼神温泉はすっかり冬支度である。後で知ったことだが、どの旅館の玄関にもこの湯屋守様が飾られていた。私達は先ず十字屋コーヒー店へ。店へ入ろうとすると、目の前のサクラの樹幹に何か止まっている。晩秋の蛾として知られるナカオビアキナミシャクだ。小雨の中、デジカメを操作するが、水に濡れてうまく作動しない。あきらめてひとまず店内へ。
写真:湯屋守様  2007年12月3日  長野県阿智村で撮影

店は空いていて、窓際の席に座ることができる。ここのオーナーは野鳥好きなのだろうか。周りの樹木に餌台が置いてあるので、野鳥が頻繁に訪れる。温泉で点てたという「いで湯コーヒー」を飲みながら、愛らしい野鳥の姿を追ううちに雨が上がってきた。タオルに包んであった濡れデジカメも乾いてきて、やっとシャッターチャンス。周囲も少し明るくなり、なんとかナカオビアキナミシャクの姿をカメラに収めることに成功。やれやれ。

Photoころで本種はいわゆる「フユシャクガ」のグループには属さない。フユシャクガの定義について、中島(1998)は、次の4点を挙げている。1)年1回発生で成虫は晩秋から早春に出現する。2)冬期に生殖行動を行い産卵する。3)雌の翅は欠けるか縮小して飛翔できない。4)口吻は短縮して、食餌しない場合が多い。ナカオビアキナミシャクは1)と2)は満たしているが、3)、4)が当てはまらないので、チャエダシャクと同様にフユシャクガのグループからは外されている。食草はリョウブで、名古屋市やその周辺地域でも普通に見られる。今年は暖冬のせいか、南アルプスの冠雪も僅か。蛾の方もナカオビアキナミシャクが圧倒的に多く、本来のフユシャクガで採集できたのはシロオビフユシャク1頭だけ。昼神温泉はこのほど新しい源泉を掘り上げたせいか、湯量も豊富で湯温も高くて楽しかった。定例の朝市では味噌、漬物、りんご、ジャム、きのこ、米などを買った。品質が良く、また行きたいと思った。

写真:Nothoporinia mediolineata (Prout, 1914) ナカオビアキナミシャク成虫 2007年12月3日 長野県阿智村撮影

(画像はマウスを当てると拡大画像が見られます)

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