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May 19, 2008

南信州花桃紀行(前編)

 昨年来より、南信州がすっかり気に入ってしまった。4月上旬、飯田市美術博物館で満開の長姫桜を見てから、昼神温泉で一泊した。昼神のソメイヨシノは未だ咲き始めで少し早すぎた。当然のことながら、花桃の方は固い蕾。5月の連休ぐらいが丁度花桃の見ごろらしい。しかし、シーズン中は大混雑が予測されたので、連休直後に宿を予約しておいた。花桃の最盛期は過ぎていても、元来花期が長い植物だから、少しは咲き残っている木もあるだろうと、楽観的に考えていた。そして、5月のゴールデンウィークを必死に働き、待ちに待った5月8日。母を誘って、きままな花桃見物の旅に出た。

PhotoPhoto_3 雨かと思っていた天気も曇りで、まずまずである。道も空いていて、目の覚めるような新緑の木々に絡まる藤の花や、たおやかな桐の花の薄紫色が美しい。途中のサービスエリアで早めの昼食を楽しみ、中央道「園原IC」に到着したのはお昼過ぎ。まず月川温泉の方へ向かったところ、月川温泉の花桃の花期は既に終わりかけだった。花は全体に薄墨色を帯びて、何やら物悲しい。盛りを過ぎた花桃に、人生の翳りを重ねあわせてみる。紫式部の時代に花桃があったなら、かの六条御息所は、この萎れかけた花桃の一枝に歌を添えて、つれない源氏の君に贈ったのかもしれない。そんな荒唐無稽なことを考えていると、車の前を白っぽいチョウが川沿いの道をのんびりと横切る。「あっ、ウスバシロだ」と、伴侶が車を道路脇に止める。ウスバシロチョウがたくさん飛んでいて、タンポポで吸蜜している。川岸の斜面には食草ムラサキケマンの花が咲いていた。よく見ると、ウスバシロチョウの他にツマキチョウも飛んでいる。普通種だが、両方とも大好きなチョウだ。この2種が見られるのは自然環境が良い証拠だ。

Photo_2 月川温泉の花桃が駄目でも、清内路街道の花桃は見頃かもしれないと思い、清内路の方へドライブを兼ねて走ってみる。標高が高いせいか、清内路にはまだ桜の花が残っていた。花桃は街道の所々に植栽されていた。花の色も濃く、木も月川温泉や昼神温泉に比べて大きい。「花桃発祥の地ー清内路」という触れ込みだが、期待を裏切らない。特に、清内路ふるさと自然村の花桃は色鮮やかで、大変美しかった。これで、お洒落なカフェの一つでもあれば、観光地として申し分ないところだが、残念ながらそうした店は一軒も無かった。

Auzata さて、清内路街道の途中で引き返し、昼神温泉へ来てみると、花桃はすっかり葉桃になっていた。少しぐらい花が残っているのでは、という淡い期待はものの見事に裏切られてしまった。よくよく考えて見るに、花期の遅い月川温泉でも遅かったのだから、それよりも低標高の昼神温泉の花桃が残っているはずはなかった。そもそも期待する方が間違いだったのだが、「桃源郷を母に見せたい」という思いが強すぎて、冷静な判断を欠いてしまっていたようだ。
夕方になって、近くを散歩。ミズキの葉を巻いた中に蛾の幼虫を見つける。Auzata superba (Butler) ヒトツメカギバだ。幼虫態で越冬し、春に摂食を再開する。特に珍しい蛾ではないが、幼虫を実際に採取するのは初めてだったので、ちょっと嬉しかった。

 
 

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