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July 28, 2008

八ヶ岳山麓の蛾

Photo六月下旬、八ヶ岳山麓へニ泊三日の家族旅行に出かけた。晴天なら、安曇野や軽井沢方面まで足を伸ばすところだが、あいにくの曇り空。白馬や浅間山の眺望は到底得られない。あきらめて、コテージでのんびりと過ごすことに。この日はゆっくりと中央道を走り、小淵沢に到着したのは午後1時頃。まず、道の駅こぶちさわへ立ち寄り、新鮮な野菜、チーズ、ハム、ベーコン、牛乳、などの食材を入手した。いつもなら清里の清泉寮までミルクパンを買いに行くのだが、曇天では甲斐駒も見えないので、近場のリゾナーレ小淵沢へ。

写真:キバナオダマキ 山梨県北杜市 2008年6月20日撮影

Photo_4ここで朝食用の美味しそうなパンを買い、オープンカフェでコーヒータイム。カラマツ林に囲まれたコテージへ着いたのは丁度3時頃。キバナオダマキやマムシグサがコテージの周りに咲いていた。早速、晩御飯の準備に取り掛かる。メニューはたっぷり野菜とベーコンのトマトシチュー、スパゲッティサラダ、皮付き焼きポテト、果物の盛り合わせなど。シシュー煮は、たっぷり2時間ほどかけてゆっくり煮込む。

写真:リゾナーレ小淵沢


料理もほぼ出来上がり、着替えでも、という段になって、大変なことに気付いた。なんと、着替えやタオルなど一式を入れた大型バッグを玄関に置き忘れてきてしまったのだ。肌身離さず持って来たのは、シャーレや昆虫採集用具の入ったバッグと財布の入ったポーチだけ。我ながらあきれる虫屋根性。本当に自分が必要としているものだけは、忘れなかったのだ。とばっちりを受けたのは家族。パジャマひとつ無く、着たきり雀。翌日、近くの八ヶ岳リゾートアウトレットで着替えを買うことにして、ともかく一晩だけ耐えることに。

Photo_2翌朝、開店と同時に八ヶ岳アウトレットへ。広い敷地にショッピングモールが立ち並び、朝早くからたくさんの人で一杯だった。入口付近には気に入る品が無く、奥の方へ歩いていくうちに、自然豊かなロケーションだけ、トラガの飛び交う姿が目に入った。アカメガシワと思しき花穂で多数のトラガが吸蜜していた。人の気配に敏感なトラガであるが、そっと近づき、やっとデジカメに吸蜜中の姿を収めることができた。トラガは、高原では決して珍しい蛾ではないが、吸蜜シーンを撮影したのは初めてだったので、とても嬉しかった。

写真:トラガ Chelonomorpha japana japana Motschulsky, 1861  山梨県北杜市 2008年6月21日撮影

Photo_3着替えを買った後、八ヶ岳薬用植物園に寄ってみる。広大な敷地に様々な薬用植物が植栽されていた。ヤマボウシやアオダモの花が美しかった。多くの植物には種名の札が付けられていて、大変勉強になった。尤も、既に知っている植物には札があり、「これは何かな?」と思う植物には札がないこともあり、少し残念だった。ゆっくり散策したかったが、あまりに広すぎて全部歩くと疲れるので、一部の薬用植物を見学した。その後、三分一湧水園に行き、蕎麦を食べた。少し汁が辛めだったが、蕎麦は美味しくて値段も手頃。即売所では、真っ赤に熟したサクランボを安く売っていた。買い物を楽しんだ後、コテージに戻り、付近を散策した。サワフタギの枝を引き寄せて見ると、スカシサンの終令幼虫が目に入る。特に珍しい蛾ではないが、なんとも面白い形の幼虫だ。成虫は食草のサワフタギが生える渓流沿いを勢い良く飛ぶ昼行性の蛾である。

198下草に目を移すと、カラフトゴマケンモンの幼虫がカワラマツバの茎には付いていた。恐らく、カラマツの葉を寄生していた幼虫が下へ降りてきて、たまたまカワラマツバに寄っていたのだろう。無論、幼虫はカワラマツバの葉を一切摂食しなかった。以前幼虫飼育した経験では、ヒマラヤスギで全令期飼育できる。

写真: (上)スカシサン Prismosticta hyalinata Butler, 1885 幼虫
    (下)カラフトゴマケンモンPanthea coenobita idae Bryk, 1949 幼虫 
     山梨県北杜市 2008年6月21日撮影

追記:2008年8月16日
    上記スカシサン幼虫は、ほどなく蛹化し、7月上旬に♀が飼育羽化した。Photo_2


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Comments

ブトボソさん、コメントありがとうございます。猛暑に負けて、すっかりお返事が遅れてしまい、ごめんなさい。スカシサンの写真をアップしました。以前は成虫の形態からオビガの仲間と考えられ、スカシオビガと呼ばれていました。その後、幼虫の形態から、カイコガの仲間と考えられるようになって、和名が変わりました。前翅第6室の「透かし状紋」が特徴的ですが、昼間飛んでいる時はテングチョウを小型にしたような感じです。

少なくとも蛾類で、特定の種が大発生するのは、おっしゃるとおり、一時的にせよ生息環境に乱れが生じた時だと思います。たとえば、大規模な森林伐採を行なわれ、一時的に草地化したり、台風などで占有していた樹木が倒れた後、幼木が生育した時、単一の蔬菜を大規模栽培されたりすると、食餌がふんだんにあるために通常は少ない蛾類が大発生することがあります。これまでに私が見た大発生は、ギンツバメ、ウスバツバメ、オキナワルリチラシなどです。ビギバーズの頃、たまたま大発生に遭遇すると、いくらでもいる種と勘違いしてしまいます。ところが、翌年になると、バッタリ少なくなり、後になってそれが大発生だったことがわかりました。

Posted by: phasmid | August 16, 2008 08:28 AM

お久しぶりです。旅行堪能できたようですね。着替えを忘れても商売道具だけは忘れないというのには頭が下がります。でも当然かもしれませんね。私もカメラや糞などを採取するビニールを持たない日ってありませんからね。

スカシサンなんて見た事ないです。今年も「マイマイガ」が大発生しています。それ以外では「カラマツハラアカハバチ」ですね。特定の種が大発生をするという事は、生態系が崩れてきているのでしょうか?

Posted by: ブトボソ | August 04, 2008 06:52 AM

あやこさん、コメントありがとうございます。
名古屋も大変な猛暑でして、私も自然観察の方はさぼっています。蛾マニアと言いましても、中年以降からです。子供の夏休みの自由研究を手伝うために手を染めた昆虫飼育だったのですが、思いがけず一生の趣味になってしまいました。それまでにも様々な分野に興味を持ってきました。しかし、動植物ほど魅了されるものはありませんでした。いつも自分にとっての発見があり、わくわくします。とりわけ、蛾の幼虫は「醜くも美しい」ので好きですね。今後ともよろしくお願い申しあげます。

Posted by: phasmid | July 29, 2008 05:57 PM

ウメエダシャクのコメント、ありがとうございました。こちらのブログを拝見したら、かなり蛾のマニアのような。。。
またわからない蛾が出てきたら、よろしくお願いします。このところの暑さで、最近は全然、自然観察に出かけていませんが。。。

Posted by: あやこ | July 28, 2008 10:37 PM

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