December 09, 2005

ハグロハバチの幼虫

hagurohabachi12月になっても見られる常連昆虫の一つにAllantus luctifer (Smith) ハグロハバチの幼虫がいる。イタドリやスイバ、ギシギシの葉に穴をあけてボロボロにするハバチ科の幼虫である。頭部が黄色、体色は青緑色、側面に黒い円紋を持ち、体を丸めていることが多い。一般にハバチ科昆虫の幼虫は年1化性が多く、老熟すると土中へ潜り、羽化するまでの長い期間の管理が大変である。また、羽化した成虫の同定も専門家に依頼しないと、わからないことも多い。幼虫好きの私もハバチ科の幼虫まで手を染めると抜き差しならないことになりそうなので、なるべくハバチには近付かないようにしている。ところが例外もある。ハグロハバチは年多化性で、飼育もいたって簡単である。成虫は黒褐色のハバチであるが、翅脈が特徴的で図鑑の絵合わせでも同定もできる。

ハバチの幼虫とチョウ・ガの幼虫の識別点は幾つかあるが、腹脚を目安にするとわかりやすいと思う。ハバチ幼虫の腹脚は6-9対(稀に10対)あり、第1・9腹節は欠如する。チョウ・ガの幼虫は2-5対あり、第1・2腹節は欠如する。つまりハバチの方が脚が多いのだ。

スイバの葉に寄生するハグロハバチの幼虫 2005年12月9日 名古屋市で撮影

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December 04, 2005

セグロアシナガバチ

seguro12020512月に入って昆虫の姿も少なくなってきたが、私は習慣でデジカメをいつも持ち歩いている。先週の金曜日の朝、足早に職場へ向かっていると、建物の外壁に1頭のセグロアシナガバチが朝日を浴びながらじっと止まっていた。どうやらオスらしい。職場の同僚が次々通りすぎる中、あわててカメラを取り出して、撮影設定もそこそこに急いでシャッターを押した。けげんな顔で見る人もいて内心恥ずかしい思いだったが、12月にセグロアシナガバチのオスを見る喜びの方が勝った。このオスは女王と交尾してオスの役目を果たしたのだろうか。それとも女王に振られてしまったのだろうか。セグロアシナガバチの女王は成虫で越冬するが、オスはまもなく死ぬ運命にある。

セグロアシナガバチ 2005年12月2日 名古屋市で撮影

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July 15, 2005

ダキバアレチハナガサを訪れる虫たち

Verbena自宅裏の河川敷には、Verbena incompta ダキバアレチハナガサが所々見られる。 クマツヅラ科に属する南アメリカ原産の帰化植物とのことで、茎には剛毛があり、直線的な力強さを感じさせる野草である。淡紫色の小さな花が6月から9月にかけて咲く。乾いた河原や造成地、道路脇などに生えていることが多いが、遠くから見るとそれなりの風情もあり、嫌いではない。

verbena2今朝散歩していたら、昆虫達がダキバアレチハナガサの花に寄って来た。ヒメハラナガツチバチやニホンミツバチは花粉を集めているのか、それとも花蜜を集めているのかはよくわからないが、何度も花を変えては花の中へ口器を入れているようだった。クサアオカメムシ(恐らく5令幼虫)は、花の陰に隠れているらしい。葉に触ると葉裏に逃げるが、すぐまた同じ位置に戻って静止する。背腹の模様は淡紫色の花に溶け込み、その姿は目立たない。クサアオカメムシには色覚があるのだろうか?

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           写真:2005年7月15日   名古屋市で撮影
           (上) ヒメハラナガツチバチ
           (中) ニホンミツバチ
           (下) クサアオカメムシ5令幼虫(令数は推定)

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July 06, 2005

ヒメホソアシナガバチ

varia昨日の朝、いつもの観察コースを歩いていると、ヤブカラシの葉上に黄褐色のハチが飛んできた。体長14-5mmほどの見慣れないハチだ。とりあえず写真だけ4枚ほど撮ったが、採集はしなかった。これがそもそも間違いのもとだった。家へ戻って画像を頼りに図鑑を調べ、ムモンホソアシナガバチかヒメホソアシナガバチかのどっちかだと思ったが、標本が無いので同定の決め手に欠ける。ああでもない、こうでもないと迷っているうちに時間切れ。まっ、こういう時は丸一日置けば、何とかなるだろう。という訳で、今日は仕事から帰って夕食もそこそこに図鑑や本とにらめっこ。不思議なもので、昨夜は気づかなった識別点が見えてきて、くだんのハチはスズメバチ科アシナガバチ亜科に属するParapolybia varia (Fabricius)ヒメホソアシナガバチだという確信を深めた。やれやれ。

参考文献:松浦誠(1995)『図説 社会性カリバチの生態と進化』 北海道大学図書刊行会

写真:ヒメホソアシナガバチ 2005年7月5日 名古屋市で撮影

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July 05, 2005

キボシトックリバチ

kiboshittrilobus今朝は早起きをしていつもの観察フィールドを廻ってみた。その甲斐あってか、収穫はたくさんあった。Early Birds Catch Worms. 未だにこんな古めかしい諺がすぐ思い浮かぶとは、受験英語のトラウマもかなり深刻である。高校の英語の試験に「郷にいりては郷に従え」を英訳せよ、という問題があった。 正解はWhen in Rome, do as Roman do. いつも授業では逐語訳で教えているくせに、こういう時だけ大胆に意訳せよというわけだ。模擬試験では、サマーセット・モームの"Summing Up"の一節の和訳を出題し、それを英訳せよ、と。出題者は予め「模範解答」がわかっているからいいが、高校生にモームと同じ名文が書ける訳がない。今思っても腹が立つ話である。

余談はさておき、今朝出会った虫はEumenes fratercula Dalla Torreキボシトックリバチ(スズメバチ科)である。Cocculus trilobus (Thunb.) DC アオツヅラフジの花に寄っていた。体長12-3mmであろうか。小さいので近似種キアシトックリバチかなとも一瞬思ったが、小背板に一対の黄紋があるから、キボシトックリバチと思われる。トックリバチの仲間は下草や生垣、石の上に乾いた土粉を唾でこねた練土でとっくり型の巣を造る。母蜂は巣内に産卵した後、孵化する幼虫のために巣内に鱗展目昆虫の小型幼虫を多数貯蔵し、巣の入り口に蓋をする。本種の生態については、岩田久仁雄(1974)『ハチの生活』(岩波書店)に詳しい。子供向けの本だが、こと昆虫に関する限り、子供向けの本は大人向けの本に負けない優れた内容のものが多い。

写真:キボシトックリバチとアオツヅラフジ 2005年7月5日 名古屋市で撮影

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June 28, 2005

ヤブカラシに訪花するヒメハラナガツチバチ

annulataこのところヤブカラシの花をよく見かける。花自体は小さいが、花弁の黄緑色と花盤の朱色がとても美しい。野草にしておくのはもったいないほどである。つる性で生垣や樹木に巻きつき随分高くまで伸びる。天気の良い日に、身長の何倍もの高いところに咲くヤブカラシの花を見上げると、なぜか爽やかな気分になる。

ヤブカラシに魅せられるのは私だけかと思ったら、嬉しいことに昆虫達も同じらしい。アオスジアゲハはヤブカラシが大好きで、頻繁に訪花して吸蜜する。カラスアゲハやクロアゲハ、キマダラセセリなどのチョウもやはりヤブカラシ・ファンらしい。ハチ類にも常連さんがいる。セグロアシナガバチやヒメハラナガツチバチである。

Campsomeris annulata Fabriciusヒメハラナガツチバチはごく普通に見られるツチバチ科昆虫である。ツチバチ類はコガネムシ類の外部寄生蜂として知られる。ツチバチ類の♀は土中のコガネムシ類を探して毒針で刺し、神経を麻痺させてからその周りに室を作り、コガネムシ幼虫の体表面に卵を産みつけて室を閉じる。孵化したツチバチ類幼虫はコガメムシ類幼虫を食べて生育する。ヒメハラナガツチバチ幼虫の寄主はマメコガネやヒメコガネ属の一種とのことだ。ツチバチ類の生態についてはC.P.Clausen(1940) Entomophagous Insectsに詳しく紹介されているらしい。私はこの古典的大著を入手したいと思ってきたが、古書店でいつも誰かに先を越され、買いそびれている。それだけ人気が高い本というわけだ。添付画像は画素数を落してあるので見にくいが、ヒメハラナガツチバチ成虫はヤブカラシの花盤に口吻を刺し入れており、どうやら吸蜜しているらしい。

参考文献:古川晴男・長谷川仁・奥谷禎一編『原色昆虫百科図鑑』(1965) 集英社

写真:ヒメハラナガツチバチ 2005年6月26日 名古屋市で撮影

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June 22, 2005

セグロアシナガバチ

seguro雨上がりの朝、自宅裏の堤防を歩いていると、ヤブカラシの花上でPolistes jadwigae Dalla Torreセグロアシナガチを見た。花蜜を舐めているのはセグロアシナガバチの働きバチらしい。セグロアシナガバチ(スズメバチ科)は、鱗翅目や直翅目昆虫の幼虫を狩り、花蜜や熟した果樹を舐めることが知られている(松浦 1995)。営巣場所は生垣や建物の隙間、下草の間など人里周辺である。

参考文献:松浦誠(1995)『図説 社会性カリバチの生態と進化』(北海道大学図書刊行会)

2005年6月22日 名古屋市で撮影

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June 19, 2005

ルリチュウレンジ

rurichururichul5-6月は私の好きなクロバ亜科(マダラガ科)の蛾類が出現する時期だが、丁度同じ頃にクロバ亜科蛾類のそっくりさんが登場する。Arge similis (Vollenhoven)ルリチュウレンジ(ミフシハバチ科)である。その名のごとく瑠璃色に光るハバチである。ゆっくりと飛ぶ様はマダラガそっくりだが、マダラガよりもやや直線的な飛び方をするので区別できる。出現期には幅があり、今は成虫も幼虫も見られる。幼虫はツツジやサツキの害虫として古くから知られていて、松村正年(1933)『原色千種昆虫図譜』にも幼虫がツツジを摂食、年3化であることが記されている。

写真: ルリチュウレンジ成虫 2005年5月14日
     同種幼虫         2005年6月16日名古屋市で撮影

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February 24, 2005

フタモンアシナガバチの越冬

polistes3さきほどハマヒサカキの植え込みでフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis PEREZが集団越冬しているところを見つけた。1頭引き抜いたら、巣に止まっていたが、撮影しているうちに地面に落下し、歩いて枯れ葉の間にもぐりこんでしまった。

フタモンアシナガバチは、新女王だけが生き残り越冬し、翌春単独で新しい巣を創設することが知られている。新女王は母巣を離れ、天井裏や外壁の隙間などで集団越冬するとのことだが(山根爽一『フタモンアシナガバチ』 1986 文一総合出版)、こうしてみると古巣にとどまることもあるんだ。

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