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January 11, 2011

ナミスジフユナミシャク

ナミスジフユナミシャクは、日本産蛾類大図鑑(1982、講談社)では、学名をOperophtera brumata(Linnaeus, 1758)とされ、シベリア東部からヨーロッパまで広く分布すると記されている。1991年、中島秀雄氏は『蝶と蛾』42巻3号において、本種がヨーロッパ産とは異なる独立種であり、さらに2種に分類できるとして、Operophtera brunnea Nakajima コナミフユナミシャクとOperophtera variabilis Nakajima オオナミフユナミシャクを新種記載した。

この分類の細分化によって、ナミスジフユナミシャク種群の同定は困難を極めるようになった。原著論文の記載内容や同氏の学位論文『日本産フユシャクガ類(鱗翅目, シャクガ科)の分類学的, 生態学的研究』(Tinea Vol..15 (Supplement2), 1998)の種記載に夫々当てはまる個体もある一方、コナミフユナミシャクか、オオナミフユナミシャクか形態的に識別できない個体も多々存在した。これは同定能力の無い私だけの悩みなのかと思っていたら、どうもそうでは無かったらしい。

昨年、中島秀雄氏は『日本産フユシャクガの種の再検討』(蛾類通信 No.257:154-158)を発表した。それによると、コナミフユナミシャクとオオナミフユナミシャクの2種は同一種の種内個体変異であるとして、ナミスジフユナミシャクの和名を戻し、学名にはOperophtera brunnea Nakajima 1991を適用した。1991年のコナミフユナミシャク、オオナミフユナミシャク記載以降、多くの採集観察データが集積され、それを検討したところ、中間種も多く、両種の識別は困難という結論に至ったとのこと。

分類学上の誤りを自ら正す中島氏の潔さに感服する一方で、種分類の困難性、ひいては種とは何かについて改めて思いを巡らさないでおられない。もっとも、蛾の方は人間から何と呼ばれようと関係なく、毎年この季節になると、その姿や生態を、驚嘆すべき多様性で以って見せてくれるのである。

ナミスジフユナミシャク 2011年1月5日 名古屋市千種区平和公園

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