December 08, 2011

黄葉に身を隠すツヤアオカメムシ

一昨日、平和公園を散歩した。サクラの葉は赤色が鮮やかになり、コナラやアベマキの葉は黄色や茶色に染まり、園内は静かな雰囲気だった。枯葉を踏みながら、林縁をゆっくり周っているうちに、クロスジフユエダシャクと思しき淡茶色の蛾が時折ゆっくりと飛ぶ。トウカエデの木の側を通り過ぎようとした時、連れ合いが「あれ、こんなところにカメムシが・・・」と、呼び止める。指差す方向には、体の半分を葉の間に隠してツヤアオカメムシが静止しておる。緑色の姿は、まるでトウカエデの葉の一部としか見えない。先日は、クサギの縮んだ枯葉の内に隠れていた本種を見た。地面に堆積した枯葉の間で越冬するのだろうか。それとも、もっと暖かい土地へ移動するのだろうか。なお、アオクサカメムシ、ミナミアオカメムシ、ツヤアオカメムシはよく似ている。『原色図鑑カメムシ百種』(川沢哲夫・河村満, 1977)に掲載されている識別点によって、ツヤアオカメムシと同定した。

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Glaucias subpunctatus (Walker) ツヤアオカメムシ 2011年12月6日 名古屋市平和公園で撮影

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November 14, 2011

ヒメハサミツノカメムシ

昨日、仕事の帰りに平和公園へ立ち寄った。最近、日が暮れるのが早くなって、公園に着いた時には既に辺りは薄暗くなっていた。なるべく明るい林縁沿いを歩いていると、クワの葉上にカメムシの姿。早速シャッターを切るが手ぶれでピンボケ。種名がすぐわからなかったので、取りあえずシャーレに入れて持ち帰る。『日本原色カメムシ図鑑』の写真と記載を見比べた結果、前胸背側角の形状、♀生殖節後縁が直線状であること、ハサミの形状から判断して、どうやらヒメハサミツノカメムシの♀らしいことが判った。図鑑には♀成虫の写真は掲載されていなかったし、色彩も緑色型のことしか記されていなかったが、越冬前個体が緑色から赤褐色に変化することはよくある。変化しやすい色彩よりも、形態的特徴の方が同定の安定した基準だと思う。
因みに下の写真は冷蔵庫に少し入ってもらった後撮影したもの。
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ヒメハサミツノカメムシ♀ 2011年11月13日 名古屋市平和公園で撮影

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2011年11月14日 自宅で撮影

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November 08, 2011

ヒメジュウジナガカメムシ

2週間ほど前に行われた草刈のお陰で、河川敷はすっかり丸坊主に。河川敷の限られた場所に生えていたガガイモ、クズ、ワレモコウ、コマツナギなど、昆虫に縁の深い野草もほとんど刈り取られてしまった。無論、環境の悪化した河川敷にギンツバメやミヤマシジミ、いわんやゴマシジミなど棲息するはずも無い。しかし、蛾や蝶の食草が近くに在るというだけで、何か癒される思いがした。それが急に目の前から消えてしまうと、言い知れぬ喪失感に襲われる。記憶を辿って、食草を探すと、アベリアに絡まるガガイモがかろうじて残っていた。枯れかかった葉表にはヒメジュウジナガカメムシの成虫が群生していた。冬にも成虫を見たことがあるので、多分成虫越冬なのだろう。
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Tropidothorax belogolowi(Jakovlev) ヒメジュウジナガカメムシ 2011年11月7日 名古屋市東区で撮影

【お侘びと訂正】 2011年11月8日
当初、ガガイモ葉裏の黄色の昆虫をヒメジュウジナガカメムシの幼虫と書きました。しかし、星谷さんの御指摘により、アブラムシの仲間であることが判明しましたので、文章を訂正させて頂きました。黄色のアブラムシは、吸汁植物がガガイモであることや、形態から、キョウチクトウアブラムシではないかと思います。

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January 16, 2006

越冬するカメムシ3種

kusagia011506昨日は大変暖かい日だったので、久しぶりに雑木林へ昆虫観察に出かけた。気温が高いせいか、いつもは樹皮裏などに身を潜めているナミテントウやカメムシ達が表に出て来て活発に動いていた。まず目に付いたのはソメイヨシノの古木の幹に止まるクサギカメムシであった。ダイズ、ササゲなどのマメ類やミカン、カキ、ウメ、ナシ、リンゴ、モモ、サクランボ、ビワなどの果樹を吸汁する害虫として知られる。カメムシの仲間には冬季に家屋に侵入して集団越冬する種がいる。スコットカメムシ、マダラナガカメムシ、ヨツモンカメムシ、マルカメムシ、クサギカメムシなどは秋になると家屋内に侵入して越冬し、悪臭を放つために不快害虫として嫌われている。その具体的被害とは、カメムシが浴槽の中に落ちる、食物に飛び込むなどである(川沢哲夫、川村満 1977 『カメムシ百種』全国農村教育協会)。スコットカメムシは大群で山間の旅館や山小屋へ押し寄せるので、東北地方ではスコットカメムシのために秋と春に休業を余儀なくされる観光地もあるとか。クサギカメムシはスコットカメムシよりも低山地の家屋内に侵入して集団越冬するようだ(藤崎憲治 2001『カメムシはなぜ群れる?離合集散の生態学』 京都大学出版会)。
写真:Halyomorpha halys (Stael) クサギカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 

ushikame011506次に目に付いたのは、クヌギの樹幹に止まるウシカメムシであった。まだ昆虫採集を始めたばかりのころ、私はウシカメムシを珍しい種だとばかり思い込んでいた。「月刊むし」誌上に「ウシカメムシを採集」などと写真入りの短報が掲載される度に羨ましい思いがしたものだ。後に自宅周辺で何度も見るようになり、本種が普通に見られるカメムシであることを知った。とはいえ、牛の角のように突出した前胸背側角は大変格好が良く、未だに見つけると興奮するカメムシである。アセビ、シキミ、サクラ、ヒノキ(友国雅章 1993 『日本原色カメムシ図鑑』全国農村教育協会)、ナツミカン、クリ、アケビ(『カメムシ百種』)で採集されているようだが、私はアラカシ、ツタ、ヘデラの葉上で採集している。
写真:Alcimocoris japonensis (Scott) ウシカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 


tsuyaao011506最後にアベマキの樹幹で見つけたのはツヤアオカメムシであった。ツヤアオカメムシはミナミアオカメムシやアオクサカメムシと大変よく似ている。写真だけでは識別がつきにくいために採集して『カメムシ百種』に掲載されている識別点に従って調べた。その結果、1)触角の第3.4節が黒色であること、2)前胸背側角が突出しない、3)小楯板の基部に黄点刻および前縁角の小黒点を欠き、先端近くに小黒紋がある、4)腹部背面は緑色で、1-3節基部は褐色を帯びる、特徴を持つので、ツヤアオカメムシと同定した。多食性で各種果樹を吸汁する害虫である。
写真:Glaucias subpunctatus (Walker) ツヤアオカメムシ 2006年1月15日 名古屋市で撮影 

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December 13, 2005

ヤニサシガメの越冬

yanisashikusakage今日の名古屋は朝のうち初雪が降る寒い日だった。雪はすぐ止み午前中のうちに融けてしまったが、気温の低いことには変わりなかった。こんな寒いなか、やはり虫の観察はしないと気がすまないのは虫屋の習い性であろう。雪で気になったのはアメリカシロヒトリの幼虫だったが、幼虫はツツジの下の方の枝にしっかりしがみついて、直接雪がかからないようにして生きていた。長いふさふさとした刺毛も多少なりとも保温に役立っているのだろう。

続いてクロスジフユエダシャクであるが、雑木林ではさすがに今日は飛んでいる姿を見ることはなかった。♀も樹皮の裏側や根際の風が当たらないところに隠れているのか、樹幹で見ることはできなかった。カメムシの方だが、ツマジロカメムシ幼虫は樹幹の下の方でじっとしていた。ヘラクヌギカメムシは樹皮の隙間や樹皮のめくれた裏側で静止していた。また、今日新たにソメイヨシノの樹幹を歩くサジクヌギカメムシの♂を見つけた。ルーペで見たら、生殖節の中央突起がサジ状になっていたので、サジクヌギカメムシとわかった。

ヨコヅナサシガメも今日は偵察個体も樹幹の窪みから動くことなく集団越冬していた。雑木林でヨコヅナサシガメが集団越冬に利用している木は、ケヤキ、ソメイヨシノ、コナラ、クヌギ、アカマツの大木だった。アカマツの樹幹で、ヤニサシガメの幼虫を見つけた。本種もヨコヅナサシガメと同様、樹皮裏などで集団越冬するとのことだが、写真の個体は1頭だけ表に出ていたので、ひょっとして偵察隊かもしれない。このほかコナラの樹幹で、クサカゲロウの幼虫を見つけた。最初、ヤマトクサカゲロウかと思ったが、体長9mmほどの大きさなので、恐らくヨツボシクサカゲロウの幼虫ではないかと思う。

写真:ヤニサシガメ幼虫とヨツボシクサカゲロウ?幼虫 2005年12月13日 名古屋市で撮影

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December 12, 2005

ヘラクヌギカメムシの産卵

kurosuji121205今日の名古屋は朝のうちみぞれまじりの小雨が降る寒い日だった。寒い日の昆虫の様子が見たくて、昼ごろ近くの雑木林へ出かけた。クロスジフユエダシャクのオスが2-3頭林床を飛んでいた。今日こそはメスを見つけたいと思って樹幹を探したが、やはり見つからなかった。メスは既に出現しているはずだが、私の目が節穴だらけで、樹皮そっくりの保護色に惑わされ、メスの存在に気付かなかっただけだと思う。クロスジフユエダシャクの♀は黒灰色をしていて、♂よりもずっと小さいので、樹幹の隙間やめくれた樹皮の間に隠れていると、薄暗い林内では目につきにくいのだ。(写真:枯葉に止まるクロスジフユエダシャクの♂)

クヌギの樹幹を見ていると、細長い紐状の卵塊が目に入った。クヌギカメムシの卵である。雑木林にはクヌギカメムシとヘラクヌギカメムシの2種が混生しているらしく、コナラの幹には樹皮の隙間にヘラクヌギカメムシが産卵中だった。WEBサイト「石神井公園の昆虫 クヌギカメムシ」によると、クヌギカメムシはクヌギの樹幹の見える場所に産卵し、ヘラカメムシの方はコナラの樹皮がめくれた裏や隙間など表から見えにくい場所に産卵することが多いらしい。クヌギカメムシは気門の色が黒色なので同定できるが、ヘラクヌギカメムシとサジクヌギカメムシとはオス生殖節の中央突起の形状の相違で識別する必要がある。
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写真:クヌギカメムシの卵塊と産卵中のヘラクヌギカメムシ 
    2005年12月12日 名古屋市で撮影

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December 11, 2005

幼虫越冬するヨコヅナサシガメ

yokozuna121105仕事を終えて職場を出ると、既に日は傾きかけていたが、昆虫に会いたくて雑木林へ寄り道をしてしまった。林床には一面に黄色や茶色の枯葉が堆積し、絨毯を敷き詰めたようであった。枯葉を踏むながら歩くと、カサカサと音がするのが楽しくてすっかり童心に帰り、はしゃいでしまった。夕闇に包まれた林の中ではクロマツ、ソヨゴ、ヒサカキ、シャシャンボ、ヒメユズリハ、タブノキなどの常緑樹の緑色に混じって、クヌギ、アベマキ、コナラ、ケヤキなどの黄葉が色鮮やかに浮かび上がり、妙に婀娜っぽくもあった。昆虫の方は特に新しい成果はなく、ケヤキの樹幹で越冬するヨコヅナサシガメの幼虫を見たぐらいである。暗くて鮮明な写真が撮れなかったが、とりあえず掲載する。

ヨコヅナサシガメ幼虫2005年12月11日 名古屋市で撮影

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December 10, 2005

ケヤキで越冬するカメムシ達

tsumajiro121005chabaneao121005今日は仕事が終わった後、クロスジフユエダシャクのことが気になって雑木林へ寄ってみた。ところが、林内には何も飛んでいなかった。くまなく探したが、ヒサカキの葉上に静止している1個体を見つけただけだった。昨日の乱舞がまるで夢のように思われた。たった一日で、これほどの違いがあるとは!昆虫にはこうしたことは決して珍しいことではない。たとえば、キベリタテハの大発生の情報を入手し、翌日同じ場所へ行ったとしても、既に移動分散していて1頭も見ることができないこともある。ギフチョウやヒメギフチョウでも全く同じである。好天気続きで運良く発生ピークに遭遇すれば二桁見られることもあるが、翌日天候が崩れたりすれば、惨憺たる結果となる。同じ日でも時間帯によって出現数が違うこともある。なかなか予想どおりにゆかないことも、昆虫観察の醍醐味のひとつに違いない。

そんなわけでフユシャク観察ができなかったが、かわりにケヤキの樹幹でMenida violacea Motschulsky ツマジロカメムシ5令幼虫と Plautia crossota stali Scott チャバネアオカメムシの越冬成虫を見た。カメムシは成虫と幼虫の形態が全く異なることがよくある。ツマジロカメムシの5令幼虫は頭部や前胸背、結合板の黒白模様などが成虫に似ていて面白い。チャバネアオカメムシは頭部、前胸背、小楯板が青緑色のカメムシだが、越冬する成虫は枯葉や樹幹にそっくりの保護色で目立たない。コナラの樹幹ではクヌギカメムシのメスを見つけた。クヌギカメムシの方はビニール袋に採集したが、家で写真を撮ろうと思ってビニール袋を見たら、肝心のクヌギカメムシが見当たらない。どうやら途中で落としてしまったらしい。惜しいことをしたものだ。

ツマジロカメムシ5令幼虫とチャバネアオカメムシ越冬成虫 2005年12月10日 名古屋市で撮影

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September 13, 2005

ヒメジュウジナガカメムシの羽化

himejuji09139月3日にガガイモに群生するヒメジュウジナガカメムシ幼虫について書いたが、9月12日朝、幼虫はガガイモの葉上で摂食を休止して集団で静止していた。いつもは近付いただけで分散する幼虫だが、この日は葉を揺すっても離散しなかった。さきほど幼虫の様子を確かめに行ったら、ほとんどの個体が羽化していた。なかには体色の淡い羽化したての成虫もいた。成虫の動きはすばやく、葉にわずか触れただけで葉裏や別の葉にさっと移動してしまう。面白いことに周りにはガガイモが所々に生えているのだが、ヒメジュウジナガカメムシが群生しているのは一箇所だけだ。そこはまとまった株数のガガイモが生育していて、毎年ほぼ同じ場所にヒメジュウジナガカメムシは出現する。母虫は子虫が餌に不自由しないように産卵場所を正確に選んでいるらしい。

写真:羽化したばかりのヒメジュウジナガカメムシ 2005年9月13日午後5時30分 名古屋市で撮影

ヒメジュウジナガカメムシ幼虫

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September 03, 2005

ヒメジュウジナガカメムシ幼虫

gagaimohimejuji裏の河川敷ではお盆前に草刈が行なわれたが、早くもヤブカラシ、ヨモギ、ガガイモ、カタバミの若葉が顔を見せ始めている。例年この時期には、ガガイモの若葉に、Tropidothorax belogolowi (Jakovlev) ヒメジュウジナガカメムシの幼虫がたくさん見られる。赤色に黒色の模様のある派手な幼虫で集団で群生する。葉表にも葉裏にもいるが、触るとすぐ集団で他の葉へ移動する。乾燥した草むらを好み、近似種Tropidothorax crucigar(Motschulsky) ジュウジナガカメムシと同様にガガイモ科植物を寄主にする。成虫越冬のようで、早春に草むらで成虫を見ることがある。

写真:ヒメジュウジナガカメムシに吸汁されたガガイモの葉と同種幼虫 2005年9月1日 名古屋市で撮影

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