January 04, 2006

成虫越冬するウバタマムシ

ubatama010406今日は曇りだったが、夕方職場を出ると急に昆虫観察がしたくなって近くの雑木林へ寄り道をした。林内は薄暗く、寒々としており、虫探しには劣悪の条件であった。しかし、どんな日でも必ず昆虫はいるはずだと信じて粘り強く樹幹という樹幹を探し廻った。すると、アカマツの樹皮の一部が不自然に隆起していることに気づいた。目を寄せて見ると、それはウバタマムシであった。Chalcophora japonica(Gory) ウバタマムシはタマムシ科に属する甲虫で、幼虫は弱ったり、枯死したマツの材部を食べて生育することが知られている。成虫は4-6月に見ることが多いが、暖地では成虫越冬する。愛知県の知多半島で本種の越冬成虫を見たことがあるが、自宅周辺で見たのは初めてだ。

アカマツ樹幹で越冬するウバタマムシ 2006年1月4日 名古屋市で撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 18, 2005

枯葉の上で越冬するナミテントウ

namitento昨日の午前中は12月としては珍しいほど晴天だったので、近くの雑木林へ昆虫観察に出かけた。枯葉の堆積した林床や散歩道には柔らかな日差しが入り込んでいた。上を見上げると、アベマキ、クヌギ、コナラ、タカノツメなどの高木上部に残っている葉は色鮮やかな黄色や茶色に染まっていた。コナラの樹幹にはクヌギカメムシの仲間が3個体いた。気門が黒色で無いところから、サジクヌギカメムシかヘラクヌギカメムシのどちらかであると思うが、いずれも♀だったので外形上からは同定できなかった。目視で楽に見つかるほどであるから、この仲間の個体数はかなり多いに違いない。

枯葉を踏み分けながら林内を歩いていると、ヒサカキの葉に枯葉が何枚か付着していることに気付いた。手に取って見ると、枯葉の間からテントウムシの体半分が見えた。デジカメを近づけると動き出し、全体の姿を撮影することができた。テントウムシの鞘翅斑紋には種内変異が多く、同定に悩むことがある。特にナミテントウは遺伝的多型が著しく、大きく分けると「紅型」「斑型」「四紋型」「ニ紋型」の表現型を持っており(佐治寛之 1998『テントウムシの自然史』 東京大学出版会)、その中間型も併せると多様で一見同種とは思えないほどである。また、近似種クリサキテントウとの外形上の識別もむづかしい。クリサキテントウはマツ林に生息し、鞘翅の先端が尖っているとのことである。林内にはマツはあるが、アベマキ、クヌギ、コナラの優先度が高いことや、鞘翅の先端が丸みを帯びているところから、恐らく写真の個体はナミテントウの二紋型と考えて差し支えないだろう。

写真:ナミテントウ「ニ紋型」 2005年12月17日 名古屋市で撮影

| | Comments (3) | TrackBack (0)

October 02, 2005

ハンミョウの道案内

hanmyo先週の金曜日、実に半年ぶりに豊田市の猿投山へ昆虫観察に行った。猿投山は手軽に行ける格好の昆虫観察フィールドであったが、万博開催期間中は交通渋滞が怖くて足が遠のいていた。万博も終わり、ようやく会場周辺は静けさを取り戻しつつあるようだ。猿投山麓に着くと、早速ツクツクボウシの鳴き声が出迎えてくれた。自宅周辺でもツクツクボウシはいるが、個体数が少ないので鳴き声は時々しか聞こえない。猿投山では鳴き声が途絶えることなく、その音色はかすかな哀愁すら帯び、夏の疲れが一挙に癒されるような美声だった。かの古代ギリシアの詩人達は鳴く虫の歌声を愛で、とりわけセミの鳴き声を賛美したというが、恐らくその鳴き声はツクツクボウシのような調べだったのではないだろうか?

来てよかったなあ、と思いながら山道を歩き出すと、目の前をキラキラ光るハンミョウが道案内をしてくれる。ハンミョウは名古屋市にもいるが、やはり個体数は猿投山の方が断然多い。ハンミョウの写真を撮影したいと思ったが、動きがすばやくて写真を撮らせてくれない。やむなくフィルムケースに採取して後日自宅で撮影したのが添付の写真である。動かなくなり死んだのかと思って撮影していたら、ムクムクと動き出すので驚いた。大顎の先端が黒色なので♀のようである。鞘翅や頭部胸部だけではなく、脚や触角まで構造色を成し光輝く。ハンミョウは日本産ハンミョウ科昆虫24種の中でもニワハンミョウと並ぶ普通種だが、いつ見ても嬉しい昆虫の一つだ。

Cicindela japonica THUNBERG,1781 ハンミョウ 愛知県豊田市猿投山産 2005年10月1日撮影

| | Comments (3) | TrackBack (0)

August 26, 2005

ニオイゼラニウムを食むアオドウガネ

nioi昨日は台風が接近する中、東京へ出張した。JR大森駅を出たとたん、ミンミンゼミの鳴き声で迎えられた。東京はやはりミンミンゼミが多い。ふと花壇を見ると、虫除け効果があるとされるニオイゼラニウムの葉に食害の跡が見える。葉をより分けてみると、例のアオドウガネが2頭いて、雨にぬれながらニオイゼラニウムの葉を摂食中であった。自宅周辺でもニオイゼラニウムの葉がひどく喰われているのを見たことがあるが、あれもひょっとしてアオドウガネの仕業だったのかもしれないと思う。花壇の側にはササが植栽されていて、乾燥した環境に強いタケノホソクロバ幼虫の食痕が多く見られた。成虫もひょっとして発生していたのかもしれないが、雨足がひどくなったので、確認する暇は無かった。

仕事の後、八重洲ブックセンターへ寄って、『素数ゼミの謎』と『タケ・ササ図鑑』を買って午後4時ごろの新幹線で戻った。熱海を通過した頃には天候はひどくなっていて無事帰れるものやら心配だったが、幸い定刻どおりに電車は名古屋駅に到着した。せっかく東京に来たのだから、丸善日本橋店へも寄りたかったのだが、台風の接近状況を考えて泣く泣く止めて正解だった。もう1時間遅かったら、浜松駅あたりで足止めされていただろうから。

写真:ニオイゼラニウムを後食するアオドウガネ 2005年8月25日 東京都品川区南大井で撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 10, 2005

ツツジを食害するアオドウガネ

blotch0810tsutsujiこのところ、植栽のツツジの葉が著しく食害されているのが目に付く。葉縁から弓形にえぐるように食べ、葉脈以外の葉肉を食べてしまうのはルリチュウレンジ幼虫である。この時期同種終令幼虫を見かける。しかし、穴を空けるような食痕は別の昆虫の仕業である。アオドウガネあたりが怪しいと思っていたが、なかなか摂食現場を押える機会がなかった。ところが、今朝早くツツジの植え込みの側に行ったところ、アオドウガネが丁度ツツジの葉を摂食している最中だった。よく見ると、下の方の葉にも何頭かアオドウガネがいて摂食中だった。葉に触れると、コロンと落ちて落葉の間に潜り込む。日中の暑い間は植え込みの下の方や堆積した落葉の間に隠れていて、涼しい時間帯に摂食するらしい。それにしても恐るべき広食性である。これではアオドウガネが増えるはずである。

写真;2005年8月10日 名古屋市で撮影

| | Comments (2) | TrackBack (0)

August 08, 2005

アオドウガネ

enokienju先月アオドウガネ成虫が各種の植物を後食することについて書いたが、その後の調査でアオドウガネはさらに多くの植物を後食することがわかった。新たに摂食しているところを確認した植物は次の7種である。エンジュ(マメ科)、ノブドウ、ヤブカラシ(以上ブドウ科)、フウ(マンサク科)、エノキ(ニレ科)、アベリア(スイカズラ科)、アオギリ(アオギリ科)。ヤブカラシやノブドウは、ヒメコガネやマメコガネも共犯者。なお、先月はヘクソカズラの葉を後食するアオドウガネの写真をアップしたが、花も摂食するところをその後観察している。複数個体が葉に穴を空けるように摂食し、ひとしきり食い荒らすと他へ移動するようである。

写真:2005年8月7日 エノキとエンジュを後食するアオドウガネ 名古屋市で撮影

ヘクソカズラを後食するアオドウガネ

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 05, 2005

自宅近くで見た甲虫2種

usuba1このところ日中暑いので、早朝散歩して虫探しをすることが多い。直翅目昆虫は朝摂食活動を行うことが多いし、コガネムシ科昆虫も早朝摂食しているところをよく見かける。灯火の下では、夜間飛来してそのまま居残っている蛾類や甲虫類を見つけることもある。先日はウスバカミキリ(カミキリムシ科)とシロテンハナムグリ(コガネムシ科)が飛来した。ウスバカミキリは普通種のカミキリムシで良好な自然がまだまだ残されている名古屋市北部ではよく見かける種だが、自宅周辺のような自然度の低い場所では珍しい。シロテンハナムグリはウスバカミキリよりも普通種で、以前は自宅周辺で多数見られたが、最近は相次ぐ樹木の伐採で数が少なくなっている。

shiroten日本の行政は原生林は保全対象にしても植林に関しては対象外である。「自然との共生」を謳う愛知万博開催のために、愛知青少年公園の樹木が大々的に伐採されたし、自宅周辺でも新しい住宅建設や大駐車場設置の折に年輪を経た落葉樹の大木が多数伐採されてしまった。植林の森は人工的なものでいつでも再現可能だから処分しても良いという発想は間違っていると思う。そもそも何故植林が為されたのかというところに立ち返らないと、人間は何度でも過ちを犯し、およそ歴史から学ぶということが無いと思う。

写真:ウスバカミキリとシロテンハナムグリ 2005年8月1日 名古屋市で撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 04, 2005

ブタクサハムシ

butakusabutakusa2今朝裏の河川敷を歩いていると、オオブタクサ(キク科)の葉が著しく食害されているのに気付いた。葉をよく調べると、ブタクサハムシの成虫が多数いた。Ophraella communa LeSageブタクサハムシ(ハムシ科)は北米原産で、日本では1996年千葉県で初めて発見され、ブタクサハムシと名づけられた進入昆虫で、その後各県で進入が確認されている(大野 1997、滝沢ほか 1999)。花粉症の原因である北米原産の帰化植物ブタクサ、オオブタクサを食害することで注目されている。

私が本種を初めてオオオナモミの葉上で見つけたのは、1999年11月25日のことだった。成虫越冬で、冬季は枯葉や枯木の下で越冬しているところを観察した。名古屋市における最初の発見と喜んだが、実は既に1998年9月14日に名古屋大学構内で西田律夫先生によって多数のブタクサハムシがブタクサで発見されていた(守屋・初宿 2001)。化学生態学の分野で大活躍の西田先生はさすがに子供の頃からの昆虫少年だ。ブタクサハムシを名古屋出張中にちゃんと見つけておられたのだ。

ところで、オオブタクサやブタクサを食害する昆虫はブタクサハムシだけではない。今朝はアシグロツユムシやツチナゴ、トノサマバッタ若令幼虫がオオブタクサを摂食するところを見た。また、オオタバコガやミダレカクモンハマキ幼虫もブタクサやオオブタクサを摂食する。ただ、これらの昆虫は今のところブタクサハムシのように大量発生しブタクサやオオブタクサを激しく食害することはなさそうである。

写真:オオブタクサ葉上のブタクサハムシ成虫と幼虫 2005年8月4日 名古屋市で撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 06, 2005

ヤマイモハムシ

yamaimo自宅裏の河川敷にはヒメドコロ(ヤマノイモ科)が多数見られるが、この時期いつも葉は虫に喰われて穴だらけだ。この食痕の主こそLema honorata Balyヤマイモハムシ(ハムシ科)である。体長5-6mm、頭部と前胸背が赤色、上翅が光沢のある青藍色。なかなか綺麗なハムシだが、古くからヤマノイモの害虫として知られている。年1化、成虫越冬で、6月ごろからヤマノイモ科植物を食害する。7-8月産卵、幼虫は7月ごろより現れ、成虫、幼虫ともに葉を食害する。新成虫は8月より出現し、越年するらしい。

参考文献:高橋雄一(1948)『実験防除 農業害虫篇』養賢堂
       林匡夫・森本桂・木元新作(1984)『原色日本甲虫図鑑(IV)』保育社

写真:ヤマイモハムシ 2005年7月5日 名古屋市で撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 03, 2005

ヘクソカズラを後食するアオドウガネ

aodogane朝散歩していたら、ヘクソカズラ(アカネ科)の葉に穴がいっぱい空いていることに気づいた。昆虫の食痕だ。ヘクソカズラにはホシホウジャクやホシヒメホウジャクなどのスズメガ科蛾類の幼虫も寄生するが、葉縁から摂食することが多い。食痕の主を探そうと目を凝らすと、葉表と葉裏にはAnomala albopilosa Hopeアオドウガネ(コガネムシ科)の姿が・・・よく見ると、葉という葉にはアオドウガネがいて、摂食中の個体もいる。イタドリ(タデ科)を後食するのは知っていたが、ヘクソカズラも食べるとは知らなかった。そう思ってふと隣のスイカズラとフヨウに目を向けると、やはり同じように穴があいている。スイカズラ(スイカズラ科)とフヨウ(アオイ科)にもアオドウガネがたくさんいて交尾中のカップルもいた。

写真:2005年7月3日 名古屋市で撮影

| | Comments (9) | TrackBack (1)